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「茨城の民話を読んでみたいけど、いったいなにから読めばいいの?」
それならズバリ『いばらきのむかし話』をオススメします。茨城全体から選りすぐりの民話が収録されているんです。この記事でじっくり内容をご紹介します♪
概要
タイトル | いばらきのむかし話 |
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発行日 | 1993年11月1日 |
編著者 | 藤田稔 |
挿し絵 | 川井幸久 |
ページ数 | 157ページ |
いばらきのむかし話を編集・執筆されたのは茨城民俗学会の代表理事である藤田稔さん。茨城の民話といえばこの方です。
本書の特徴は単に有名な民話を集めたというだけでなく、県外の方にも興味を持ってもらえる物語を選んでいることです。例えば、「武将や高僧たちの話」では、道鏡、安倍晴明、静御前、弘法大師、平将門などの名前が並びます。教科書やドラマなどで目にしたことのあることでしょう。
民話は全50話。八竜神やうなぎ地蔵、牛久沼の由来など当ブログで取り上げたネタもぎっしりと詰まっています。「たっつあい」の笑い話や有名だけど怖すぎる話などは掲載されていませんのでいろいろと配慮を感じますね。
漢字にはすべて振り仮名があり、挿し絵が多く内容がとてもわかりやすいです。どの地域の民話なのかもちゃんと記載されていますので土地柄を想像しながら読んでも楽しいですよ。
オススメの民話
収録話はどれも面白いと思いますが、特に読んで欲しいお話があるんです。それは。。
- 小栗判官と照手姫
- 九尾の狐
- かいこになった金色姫
これらはファンタジー要素が強くて面白いのですが、やや大人向けでわかりにくいのが欠点です。本書では内容がよく整理されていて子どもでも理解できるようになっています
小栗判官と照手姫は浄瑠璃や歌舞伎にもなっているお話です。簡単にいうと小栗判官が照手姫の献身的なサポートにより宿敵を倒すお話なのですが。。本書はそれのソフトバージョンです。ハードバージョンは判官が毒殺されてから蘇るという。。なんだか幽遊白書っぽいですね。それはそれで面白いのですが。
九尾の狐は那須の殺生石につながるお話ですね。本書に書かれていませんが、狐は大陸で妲己や華陽、褒姒などと名乗っていました。じつは『封神演義』に繋がっていたりするんです。茨城県内の常陸大宮市や結城市が舞台となっており、市をまたいでいることから各地の民話として紹介されにくいんですよね。
金色姫は。。個人的に『うつろぶね(うつぼぶね)』の原型となったのではないかと思います。そして金色姫伝説にはさらに原型があって。。オカルトファン必読です!
妖怪発見!
本書に登場する妖怪です。★でランク付けしてみました。★が多いほど妖怪としての能力(謎)が高いです。
- きつね ★
- 糸繰り川のカッパ ★★
- おまんぎつね・おせんぎつね ★★
- 火車 ★★
- 華蔵院の猫 ★★★
- 四匹のきつね ★★★
- 九尾のきつね ★★★
- 金色姫 ★★★
有名、しかも面白い民話を厳選しただけあって妖怪ラインナップも見事です。当ブログも色々と追っていますので、すでに取り上げたものについては後述する関連記事からご覧ください。
当ブログでまだ取り上げていないものに火車がありますが、これは今後もブログで紹介するのが難しいと思います。あまり手がかりがないのです。
本書では上蛇(いまの常総市水海道)に出現したとあります。火車は車輪のついた乗り物のような胴体に鬼のような顔を持って描かれています。欲深いおばあさんのお葬式に現れて死体を奪っていこうとしたのを祐天上人と小坊主によって撃退されました。
祐天上人は著名な僧侶ですが、一時期市内にある弘経寺の住職でした。怨霊伝説の『累』も上人の法力によって救われています。この地域には上人に関係する伝説がいくつもあるのですが、背筋が寒くなるようなものも少なくない。。こちらもそのひとつと言えるでしょう。
ちなみに土浦の烏山の方にも火車の伝説がありまして、そちらでは猫のような姿と伝えられています。
『おまんとおせん』は県内ではよく知られている姉妹ぎつねのお話です。いまの鉾田市の辺りが舞台ですね。
二人の捨て子を育てたおまんとおせん。しかし、正体を明かさないことで子どもたちから邪険に扱われてしまいます。やがて誤解が解けて。。最後に大団円という流れが民話らしくていいと思うんですよね。
まとめ
この記事のまとめ
- いばらきのむかし話は藤田稔さんが編集・執筆
- 県内全域にわたる50の民話を収録
- 小栗判官、九尾の狐、金色姫は必読
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。