【民話を読もう Vol.1】古河のむかしばなし(古河市)【一色悦子・本木洋子】

突然はじまった茨城の民話を紹介する企画。歴史と民俗を楽しいながら各地の妖怪をコレクションしていきます。妖怪ファンもぜひご愛顧ください。

第一弾は古河市にしてみました。県南生活が長いわたしにとって県西の古河は未知のことが多いのですが、多くの民話が残る土地なのでドンドン読んでいきたいと思います。

この記事では古河市の民話を収録した古河のむかしばなしをご紹介します。表紙の印象とはまったく違う◯◯な面を持った一冊です。

概要

タイトル 古河のむかしばなし
著者 【作】一色悦子・本木洋子
【絵】猪瀬開蔵
発行日 昭和61年4月25日
発行者 北下総文化調査会
ページ数 83ページ

古河は非常に多くの民話がある土地です。それが文字として残されるようになったのは昭和47年(1972年)のこと。当時、古河市史編さん事業により40人の話し手から169の民話が集められ、昭和53年(1978年)に『古河の昔話と伝説』としてまとめられました。

本書はその成果から16話を選び出して再話したものです。全編が語り口調なので非常にわかりやすくて優しげな印象があります。

執筆されたのは一色悦子さんと本木洋子さん。本木さんは本書ができる以前から古河の民話を紹介されており、その背景や解釈に深い理解がある方です。

収録話はすべて猪瀬開蔵さんのイラストがついています。古河に生まれ古河でアトリエを開かれた郷土画家ですね。

あとがきによると制作にあたって執筆者と原話者の方々との話し合いが何度かあったそうです。これは非常に興味深いことです。と申しますのは、収録されている民話は共通した特徴を持っているものが多いからです。民話の選出やよくわからない構成にはなにか深い理由があるようです。

初めて読んだとき、違和感のある話が多いと感じました。それがどうも意図的なようなので、じっくり考察しながら読むのも面白いと思います。

全体的な感想は「怖い話が多い」です。個人的には本来子どもに聞かせる内容ではないと思うのですが。。16話のうち半分以上は「死」が絡んでいます。古河には収録されている10倍以上の民話があるはずですが、なぜこれらが選ばれたのか。

よくよく読んでみると結末の部分が唐突で伏線を回収できていないものも。。もしかして、本来の結末は違ったのではないかと想像させます。本書の民話は他の地域と一味違います。民話ファンはご一読をオススメします。

読める・購入できる場所

本書を読める場所は非常に限られています。県立図書館と古河市立図書館には置かれていますが。。わが土浦の誇る近代図書館・アルカス土浦にもありませんでした。近所の図書館にあったら幸運です。

購入できる場所はさらに限られています。わたしは土浦市の『つちうら古書倶楽部』で購入しましたが、在庫は一点限りでした。水戸のとらや書店にはいまのところ在庫があるようです。

【ネタバレあり】ホントは怖い話ばかり?

古河のむかしばなしは地域性にあふれ非常に面白いのですが、大人でも恐ろしいと感じる内容が多いです。

例えば、『いのりくぎの女』の話は、いわゆる丑の刻参りです。薬屋の男が朝早く釣りにでかけると白装束で五寸釘を持ち、口にカミソリを加えた女性に出会います。見つかると殺されてしまうので必死に隠れるということなんですが、ふつうに怖いですよね。しかもある程度「現場」を特定できますし。。

『ちょうちんつけて迎えにきた話』は、最後に「むじなに騙された」と笑い話のような終わり方をするのですが、本編にむじなは一切出てきていません。登場人物や文脈から考えると『ある死人』が関わっているように読み取れるのですが。。

『お菊蘭塔』では、その土地ではお菊という名前を付けてはいけない、いわゆるタブーについて触れられています。どこまで本当かわかりませんが、救いのない悲話です。

収録されている民話は地域性があり個性的なので非常に魅力的です。ただ、子どもにはハードなので読ませるのは慎重になったほうがいいでしょう。。オカルトファンにとってはたまりません!。

【ネタバレあり】見つけた妖怪

本書に登場する妖怪です。★でランク付けしてみました。★が多いほど妖怪としての能力が高いです。

  1. きつね ★
  2. たぬき ★
  3. むじな ★〜★★
  4. 火の玉 ★★
  5. おいてけの化け銀杏 ★★★

むじなが頻出していました。化けることができるので多くのストーリーに絡んでいます。大物妖怪といえるのはおいてけの化け銀杏のみですね。

本書では『いのりくぎの女』のような化け物じみた人間や晃石姫てるいしひめのような幽霊も登場しますが、妖怪ではないので除外しています。晃石姫は大中寺(栃木市)の七不思議とも関係がありますので、なかなか興味深かったですね。

化け銀杏は「おいてけ」と呼びかけてくる銀杏です。魚が好物なようで「おいてけ」と呼び止めたあと「ぴちゃぴちゃ」と音を立てながら食べてしまいます。魚は桶に入れてふたをしたままなのに一体どうやって?単なる木の妖怪ではないようです。

また、銀杏を切ろうとしたり、あるいは切った人は奇病で死んでしまいます。切られた部分は自動再生しますので無敵。化け銀杏の存在は周知の事実だったようで別の本にも記載されていないか引き続き調査したいと思います。

まとめ

この記事のまとめ

  • 古河のむかしばなしは全16話。すべてイラスト付き。
  • 妖怪としてのむじなが数多く登場する。
  • おとなが読むと怖いと感じる箇所が多い。
この本の評価
読みやすさ
(3.0)
面白さ
(3.5)
デザインの美しさ
(3.0)
コストパフォーマンス
(3.0)
オリジナリティ
(4.5)
総合評価
(3.5)

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