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常陸利根川の竜神伝説とは!?水の大切さを教える水郷らしい物語(潮来市)

卜竜伝説アイキャッチ

ふと思ったのですが、を知らない日本人はいるのでしょうか。伝説上の生き物ですが、おそらく誰もが知っています。わたしはアニメやゲームで見かけることが多いのですが、お寺の飾りにもよくありますよね。もともと仏教と一緒に伝わってきたので、歴史が古く身近な存在なのでしょう。

茨城には竜にまつわる伝説がいくつもあります。水と深い関わりのある生き物なので、やはり水辺が多いですね。今回はその中から、わたしがもっとも好きな潮来いたこの竜神をご紹介します。

水郷北斎公園

常陸利根川

竜神伝説の舞台は常陸利根川ひたちとねがわです。常陸利根川は利根川から分岐して霞ヶ浦へと続いています。とても川幅が広くて、いまの時期は釣りや水上スキーを楽しむ方をよく見かけます。ちなみに、潮来あやめ園の前を通っているのも常陸利根川です。

景観を楽しめる場所はいくつもありますが、のんびり回るなら水郷北斎公園がいいです。車を停めて、そばの三熊野神社を通って権現山公園まで歩けばよい運動にもなります。

wata

公園の北斎は葛飾北斎のことです。北斎はこの地で常州牛堀という作品を描いたと言われています。

それでは、常陸利根川の竜神伝説です。

昔話『利根の竜神』

正面から見た常陸利根川

いまから1000年以上前の夏のことです。常陸国ひたちのくにの水郷地域には何ヶ月ものあいだ、雨が一滴も降りませんでした。

板来いたくの里(いまの潮来)は特にひどいものでした。いつもならあふれるほど水が豊富な利根川も川底が見えそうです。霞ヶ浦と北浦も干上がってしまい、人々に必要な稲が育ちませんでした。「これからどうすればいいんだ!」困った村人たちは、国府(いまの石岡市)の殿様に相談しにいきました。

話を聞いた殿様(平国香たいらのくにか)は・・・「それは大変だ!すぐに雨乞いをさせよう」国中の僧侶を板来に集めて、大規模な祈とうがはじまりました。ところが、1週間祈り続けても雨は降りません。次第に疲れを見せ始める僧侶たち。村人の間でも「やはり、だめか・・・」という声が聞こえ始めました。

この頃、板来にはとてもみすぼらしい卜竜ぼくりゅうという僧侶がいました。卜竜は、いつも食べるものがなく、人々にめぐみを求めていました。「こじき坊主」「くそ坊主」と呼ばれていた卜竜ですが、村はずれに住む甚兵衛じんべえだけはいつもやさしく卜竜を助けていました。

甚兵衛は、自分の食べ物に困るときも卜竜を助けていましたが・・・ついに「卜竜さん。これがわしの家の最後の米と水です。最後の飯ですよ」卜竜は美味しそうに食べたあと「甚兵衛さん。いつも助けてくださり、ありがとうございます。わたしはいよいよ天に帰ります。しかし、親切にしていただいた甚兵衛さんや村人をこのままにしてはおけません。最期の雨乞いをさせてください」驚いた甚兵衛でしたが、神々しく見えた卜竜の言葉を信じることにしました。そして、村人たちを説得して周り、卜竜が祈るための立派なやぐらを立てました。

卜竜は、そのやぐらの上で大きな声でお経を読み上げ始めました。そして・・・「雨の大神よ。神は川をけがし、水をよごし、水のありがたさを知らない人々に罰を与えなさった。しかし、人々はもう限界です。この卜竜の願いによって、どうかこの地に雨を降らせてください!」しばらくすると黒い雨雲が押し寄せて大豪雨となりました。人々は大喜びしたあと、やぐらの上の卜竜を拝みました。すると卜竜は・・・「水郷の民よ。水のありがたさを忘れるな。そして甚兵衛よさらば!」

卜竜は竜神の姿に変わり、天に帰っていきました。


■参考図書
潮来の昔話と伝説/著 水郷民俗研究会
民話でつづる霞ヶ浦/著 仲田安夫

親切にしてもらった竜神が、恩返しに潮来の人々を救った物語です。

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川を汚すな、水を大切に。いろいろなテーマを含んでいますね。とてもいい物語なので、ぜひ多くの方に知ってほしいです。

アクセス

名称 水郷葛飾公園
住所 茨城県潮来市牛堀17
駐車場 あり

三熊野みくまの神社

三熊野神社の社殿

北斎公園の道路を挟んでお隣にある三熊野神社です。今回の竜神伝説とは関係なさそうでしたが、境内の看板に面白いことがありました。

なんでも、この神社は埴輪武人像はにわぶじんぞうを所有しているそうです。像は文字通り、武人の姿をした埴輪です。どこかはわかりませんが、古墳から出土されたもので牛堀町の指定文化財です。その埴輪なんですが「古くから青龍大権現と呼ばれて、雲を起こし雨を呼ぶ神として祀られてきた」とあります。

・・・先ほど紹介した竜神伝説とほとんど同じです。調べたら、青龍大権現の登場する伝承は、潮来の竜神伝説とかなーり似ています。祈ったのが空海、それに応じたのが青龍大権現で、日照りに苦しんでいたことなどは同じです。わたしは卜竜のお話のほうが好きですけどね!

ご神木の大銀杏いちょう

三熊野神社の大銀杏

社殿のすぐお隣にご神木の銀杏があります。樹齢350年!高さ25mとかなり大きいです。ここまできたら、ぜひご覧ください!

アクセス

名称 三熊野神社
住所 〒311-2436 茨城県潮来市牛堀175
駐車場 なし

権現山公園

権現山公園石碑

三熊野神社の社殿の左手に階段があります。100mほど登ると権現山公園に到着です!。ちょっとした広場ですが、ここから見ると常陸利根川はなかなか素敵です。

権現山公園から見る日没

この公園からだと、ちょうど常陸利根川と霞ヶ浦とぶつかる場所が見えます。わたしが行ったときは日没だったので、シルエットになっちゃいました。でも、とっても素敵な場所ですよ♪

潮来市によれば、葛飾北斎の常州牛堀は、この公園から描かれたと言われています。いまはきれいな夕日が見える場所と知られていますが、舟のある時代も素敵だったでしょう。

アクセス

名称 権現山公園
住所 〒311-2436 茨城県潮来市 牛堀174-1
駐車場 あり

イラスト『利根の竜神』

利根の竜神

Illustration by 蜥蜴男

竜神伝説のラストシーン。豪雨の中、村人と甚兵衛に別れを告げる卜竜です。

竜は大きさを自在に変えられるともいいますが・・・わたしのイメージは超巨大なものです!共感してくださる方は多いはずですが、大きな竜の画はあまり見ないのではないでしょうか。お寺や神社などで見る竜は、竜だけ描かれているのでスケールがわからないですよね。アニメやゲームだと人物が目立たないので、実は大きく描かれることが少ないと思います。

そんなわけで、背景まで描かれた竜はかなり貴重です。蜥蜴男さんに頑張って描いてもらったので、楽しんでもらえたら嬉しいです!

まとめ

常陸利根川の竜神伝説は、人々に水の大切さを伝える物語です。人を見た目で判断してはいけない事と併せて、子ども向けに語られたと思います。

語られている時代は常陸利根川そのものがありませんでした。そのため、後の時代の水不足の際に考えられた可能性が高いです。

道徳的な意味が強いですが、正しい考え方だと思いますので、多くの方に知っていただきたい伝説です。