素鵞熊野神社の潮来祇園祭禮(潮来市)

各地で開かれる祇園の中でも特に注目してほしいのが、潮来祇園祭禮いたこぎおんさいれい!潮来市の素鵞熊野そがくまの神社の例祭です。

なにがすごいのか。一言で言うと山車と飾り物。でも、それを楽しむには少しだけ事前情報があるといいと思います。

この記事では潮来市の潮来祇園祭禮を楽しむため、神社と飾り物についてご紹介します。お読みいただいたらぜひ来年潮来でご覧いただきたいです!

素鵞熊野神社とは

市役所の前の通りの案内

市役所の前の通りの案内

素鵞熊野神社は潮来市潮来に鎮座しています。市役所から徒歩10分ほど。駅からだと15分くらいの小高い場所にあります。

名前の通り二社(素鵞社と熊野社)がひとつになった神社です。

素鵞社は天安2年(858年)に浪逆浦から流れ着いたお神輿を辻村天王原に祀ったことがはじまりです。文治4年(1185年)に天王河岸へ遷宮。板久牛頭天王と呼び、四丁目から西の鎮守となりました。元禄5年(1692年)、水戸光圀が領地を巡視した際、火災の心配があるとし同9年(1696年)に現在の地に遷されました。

おまつりのときに仮宮となる場所にかつて天王河岸のあったそうです。現在の住所は潮来市潮来ですから4丁目は古い区分ということでしょうか。

熊野社は天正年間(1573-1586年)に紀州(いまの和歌山県)の熊野三社を信仰していた村人が分霊を迎えたことにはじまります。熊野三社大権現と呼び、五丁目以降東の鎮守としてお祀りしました。素鵞社と同じく光圀の命によりいまの場所に遷されました。

二社はそれぞれ牛頭天王、熊野三社大権現と呼ばれていましたが、水戸藩の神道分離の政策により、素鵞神社、熊野神社と改称。

明治10年(1877年)に素鵞熊野神社と一体となっていまに至ります。2年後に郷社に昇格しましたので、社格を意識しての合併かもしれません。

素鵞神社のご祭神は須佐之男すさのお命と奇稲田姫くしいなだひめ。熊野社は伊弉諾いざなぎ尊、伊弉册いざなみ命、速玉男はやたまお命、事解男ことさかおです。

MEMO
駐車場は入口の鳥居の左手にあります。ふだんはあまり人がおりませんので問題なく駐車できるかと思います。

鳥居

一の鳥居(南)

一の鳥居(南)

まずは一の鳥居から平成23年に立てられたのでだいぶ新しいですね。こちらとは別に社殿の東側の鳥居もあります。

後ろにあるのは県指定の天然記念物にもなっている潮来大欅おおけやき。樹齢800年以上。樹高は11mもあります。

起源は文治4年(1188年)で大六天神社の鎮座を記念して植えられました。神社は素鵞熊野神社の境内社としていまもあります。神社のある小高い場所が大六天山なんですね。

狛犬・社号標?

笑顔の狛犬

笑顔の狛犬

参道は長くありませんが、見どころたくさんですよ。いくつも目にする狛犬は表情がいい。こちらなんて完全に笑ってますよね。

地面に埋まった社号標?

地面に埋まった社号標?

ちょっと気になるのは地面に植えられた石。郷社とありますよね。日本の敗戦後、社格制度の廃止に伴い撤去されたと思いますが。。このままだと残念すぎるので掘り起こして欲しいな。

二の鳥居

二の鳥居

石段で大六天山を登ります。真夏に参拝しましたが、ここは日陰なのでひんやりでした。

社殿

拝殿

拝殿

入母屋造りの拝殿。写真を撮り忘れましたが本殿は流造となっています。

拝殿はふだん閉じられていますが、この日は祭礼だったので開放されています。二神ともお神輿に乗って神社にいませんから、お参りするのはわたしくらい。。でも、ちょっぴり珍しい写真を撮れたのでよしとします。

愛宕神社

愛宕神社

愛宕神社

素鵞熊野神社の社殿から左手に進むといくつかの境内社があり、その先には愛宕神社が鎮座しています。ご祭神は火産霊ほむすびです。

青面金剛

青面金剛

注目していただきたいのは社殿の周囲にある石碑です。青面金剛しょうめんこんごうと彫られています。じつはこの文字は境内でたくさん見かけるんです。

青面金剛は中国由来の道教と日本仏教や神道が複雑に交わった存在なので説明に困りますが。。農業の神で農作物につく悪い虫(邪鬼)を払うといわれています。

その顔は恐ろしい怒りの表情で眉間にも目があります。肌は青、あるいは茶褐色といわれ、四本もある腕にはそれぞれ武器が握られています。。不動明王のようなイメージですね。

青面金剛は庚申様とも呼ばれています。かつての庚申様のおまつりではだれもが身を慎み眠らなかったそうです。この日に眠ってしまうと体に潜んだ3つの虫が『天帝』に『悪事』を知らせ、その人の寿命を縮めてしまうのだとか。独特の信仰ですよね。さすが道教。

青面金剛は恐ろしい顔ですが、農民を助ける慈愛に満ちています。神道では猿田彦さるたひことして捉えられており、境内には命の石碑も多数見かけました。

猿田彦命は『天孫降臨』で邇邇藝ににぎを先導したことから道案内の神様とされています。役目を終えた後は伊勢の五十鈴川の近くに鎮座し、水源を守る土地の神様となりました。

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猿田彦命も怪物のような姿といわれますが、女性(アメノウズメ)に弱い人間臭い面があって親しみやすい神様なんですよ♪

御朱印

素鵞熊野神社の御朱印

素鵞熊野神社の御朱印

素鵞熊野神社の御朱印です。初穂料は300円。2016年からはじまりました。

ふだん、社務所は無人ですのでお電話して宮司にご足労いただくことになります。

アクセス

名称素鵞熊野神社
住所茨城県潮来市潮来1337
駐車場あり
関連Webサイト潮来市公式

潮来祇園祭禮

下壹丁目の山車(飾り物:福俵と白鼠)

下壹丁目の山車(飾り物:福俵と白鼠)

素鵞神社の例祭が潮来祇園祭禮です。毎年8月上旬に3日間(金土日)開催されます。

祇園祭は疫病除けを願う牛頭天王のおまつり。牛頭天王は明治の神道分離以降、須佐之男命に置き換えられていることが多いので、須佐之男命をご祭神とする八坂神社や素鵞神社には夏になると祇園祭が行われます。

潮来祇園祭禮は天王河岸の鎮座からはじまったということで800年もの歴史といわれています。

初日に神社の二体のお神輿がお浜下りして仮宮へ。中日に山車と神輿が曳かれ(御神幸)、最終日にお山上りされ元に戻ります。

西壹丁目の山車(飾り物:神武天皇)

西壹丁目の山車(飾り物:神武天皇)

見どころはなんといっても山車の豪華さ、そしてお囃子の賑やかさでしょう。潮来ばやしは県指定の無形民俗文化財に指定されています。

夜の時間帯は潮来駅の駅前通りが歩行者天国となり大変な盛り上がりとなります。暑さも少し落ち着くので、日が暮れてから見に行くのもいいと思います♪

お浜下のようすは地域おこし協力隊のあやきさんがブログにされています。神輿を先導するのは天狗のような顔をした猿田彦命。なるほど、神話にちなんでいるようですね〜!

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山車がどこにあるかは常に把握できます。なんとGPSで位置情報を発信しているのでネット上でわかるんです!

仮宮

仮宮に鎮座するお神輿

仮宮に鎮座するお神輿

お浜下りした二体のお神輿は仮宮に鎮座しています。お参りするとお神酒と神棚に飾る稲穂をいただけますよ♪宮司もいらっしゃるので御朱印をいただきたい場合もこちら。

仮宮の鳥居

仮宮の鳥居

仮宮の周辺は駐車してよいかわかりませんので、歩いて1分ほどの津軽河岸跡に停めるといいでしょう。以下がルートです。

山車紹介

五丁目の山車(飾り物:源頼政)

五丁目の山車(飾り物:源頼政)

わたしが一番注目したのは五丁目の山車です。飾り物が源頼政みなもとのよりまさ公なんです♪

頼政公は古河市の頼政神社にお参りしてからファンになりました。ぬえ退治の伝説をもつ最強武将です!

山車の上にいる『おヒゲ』が頼政公。このときは見えませんが、家来の猪早太と鵺もおりますのでぜひご覧頂きたいです!

五丁目の山車は各町内の山車が豪華になるきっかけになったとか。非常に重要な存在だったんですね。

ちなみにこの山車は近年数千万円かけて新しくなったと耳にしました。山車を曳く前に見せていただいたのですが。。

八岐大蛇、浦島太郎の彫刻

八岐大蛇、浦島太郎の彫刻

彫刻がヤバイ!須佐之男命の八岐大蛇退治が描かれています。下の方は童話の浦島太郎。圧倒的な技術です。信じられないほど精巧。職人ハンパない!

猿田彦命と思われる彫刻

猿田彦命と思われる彫刻

鼻が高いのは猿田彦命でしょうか。これは間近で見て欲しいです。

上壹丁目の山車(飾り物:日本武尊)

上壹丁目の山車(飾り物:日本武尊)

上壹丁目の日本武やまとたけるの飾り物も素晴らしかったです。天叢雲あめのむらくもを手にして東征に向かうシーンを再現しているのだとか。

町内の曳き廻しは飾り物(人形)の高さを抑えていましたが、するすると立ち上がることができてこの3倍くらいになります。すごく立派!

日本武尊は県南から鹿行、北は日立あたりまで伝説を残しています。新治という地名は各地にありますが、尊が新しく井戸を治ったことに由来するといわれます。

日本史のスーパーヒーローがこうして堂々と町内を歩き回る姿は壮観です。駅前の大通りを通るというのもいいですね!

濵壹丁目の山車(飾り物:神功皇后)

濵壹丁目の山車(飾り物:神功皇后)

各町内の飾り物のチョイスが非常に面白いです。濵壹丁目は今年のパンフレットの顔ともなった神功じんぐう皇后です。

神功皇后というと、やはり三韓征伐でしょうか。急逝した夫・仲哀天皇の意思を継ぎ、新羅に出兵。朝鮮半島を平定しました。それも身ごもったまま。。出産した子どもは応神天皇。誉田別命と同一視され、各地の八幡神社で祀られていますよね。

神功皇后は昔から存在が疑問視されていますが、水戸光圀が編さんをはじめた大日本史では実在したとされています。大日本史の特徴のひとつです。

あと女性として日本ではじめて紙幣に肖像が印刷されました。日本人としては色んな意味で覚えておきたい皇后ですね。

日中は日差しがとても強かったので、日よけがかかっていました。夜だったら外れていることでしょう。

他にもたくさんの山車や飾り物を拝見しましたが、あまりにも多いのでここまで!

興味がある方は、ぜひ来年潮来市でご覧ください。ピークは夜なので宿泊するのもいいと思いますよ!

山車一覧

山車は以下の14基です。祭りのパンフレットから転載しています。

町名山車の製作年代飾り物の名称飾り物の制作年代と作者額の文字演奏芸座連
三丁目昭和39年獅子頭・獅子舞の奉納江戸後期神楽三丁目芸座連
西壹丁目平成4年神武天皇平成16年
田島義朗
敬神潮来會囃子連
七軒町平成元年源義経平成11年
田島義朗
豊穣祭好會鹿嶋芸座連
五丁目平成29年源頼政明治初期
伝・鼠屋五兵衛
敬神源囃子連中
貮丁目昭和63年大國主命平成10年
古屋敷吉男
崇敬登喜和芸座連
六丁目平成10年弁慶昭和54年
伊東久重
雲龍分内野下座連
四丁目明治8年天之岩戸明治12年
鼠屋五兵衛
素鵞街葦切會
大塚野平成17年本多平八郎忠勝平成17年
飯田幸静
誠意水郷會
あやめ二丁目明治10年真田幸村平成4年
古屋敷吉男
乍芳A
八丁目平成6年静御前明治8年
古川長延
生祥如月會囃子連
濵壹丁目明治20年神功皇后明治20年
福田萬吉
雍熙ようき佐原囃子連中
下壹丁目平成20年福俵と白鼠総曳年に区民により製作豊楽千秋會
上壹丁目昭和60年日本武尊明治16年
伝・衣川人麻呂
豊穣上町芸座連
七丁目平成元年素盞嗚尊明治33年
竹田縫之助
為徳花崎町囃子連

まとめ

潮来市の素鵞熊野神社は明治時代に素鵞社と熊野神社が一体となりました。

毎年8月上旬に潮来祇園祭禮があり、大変な賑わいを見せます。

もっとも盛り上がるのは夜です。ぜひ、見事な山車や飾り物を見にいらしてください!

参考図書

茨城県神社誌/茨城県神社庁

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