【平将門】初学者にオススメ『坂東の風雲児 平将門』

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wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

この記事では平将門たいらのまさかどをマンガで学べる一冊『坂東の風雲児 平将門』をご紹介します。

概要

『坂東の風雲児 平将門』は平成5年(1993年)に岩井市が発行しました。岩井市はいまの坂東市。平成17年(2005年)に猿島町と合併してできたんです。

合併後の名称については『将門市』も候補でした。市内には将門をご祭神とする国王神社(國王神社)もあり、ゆかりの地としての歴史を重視しているのでしょう。

冒頭には発行者である市長の言葉が次のようにあります。

この本を郷土学習の友として、次の時代をにな子どもたちや、市内の皆さまに”人間将門”についての理解を深め、現代に生きるものとしてなにかをくみとっていただければ幸いです。

平将門は単なる朝廷への反逆者ではありませんが義賊とも言い切れません。良いところだけでなく悪いところもあって成功も失敗もありました。

結果だけで単純な評価をするのではなく、じっくり読み取って人生の糧にして欲しいということでしょう。わたしもまったくの同感。将門公から学ぶことは非常に多いと思います。

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表紙の題字は当時の岩井市長・吉原英一さんです。達筆!

書評

本書は平将門(903年頃-940年)の生涯を描いたマンガです。史実を基に制作されており入門書として素晴らしいの一言。時代背景や用語説明も簡潔で理解しやすくなっています。

ただし、将門公の時代は1000年以上前です。細かな部分は明らかになっていないとして読むのがよいでしょう。それを踏まえても非常に完成度が高いのでオススメします。

人物の表情を追うだけで物語の筋がわかることには感動しました。将門公の喜び、悲しみ、戸惑い、怒り。感情が伝わるから行動にも共感できて心にも留まります。

作画は森藤よしひろさん。子ども向け雑誌でウルトラマンシリーズや特撮、ロボット作品などを描かれていました。きっと当時の子どもたちに馴染みのイラストだったのでしょう。

内容がわかりやすい理由として、マンガによって情報の強弱をつけている点もあげておきたいですね。

基本的には『ふきだし』を追っていけば物語がわかるようになっています。場所や年号は補足的な情報なので背景の一部として書かれています。こうした工夫で異なったニーズに応えられるようにしているのでしょう。

とにかくお話を楽しみたい、ざっくり全体像を知りたい人はイラストと吹き出しを追えばOKです。マンガとしての楽しみ方ですね。初学者や子どもはこちら。

一方、もう少し詳しく状況を把握しながら読みたい人はコマの隅々まで目を落としていけばいいんです。大人はこちらが多いでしょう。

マンガの特性が活かされていてお見事です。長文はありませんので非常にテンポよく読めました。じっくり読んでも1時間かかりません。

イラストの力は偉大です。人物の性格や感情をイメージできるようになりますので想像力が膨らみます。これを読めば歴史に残っていない部分を自分なりに埋められるようになるかも。。

所感

県内での将門公の評価

平将門は茨城県内で英雄視されています。苦しむ民のために戦ったことで道徳的に正しかったという評価です。これには完全に同意します。疑う余地がありません。

「それならなぜ乱を起こしたの?」と疑問を持つことでしょう。答えは簡単です。当時、坂東地域を統治していた平氏(将門の叔父・国香など)や国司がひどすぎたからです。

平安時代は律令制でした。律令(法)による政治体制のはずなのですが、法自体が未熟な上に運用者も未熟なので問題が多発しました。しかも問題を是正する仕組みが機能していません。

本書では野党を取り締まらない国司や税の二重取りなどを描いています。これらは日本各地で起きていました。そのため国民の支持を受けた源氏が武装蜂起することになります。

源氏は平氏と戦いましたが、本質的に打倒すべきは形骸化した律令制だったのではないでしょうか。そういう意味では将門公は源頼朝と同じ敵と戦っていたと言えます。

支配者は怠惰で搾取ばかり。将門公は自分もその立場なのに同じようにはしませんでいた。それどころか領民に味方して命の限り旧体制と戦いました。

敵対勢力にとっては悪魔のような存在かもしれませんが、領民にとって救世主であったことは間違いありません。

本書の課題

本書で課題をあげるなら将門公の人物像についてですね。ほとんど聖人として描かれており、批判的な要素は限りなく0です。

その代わり周囲の多くが悪人的に描かれ、不遇のヒーローとして強調されているように感じました。子どもに対して郷土の偉人を知ってもらうための本と考えれば理解できますが、対立意見を載せることで考えの幅が広がるんですよね。

特に新皇を名乗ったことについて。それがどんな意味を持つのか考える機会となったら面白いと思うのですが。。国体に関係した重要な事柄なので学ばないともったいない気さえします。

個人的には将門公の戦略について再検討してみたいですね。一族(平氏)の内輪もめが「新皇」誕生までエスカレートした理由。すべてを平貞盛たいらのさだもりや国司のせいにはできないと思います。

将門公はあらゆることに真っ向勝負でした。しかし、政治家としては大いに問題があったのではないでしょうか。

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とはいえ、将門公は急遽里帰りして領民を救うことになったのですから、経験や知識に限りがあったことも忘れてはいけません。それでもベストを尽くしたので尊敬できるんです。

将門公の失敗

将門公は人格者で武術に優れていたことは確かです。ただし欠点や失敗もありました。

特に国司を打倒したあと独立国家を誕生させたのは失敗だと思います。「新皇」を名乗らなくても謀反人として朝廷と争うことになったでしょう。

争いとなったら勝つ術はありません。朝廷は最強の討伐軍を組織して攻めてきます。しかも補給は無限に近いのです。

将門公は合戦の中で偶然にも額を矢で射ち抜かれて敗れたといわれますが。。将門軍には勝利条件が(事実上)ないので敗戦は確定。それが遅いか早いかだけの違いでした。こうした結果を予想して独立国家は避けたほうがよかったのではと思います。

これは将門公に対する批判ではなく後世の者が未来のために考えてなくてはいけないことです。

例えば、時代を飛んで日清・日露戦争後。日本は大陸に進出して満洲国を建国をしましたが、それは当初の目的であった自国の防衛の範囲を超えていなかったでしょうか。大東亜戦争では極端に領土を広げましたが、必然性はあったでしょうか。また、領地を防衛することをどれくらい考えていたでしょうか。

人はいつでも似たような間違いをする可能性があると思います。それもまた歴史が証明しているので勉強と反省あるのみですね。

購入方法

販売しているのは坂東市の郷土館ミューズです。価格は1,000円とお買い得。同じ内容をふつうに出版しようと思ったら絶対にこうはなりません。

将門公をお祀りする国王神社(@kokuoushrine)のツイートによると通販も対応されているようです。

郷土館は大変魅力的な展示をされています。実際に足を運んでみるのもよいでしょう。

また、ミューズでは『将門記』の現代語訳や彫刻師・後藤縫之助に関するパンフレットなども販売しています。

どちらも貴重な資料です。しかも安い。前者が1,000円。後者は300円です。参拝の際、ありがたいガイドになりますのであわせてご購入をオススメします♪


参考
郷土館ミューズ坂東市公式

まとめ

この記事のまとめ

  • 郷土の英雄・平将門をマンガで学べる
  • 当時の世情を考えながら読むと将門公に共感できる
  • 本は坂東市のミューズで購入できる
この本の評価
読みやすさ
(5.0)
面白さ
(5.0)
デザイン性
(3.0)
コストパフォーマンス
(5.0)
オリジナリティ
(3.0)
総合評価
(5.0)