2月17日(水)『うなぎ地蔵』(城里町)の記事を公開しました。次回更新は2月21日(水)の予定です。

県北の渓谷にある浄蓮寺!見どころは紅葉と三十三体の観音像(北茨城市)

愛染堂

紅葉の時期は終わってしまいましたが、名所として知られる浄蓮寺を訪れました。茨城県の最北端、北茨城市にあります。

このお寺。なかなかユニークなのでオススメです。キレイな境内と三十三体の観音様をお参りできます♬

拝観料が200円かかることもあってお寺の方が常駐しています。いろいろとお話を聞けるので、実は観光に向いていると思います(*^^*)

浄蓮寺とは

浄蓮寺の石碑

浄蓮寺は天台宗のお寺です。慈覚大師じかくだいし円仁えんにんのこと)が858年に建てました。最初の本尊は大師自ら彫った阿弥陀如来像です。

お寺のパンフレットによれば、1190年に源頼朝から50石、領主の車丹波守義秀から100石を受けたとあります。ピンときませんよね。1石は180リットルですから、お米だと約100升です。むかしだと成人男性が1年で食べる量にあたります。それと周辺の20のお寺を配下にしていました。かなり有力なお寺だったようです。

仁王門

浄蓮寺の仁王門

入り口の仁王門です。浄蓮寺の仁王尊は1683年の作品ですが、門はもっと新しいかもしれません。1848年にお寺が”全焼”したと記録されているからです。現代のほうが文化財を安全に管理できますから、この立派な門も次の世代に残していきたいものです。

本堂

浄蓮寺の本堂

立派な茅葺かやぶき屋根の本堂です。仁王門でも触れましたが、浄蓮寺はたびたび火災に遭っています。大規模なものは1574年と1848年。宝物類まで燃えてしまいました。いまの本堂は1857年に建てられたものです。ご本尊の阿弥陀如来も焼失しましたが、1681年に作り直しています。

落ち着いた雰囲気がただよっていますね。荘厳なお寺という感じがいいです。でも、夏場の青々した外観もいいですよ。北茨城市商工会のブログにありますのでご覧ください。そちらの写真にはあじさいがありますので、6月下旬から7月上旬のことだと思います。

愛染堂

愛染堂

浄蓮寺の名物は阿弥陀如来像と三十三体観音だけではありません。愛染堂の愛染あいぜん明王も注目です!愛染堂は写真中央の真っ赤な建物。1593年に建てられたと云われています。中にはやはり真っ赤な明王が怖い顔で待っています。

でも怖い顔は悪いものを追い払うため。愛染明王は恋愛の神様ともいわれます。また、名前に『染』の文字があるので、染め物関係の守護神ともされます。そういえば、戦国武将の直江兼続は『愛』の字の装飾がある兜をかぶっていました。愛宕神社という説もありますが愛染明王の『愛』の意味といわれます。愛染明王は軍神ともされるからですね!

手前の仏像は・・・慈覚大師かと思いますが、伝教大師(最澄)にも見えます。

三十三体観音とは

花園川

観音参りの道2

浄蓮寺には三十三体の観音様がいます。建物のある敷地を出て、花園川を下に見ながら進んだ道にあります。

観音参りの仏像

造られた時代や著者はまったくわかりません。でも、三十三体とも岩を削って造られています。柔らかい花崗岩だとしてもスゴイことです。なぜか不動明王からスタートします。

観音様はそれぞれ姿も違っています。観音様は人々の願いに合わせてその姿を変えます。33通りありますので、すべて巡ればどんな願い事も届く(かも)というわけです。

裏山から見た風景

ただし、7番目以降は非常に高い場所あります。足場の状態によっては途中で諦めた方がいいでしょう。わたしは少しぬかるみがあってので8番目あたりで引き返しました。写真はその場所から撮影したものです。引き返せる場所で止めてください(^_^;)

wata

お参りもいいですが、紅葉も楽しめます。立派な樹々に囲まれているのでシーズンは素敵だったことでしょう♬

お参りの注意点と紅葉の見頃まとめ

注意
  • 8月はヘビが出るかも。細い山道での遭遇に注意
  • 10月はスズメバチが出る可能性あり。事前にお寺側に確認したほうがいいかも
  • 足場には要注意。当日晴れでもぬかるみがあれば、中止の判断も必要

わたしは12月の上旬に訪れたので紅葉は終わっていました。あと1〜2週間早ければまだ残っていたそうです。訪れるなら11月がいいかなと思います。花園川のせせらぎを聞きながら紅葉を楽しむ・・・きっと素敵な時間を過ごせます。

民話『馬を盗んだ猿』

浄蓮寺には不思議な伝説もあります。県北らしく動物(猿)が登場するお話です。

むかしむかし。茨城県の北部の山中にとても信仰のあつい和尚がいました。和尚は動物の言葉がわかったので、いつも仲良く遊んだりおしゃべりをしていました。大きな猿と一緒に暮らしていたので、村人は和尚のことを「猿の和尚さん」と呼んでいました。

ある日、和尚は「人々のために法華経を写してあげよう」と思い立ちます。しかし、和尚には紙もお金もありません。そこで、山から紙の原料となる『こうぞ』をとってきて自ら紙を作ることにしました。でも、一人で紙を作るのはたいへんです。それに冬場の水仕事は高齢の和尚にこたえました。和尚は凍えた手を日なたで何度も暖めて作業をしました。和尚と生活する猿はその姿をずっと見ていました。

ある時、和尚は手を暖めながらそばの猿に話しかけました。「紙を作るのは本当に大変だ。もし、お前が人間だったならなぁ」それを聞いた猿はなにかいいかけると姿を消しました。

猿が向かった先は長者の屋敷でした。屋敷には立派な馬がいたので、猿はそれを盗んでお金に変えようとしたのです。屋敷には大勢の人々がいますが、猿は気配を隠して馬に近づき、すきを見て盗み出したのです。屋敷の者たちはすぐに気が付きましたが、猿はすぐに和尚のもとに向かわずに追手を振り切り、あとをつけられないようにして逃げ切ったのです。

猿は和尚の喜ぶ顔を想像して馬を見せましたが・・・和尚は起きたことをすぐに理解して、とても悲しい顔になりました。猿も自分のしたことで和尚をがっかりさせたので、涙を流しました。

そのあと、馬を盗まれた屋敷の主人が和尚のもとにやってきました。村人たちから話を聞いて猿のことを知ったのです。和尚は事情をすべて話して、猿と一緒にお詫びしました。

すると主人は怒らずに「猿は和尚の尊い仕事を助けようとしたのですね。いやしかったのはわたしの方です。この馬は和尚の仕事のためにお役立てください」と言いました。

猿にも和尚にも、そして主人の目にも涙が浮かんでいました。そのあと和尚は法華経を広める願いを成就しました。

参考
いばらきのむかし話/編:藤田稔
茨城の民話/未来社

原話は『古今著文集』です。実は「このお話は浄蓮寺のことである」とはっきり書かれていません。でも、注釈に「そう考えられる」とありましたので、ご紹介いたしました。心温まるお話です♬

まとめ

浄蓮寺は北茨城市でも歴史ある有力なお寺です。

紅葉を見るなら11月がオススメ。ただし、危険がないかよくチェックして足を運んでください。

お参りをするなら、愛染堂の愛染明王と三十三体観音像がオススメです。どちらも珍しいものですし、この地の歴史を感じることができます。

アクセス

名称 八葉山 浄蓮寺
住所 〒319-1538 茨城県北茨城市華川町小豆畑2733
入場時間 午前8時から午後5時(10月~3月は~午後4時)
入場料 200円
定休日 なし
駐車場 あり。広い無料の市営駐車場があります。