【茨城読書】芸術のまちで『生きるための芸術』を読む!(北茨城市)

猛烈な暑さが続いています。こんなときは涼しい部屋で読書はいかがでしょう。

いつもと違う切り口なのは面白い本を読んだから。檻之汰鷲おりのたわしさんの『生きるための芸術』です。サブタイトルは『40歳を前に退職。夫婦、アートで生きていけるか』。挑戦的でワクワクしますよね!芸術のことがさっぱりなわたしもスゴく楽しめました。

檻之汰鷲さんは石渡いしわたのりおさんと奥さんのちふみさんのアートユニット。実は北茨城市で地域おこし協力隊をされています。アーティストが地域おこし?偶然でしょうか。いいえ、それには理由があります。

今回はオススメの本『生きるための芸術』と北茨城市の『芸術によるまちづくり』をご紹介します。すぐに本について知りたい方は『目次』の『生きるための芸術』からどうぞ!

漁業歴史資料館『よう・そろー』

よう・そろー外観

『生きるための芸術』との出会いは『よう・そろー』(の売店)。大津漁業直営の『市場食堂』でランチをした後に立ち寄りました。同じ敷地内にあるんです。

『よう・そろー』は漁業歴史資料館なので本やアート作品の販売は少し意外でしたが。。。北茨城市はところどころで芸術を感じる町。なんとなく手にとってみました。

『はじめに』を読んでみると著者の石渡さんは思わぬきっかけで芸術家になったとわかりました。40歳を前に転職。未経験の専門業に自営で挑戦。高いハードルですが身近に感じる立場でしたので、これなら自分にも芸術がわかるかも、と購入。

本は好きですが、ふつうに書店に並んでいたのでは手に取らなかったでしょう。本も人と同じように『出会い』がありますね。

MEMO
本はamazonなどの通販でも購入できます。(Kindle版含む)

『よう・そろー』についてもご紹介します。この施設、名前は難しそうですが、実は子ども向け。わかりやすい展示とゲームを通して市の漁業を学べます。小学生以上なら楽しめると思います。

祭事船

ここでは、ぜひ『祭事船』をご覧ください。5年に1度行われる『大津御船祭り』で実際に使用される船です。驚くべきことにこの巨船を町中で動かすんです!!

やり方は船を左右にゆすって地面との接地面積が小さくなったときに一気に引っ張る。。。ウソみたいですよね。茨城新聞が映像を公開しているのでご覧ください。

祭りはもともと海で行われていました。それが海を埋め立てた後も形を変えて続けています。それだけ土地の人々の強い気持ちがあるということですね。

wata

船は勢い余って道路沿いの民家を壊すことがあるそうです。でも、保険で直せるので大丈夫なのだとか。。。次回の祭りは2019年です!
名称 漁業歴史資料館よう・そろー
住所 〒319-1713 茨城県北茨城市関南町仁井田789-2
営業時間 9:00〜17:00
入館料 【一般】300円(団体:250円)
【65歳以上】900円
【児童/生徒/学生】100円(団体:80円)
※団体料金は20名以上から適応。
駐車場 あり
定休日 水曜日(祝日の場合は翌日)
Webサイト 公式サイト
観光いばらき

※以下の方は無料で展示室を見れます。
身体障碍者、療育手帳の交付を受けている方及び精神障碍者保健福祉手帳の交付を受けている方

芸術によるまちづくり

五浦岬公園から見る六角堂

わたしが芸術に関する本を手にとったのは、北茨城市の『芸術のまち』という雰囲気からです。でも、どうして北茨城市のまちづくりは『芸術』なのでしょうか。

思い浮かぶのはやはり岡倉天心おかくら てんしん。思想家で英語の達人。そして日本の美術の発展に大きく貢献した人物です。北茨城市とのゆかりが深く、かつて教え子の横山大観などと共に生活していました。

ただし、天心や大観のように立派な人と関係があるから芸術のまちづくり、ということではありません。地面が悪いと植物が育たないのと同じで、北茨城市は作品を作ったり芸を磨く環境として優れているのだと思います。

自然が豊かで海も山もある。真夏でも30℃を超えることが少なくて過ごしやすい。おいしい海鮮がたくさん食べられる。他にも人口密度が低めだったり、作業に集中しやすい条件がいくつもあって、すでに多くの芸術家が活動されています。

参考 北茨城の作家たちKITAIBARAKI ART CHITY

海外の大学は都会ではなく田舎につくると聞きました。勉強を最優先にするためです。それにお金に余裕のない学生は物価の高い地域に不向きです。芸術は設備よりも芸術家同士が集まれる環境の方が制作に役立つでしょう。

調べたところ、北茨城市の『芸術によるまちづくり』は2016年ごろスタートしました。(参考:広報きたいばらき)この試みは町と芸術家の双方にメリットがあることで、芸術家が集まるほど効果的。県北エリアで同様の動きがありますが、ぜひ継続していただきたいですね。

地域おこし協力隊に赴任した檻之汰鷲さんも同様のことを語っています。

北茨城市の地域おこし協力隊は、町の情報発信をしたり、実際に作品を生み出すことでまちづくりに貢献しています。町の目的がハッキリしているので活動もわかりやすいですね!

書籍『生きるための芸術』

まずは著者の檻之汰鷲さんについておさらい。市の公式サイトにある自己紹介を引用します。

 こんにちは。石渡のりお&ちふみです。僕たちは、コラージュという技法で作品を作ります。フランス語で糊付けという意味です。紙や雑誌を切って形を作っているうちに出会った物や人、出来事、場所、歴史なども作品の素材になり、築80年の長屋の改修や廃材の小屋も作品になりました。

 今、興味を持って取り組んでいることは、「必要ない」と思われているものに価値を生み出すこと。昔の技術、道具、家、暮らし、食べ物、景色。この北茨城にもあるモノコトです。海と山、心優しい人々、楽しそうに鳴く鳥達、伸び伸びと咲く道端の花々、そして熱い思いで芸術に取り組んだ先人達。そんな北茨城の豊かな資源と自分たちが出会い、何が出来るのか、とても楽しみにしています。
地域おこし協力隊通信 vol.3 こんにちは!石渡のりお&ちふみです!/北茨城市公式

すでにあるものに手を加えることで新しい価値を生み出す、より魅力的になる。素晴らしいことだと思います。

作品の下地は常に『北茨城市』ですから、作品ができるたび町に価値が生まれます。情報発信もしていますので、時が経つほどに魅力的な町になるのでしょう。

『町おこし』と聞くと大きなイベントや商品開発を思い浮かべますが、こうした持続的な活動をしてこそ土地の特性が伝わるのではと思います。

続いて本の内容について。

MEMO
北茨城市にはもうひとり地域おこし協力隊員がいます。都築響子さんです。『桃源郷芸術祭』の企画を担当。経歴や活動東京新聞が記事にしています。

檻之汰鷲の誕生

檻之汰鷲さんの芸術家として活動は順風満帆ではありませんでした。そもそも石渡さんは事故で大怪我をしたことをきっかけに芸術家への道を選択。まさに思いもよらぬことです。

大好きな芸術で生きていく、と病院のベッドで誓ってから10年。働きながら作品を作り続けると大きな転機がやってきます。東日本大震災です。原発事故によって日本人の生活そのものが不安になりました。

当時の世間は電力会社や政府を批判。しかし、石渡さんは自分も社会の一員で問題の発生に無関係でないと考えます。解決には生き方を変える必要がある→そのために別の生き方を知る。そこで生まれたアイディアが世界のアーティスト・イン・レジデンスを巡る、というもの。芸術家として成長し、人としての生き方を見直す旅のはじまりです。

MEMO
アーティスト・イン・レジデンスはアートをする人に宿と場所を提供する施設。国内外にあって条件を満たせば外国人であっても利用できます。日本にも多数あり茨城県では守谷市大子町などにあります。

世界を巡りながらアート

檻之汰鷲さんが訪れた国は、スペイン(バロセロナ)、イタリア(アスコリ・ピチェーノ)、ザンビア(ンデケ・ヴィレッジ)、エジプト(ギザ)、モロッコ(テトゥアン)の5カ国です。それぞれの国ではコラージュにこだわらず、さまざまな作品を完成させていきます。出来上がったものは本の中にたくさん掲載されていますので、ぜひご覧ください。

本では各国であった出来事や気付きを記しています。個別の話はお読みいただければと思いますが、わたしが関心を持ったエピソードをひとつ。

バルセロナでアートとカラック(数名で漕ぐボートのようなもの)をしているときのことです。石渡さんはアートとスポーツが同じ芸術であると気づき、次のように記しています。

人生という限られた時間の中で、一日一日をクリエイトしていく。モノを作ることだけに限らず、人生に有効な出来事や発見を積み重ねていく。それは競争ではなく、自分の記録を作っていくこと。
生きるための芸術 p32/檻之汰鷲

モノを作ること(アート)と動きを追求すること(スポーツ)。どちらも本質的には『自分なりの価値の積み上げ』だと思います。言い換えるとアートの本質はアート以外の方法でも触れられるのではないでしょうか。

例えば、わたしがこうしてブログを書くこと。Twitterでつぶやくこと。出会った人と会話をすること。それが自分にとって価値があるならば、人生をかけるに値するのでしょう。人に意思があるのは生き方を選ぶためで、選ぶのはもちろん価値のある方です。いいな、こうしたい、そんな積み上げが自分らしい人生には必要じゃないかと思います。

さて、なんだか深い話になってしまいましたが、読まれた方によって考えも違うでしょう。日常と違った体験を知ることは想像力をかきたてる良い刺激です。今年の夏は厳しそうなので室内でゆっくり読書をして楽しんでみてはいかがでしょうか。

まとめ

北茨城市は『芸術のまちづくり』をしています。

そのために本物の芸術家を地域おこし協力隊として招き、日々情報の発信をしています。赴任した檻之汰鷲さんは著書『生きるための芸術』でもメッセージを発信しておりますので、ぜひお読みください。

芸術家でない方こそ、日々の考え方や生き方に刺激を受けると思います。

檻之汰鷲さんの情報はこちらから。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA