【民話を読もう Vol.3】ふるさと美浦の昔物語(美浦村)【編:美浦村史編纂委員会】

茨城県には2つの「村」があります。村だけにもちろん人口が少ないのですが、土地の伝承を伝える気持ちは変わりません。民話の本がしっかり作られ誰でも読むことができます♪

この記事では美浦みほむら村に伝わる民話をまとめたふるさと美浦の昔物語をご紹介します。このブログでもたびたび参考にさせていただいている一冊です!

概要

タイトル ふるさと美浦の昔物語
発行者 美浦村・美浦村史編纂委員会
挿し絵 大久保鳥人
編集 美浦村史編纂委員会事務局(美浦村教育委員会生涯学習課)
発行日 1999年3月20日
ページ数 145ページ

茨城県の南に位置する美浦村は人口約1.5万人。霞ヶ浦沿いにある大変のどかな村です。村で有名なものといえば、やはり「トレセン」でしょうか。広大な土地を活かして競走馬のトレーニングセンターがあります。他にはマッシュルームやパプリカの生産が有名ですね。この2つはとても美味しいのでお土産としてオススメ。

しかし、それ以外となると知られていないことがたくさん。わたし自身も散策してみたいなと思っていたのですが、どこから手を付ければいいかという感じでした。そこで役立ったのが『ふるさと美浦の昔物語』です。有名どころならこの一冊でバッチリ!

民話は全部で26話。特に歴史に関係する「伝説」系が充実しています。寺社の由緒や戦国時代の逸話などに興味のある方にはたまらないと思います。現代語でわかりやすく書かれており、全話挿し絵付きです。小学生が読めるくらい振り仮名がありますので小さい子も読んで欲しい!

常陸国風土記に登場する黒坂命くろさかのみことを調べていたときにも大いに役立ちました。大宮神社の由緒はとても面白いですし、風土記をこれよりわかりやすく書いた本はないでしょう。平将門たいらのまさかどの息子(孫)に関する伝説などもありますので民話ファンは必読です。

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本書の注意点として、あくまで創作であるを覚えておきましょう。巻末に各話の元になった文献等が示されていますが、出典ではなく物語の参考にしたとあります。
MEMO
「信太郡」や「信太の荘」は現在の美浦村よりも広大な土地でした。そのため本書には現在の阿見町や稲敷市の地域の出来事も含まれています。

読める・購入できる場所

美浦村の図書室や県立図書館で借りて読むことができます。

また、購入は美浦村文化材センター(美浦村土浦2359)でできます。陸平貝塚の近くですね。わたしもそちら購入しました。

すごく便利なことに役場のサイトで通販もしておりますので、ぜひご利用ください。

建物に入って左手のスペースに図書が並んでおりますので立ち読みしてから買うこともできますよ♪

MEMO
文化財センターの休館は月曜日。営業時間は午前9時から午後5時までです。

独特の平将門伝説

茨城県内で平将門伝説といえば県西(旧下総国)エリアに多く残っているのですが、美浦村にもあったのには驚きでした。しかも将門の妻(愛妾)、息子、孫らが出てくるんです。

ざっくりご説明すると妻は美浦村の大須賀津村に生まれた苅萱さくら。苅萱姫の父は信太郡を治める大須賀内記国友です。国友は主君の平国香に願われて娘を養女として差し出しました。

それから国香のもとに都から帰り一族と争いはじめた平将門が訪れます。苅萱姫と将門の出会いはこれがはじめてで一目惚れした将門は国香に自分の妻にしたいと申し出たのです。

将門が藤原秀郷と平貞盛に討たれたあと、苅萱姫は将門の家臣と共に信太郡の国友のもとに帰り将門の子を出産。小太郎文国ふみくにと名づけられてすくすくと成長し、やがて国友の孫娘と結婚して青野主殿の守、名を守胤もりたねと名乗ったといいます。

なかなか興味深いお話ですよね。将門記などの物語に沿っているのでリアリティあります。巻末の資料によると谷中地区の青野家の記録をもとに創作したそうです。守胤に名を改める前の「文国」の名は信太地区の普賢院が所蔵する文献にもありますね。この地域で「青野家」は有力だったのでしょう。

また、別の話として『信太小太郎物語』が収録されており、こちらは文国の子が文国亡き後、家族の財産が奪われる逆境の中でたくましく生きる物語となっています。青野家の記録とは合致しない部分もあるのですが、けっこう面白かったです♪

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将門の逸話はどれくらい真実かまったくわかりませんが、読み物としてよく出来ているのでご一読をオススメします♪
MEMO
将門は少々乱暴な者として描かれていますが、苅萱姫との関係は悪くなかったようにあります。

【ネタバレあり】見つけた妖怪

漁師とひしゃく/P87

本書に登場する妖怪です。★でランク付けしてみました。★が多いほど妖怪としての能力(謎)が高いです。

  1. きつね ★
  2. 国分寺の鐘 ★★
  3. 湖の女 ★★

大物は見つからず、といったところですね。国分寺の鐘、湖の女はいずれも霞ヶ浦を舞台としています。

国分寺は石岡にあったお寺です。雄鐘と雌鐘の2つの立派な鐘があったのですが、あるとき雌鐘が盗まれてしまい、その途中なんらかの理由で霞ヶ浦に落ちてしまったといわれます。それから落ちたとされる三又沖で雄鐘を恋しがる雌鐘の声が聞こえるというんですよね。。土浦や石岡など霞ヶ浦周辺の民話として広く知られているものです。

湖の女は「ひしゃくの霊」の民話をもとに創作されたかと思います。霞ヶ浦で亡くなかった方々の霊が「ひしゃくをくれ」と訴え、それに応えるとひしゃくですくった水で舟を沈められてしまう話です。よく知られているのは湖面から無数の手が出てくるというのですが、この場合は女の霊となっています。

美浦村というより、霞ヶ浦周辺に伝わる民話ということですね。

まとめ

この記事のまとめ

  • 『ふるさと美浦の昔物語』は伝説系の民話を数多く収録
  • 非常にわかりやすく子どもでも読める
  • 妖怪の出てくる話は少ない
この本の評価
読みやすさ
(4.0)
面白さ
(3.0)
デザインの美しさ
(3.5)
コストパフォーマンス
(3.0)
オリジナリティ
(3.5)
総合評価
(3.5)

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