wata
水戸で憤死したといわれる車丹波守斯忠。ゆかりの車城(跡)を訪ねてきました。
俗説が多いのはそれだけ人々の心に響いたのでしょう。事実かどうか確かめようがありませんが、わたしも主人の無念を晴らすため戦う姿には尊敬の念を持ちます。
この記事では車城跡と城跡に残る八幡神社をご紹介します。意外とアクセスがいいので、北茨城を訪れた際にはお参りしてみてください♪
車城とは
車城は現在の北茨城市の車(旧華川村)にあったお城(山城)です。かつて車氏が本拠地としていました。
鎌倉時代の末頃(1303〜1305年)に臼庭加賀守が築城し、室町時代に砥上氏(後に車氏を名乗る)が三代に渡って居城。文明17年(1485年)には岩城常陸氏が車氏から奪っています。
最後の城主は車丹波守斯忠で慶長元年(1596年)の付け替えまで城主だったといわれています。斯忠については車塚(水戸市)の記事にありますのでご覧ください。(冒頭リンク)
ちょっとややこしいのですが、車斯忠はそれまでいた車氏(元砥上氏)と別の一族です。斯忠はもともと岩城氏の一族でしたが、車城に居城する際に車氏を名乗るようになりました。
斯忠は佐竹氏の家臣となりましたので、佐竹氏の秋田移封に伴い車城は廃城となります。そして斯忠は行動を起こすわけですね。。
江戸時代の『新編常陸国誌』によると、当城は群馬城や牛淵城、臼庭城とも呼ばれたそうです。
車城跡
車城跡は北茨城ICから車で5分ほど。城郭(建物)はありませんが、一部城跡を見ることができます。また、山頂には車氏に信仰された八幡神社が鎮座しています。
神社のある場所まで車で登れますが、危険を伴いますので徒歩をオススメします。登山口に1〜2台であれば駐車可能です。
じつは神社を訪れた際、地元の方々が清掃をしていました。軽トラが3台ありまして本当にここまで来たのかと驚愕でした。。
歩いて登るならほとんど苦労はないと思います。途中、八幡神社の鳥居があります。このあとUターンするようなクネクネの参道へ。一気に攻めるのには苦労しそうな場所ですね。
登り始めて10分もせずに八幡神社に到着です。
八幡神社
市内には八幡神社が多く鎮座しています。ほとんどは頼義・義家親子の奥州征伐に関係していますね。当神社の由緒を茨城県神社誌から抜粋します。
永承年間源頼義北征の途次、当地に陣し敵情を偵察し、追討戦勝を男山八幡宮に祈誓し一社を建てたと伝ふ。後世車氏城内の守護神として崇敬。車氏滅亡後村人畏敬して鎮守とした。
八幡神社/茨城県神社誌
ご祭神は誉田別命です。漢風諡号だと応神天皇ですね。神仏習合の色濃い祭神なのでおそらく別当があったかと思いますが。。不詳です。
社殿は大正6年(1917年)の火災によって焼失しましたが、その後再建。ちょうど100年くらい経っているようです。拝殿の方はかなりガタが来ているので改修の動きもあるそうですが。。
本殿の再建はいまにして数千万円の費用をかかったとか。こちらはまだまだ大丈夫そうですね。
当社は花園神社の兼務社です。花園神社が満願寺だった頃、車城主の車丹波守義秀が戦勝祈願のために満願寺に愛染明王像を奉納しました。それがいまでは浄蓮寺に渡って安置されているんです。800年前のお話が残っているなんてスゴイですよね〜。
境内社は大塚神社(倉稲魂命)、稲荷神社(宇賀魂命)、鷺森神社(大己貴命・月読命)です。キツネの置物がありましたので、写真後ろの祠が大塚神社と稲荷神社かと思います。
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車丹波守の俗説
地元の方から伺ったお話で興味深いものをいくつかありました。
例えば、斯忠の弟の善七は江戸に逃れ、徳川幕府に認められて非人頭・車善七になったとか。また、その子孫をモデルに「フーテンの寅さん」こと車寅次郎が生まれたとか。。寅次郎は斯忠の異名『猛虎』をモチーフ?
ネット上で目にするお話(俗説)ですが、ご年配の方が知っているのに少し驚きました。さらに漫画『花の慶次 -雲のかなたに』に登場するというネタまで。
出たかな〜?と読み直してみたら。。ありました。最終巻の18巻(P110〜)で主人公の前田慶次と同じ上杉陣営に属し、徳川陣営と戦っています。秀吉亡き後の会津征伐ですね。
猪突猛進型で勇ましい感じです。このあと何度も活躍しますよ!
知らないことをいくつも教えていただき感謝です。北茨城まできてよかったです♪
アクセス
名称 | 八幡神社(車城跡) |
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住所 | 茨城県北茨城市華川町車字後沢432 |
駐車場 | なし |
まとめ
車城は北茨城市にある山城です。廃城となっていますが、車氏ゆかりの八幡神社は残り歴史を伝えています。
最後の城主・車斯忠は佐竹氏の忠臣として水戸にも史跡がありますので、ぜひ足を運んでみてください!
参考文献
茨城県神社誌/茨城県神社庁
常用藝文 2007/8月号
wataがいま読んでいる本
マンガで『古事記』を学びたい方向け
神社巡りの初心者におすすめ
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。