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『民話を読もう』シリーズの第4弾は県北の常陸太田市です!
若い方はあまり耳にしたことないかもしれませんが、旧金砂郷町の民話を集めた『金砂郷の民話』をご紹介します♪
概要
タイトル | 金砂郷の民話 |
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発行日 | 2002年3月 |
発行者 | 金砂郷町教育委員会 |
監修 | 藤田稔(茨城民俗学会顧問) |
挿し絵 | 安西仁人 |
ページ数 | 80ページ |
金砂郷は父方の親戚がおりますので小さい頃にときどき遊びに行った思い出があります。親戚には納豆屋さんの社長もいましたね〜。大変のどかでよい場所だと思います。
本作は2002年に発売されたので民話としては比較的新しい作品といえます。金砂郷町は2004年に常陸太田市に編入されましたので町政を締めくくる事業だったのでしょう。
全16話を収録。ボリュームは多くありませんが、道徳的でミステリアスなお話が多い印象です。「挿し絵」にお名前があるのはお一人ですが、数種類の絵柄があります。わたしは写実的なものが好みですね。
常陸太田市は毎年秋になると集中曝涼といって市内の文化遺産を公開する企画を開催しています(本来の目的は虫干し)。その際に巡る寺社に関係した民話もいくつか収録されていました。西光寺、菊蓮寺、香仙寺などですね。ご一読いただくと集中曝涼をより楽しめるかと思いますよ。
菊蓮寺の民話は『入定山』の由来です。死期を悟った冏察上人が世界中の母親のために祈りを捧げたお話ですね。境内の由緒にもお名前がちらっと出るのですが、こうして人柄が伝わるとお参りで思うところも少し変わってきますね。
注目の民話「金砂の山と真弓山」
常陸太田で思い浮かぶのは72年に一度の金砂神社磯出大祭礼。西金砂神社および東金砂神社の例祭です。72年じゃ2度見ることすら大変ですよね。次回は2075年。わたし見れるかなぁ。。
このおまつりに深く関係している民話が本書の一話目にある「金砂の山と真弓山」です。金砂山の神は二人の女神で近江国(滋賀県)から舟に乗ってやってきたといわれます。途中、舟に穴が空いてしまい沈没しそうになったところをアワビが塞いでくれました。(これが金砂神社の御神体をアワビとする理由)
不思議な話はまだ続きます。二人の女神は金砂山周辺の人々を幸せにするために御殿を作って生活をはじましたが、あるとき妹が真弓山に行ったきり帰ってこなくなりました。待てど暮らせど妹が帰ってこないことから、姉は「待つのが辛い。松を見るのも辛いほど」と言い、それから金砂山には松が生えなくなり杉ばかりになったいわれます。
また、大祭礼の真弓山に向かって矢を放つ神事は、姉が妹に向かって手紙をつけた矢を放ったことが元になっているとか。うーん、ミステリアス。神話の時代のことなのでここで出てくる金砂山とは西金砂山(西金砂神社がある方)でしょうか。
姉妹が離れ離れになったということで金砂神社の分裂に関係するかと思いましたが、東西の金砂神社は常陸太田市内にあって真弓山とは無関係。ちょっと違うようです。
ところで、神様が舟に乗ってやってきたという伝説は茨城各地で耳にします。代表的なのは大洗磯前神社(大洗町)でしょう。国造りを終えた大己貴命と少彦名命が常陸国に「帰ってきた」と伝わっています。そういえば、西金砂神社、東金砂神社、真弓神社のご祭神はこの二神ですね。興味深いことです。
【ネタバレあり】妖怪発見!
本書に登場する妖怪です。★でランク付けしてみました。★が多いほど妖怪としての能力(謎)が高いです。
- 大方の巨人 ★★
全体的にページ数が少なく、神仏に関するお話が多かったので妖怪らしきものは一体です。
大方の巨人(作中では大男)は大方村があった頃の話とありますので江戸時代以前のことでしょう。大方村は明治に合併し金砂郷村となりました。
大方村を凶暴な盗賊が襲った時ときのこと。突如、山のような巨人が現れて盗賊たちをやっつけたそう。男は八溝山をひと跨ぎして山の土を掴み、投げつけたとありますので大きさはだいだらぼう級といってよいでしょう。
ただ、だいだらぼうは乱暴なことをしませんので同一視しない方がよいかと思います。わたしは大方の巨人の方が好きですけどね。ウルトラマンみたいだし。
ちなみに、男の投げつけた土が積もった場所が大方の舟山(現在はない)と箕の鎮守の森です。また、男がふんばった場所が大方の井桁にあり、そこから湧き出る出水が人々の生活用水となっていたとか。
まとめ
この記事のまとめ
- 常陸太田市に編入する直前に制作された
- 大祭礼の由緒となる民話を収録
- 妖怪の関する記述はほとんどない
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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