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大子町の5年に1度の例大祭を見てきました!
近年、中止となるおまつりが増える中、間隔を空けながら存続しているのを耳にすると胸が熱くなりますね。貴重な機会ということもあって、県北まで足を運びました。
この記事では大子町の花室神社と春季例大祭をご紹介します。次回の例大祭は2024年です。また見に行きたいっ!
花室神社とは

社殿とのぼり
由緒
ご祭神は木花開耶姫命です。富士(静岡県)の浅間大社から勧請しました。御神体は鏡だとか。
古くから安産子育てのご利益があるとされ、鉄製のくさりを奉納する慣習がありました。くさりは戦時中に徴収されましたが、235本で約420kgもあったそう。
神社の遠鳥居は初原の鹿島神社のそばの鍬柄田にあります。。わたしは気づかなかったので今度見つけてみます!
当社には『常州佐竹領鍬田村』と書かれた長享2年(1488年)の棟札が残っています。由緒の年代に建立されたかというと微妙なのですが、500年以上の歴史はありそうですね。
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『大子の歴史散歩ー西部編ー』によれば、神社の裏山の急な山道にある小さな祠が250年前に花室神社があった場所。祠は右側に風神・級長津彦命、左に雷神・別雷大神が祀られていたという。さらに以前はタカドヤ山頂に祀られていました。
行き方と駐車場
花室神社は大子町の佐貫に鎮座。常陸大子駅から車で20分ほど。栃木県の少し手前です。
奥久慈茶の里公園からだと車で3分ほどです。以下のルートを参考にしてください。
駐車スペースは社殿の左側に少しだけあります。
境内案内

一の鳥居(両部鳥居)
例大祭の日の夕方に参拝。夕暮れ時、車通りが少ないこともあって、とても静かな境内でした。
駐車場は鳥居の前ではなく、社殿の隣りにあります。一旦境内に駐車してから一の鳥居へ。
写真はその鳥居(両部鳥居)と社号標です。比較的新しく見えますよね。鳥居は社殿とともに平成3年に再建されました。

古い狛犬

大正13年の社号標
古い狛犬や社号標も残っています。社号標には『東宮殿下御成婚記念』。大正13年(1924年)とありますので後の昭和天皇のことですね。

平成3年に再建された社殿

覆屋のある本殿
瓦葺の拝殿。そして覆屋のある本殿です。平成3年(1991)に新天皇を迎えたお祝いとして氏子一同で再建しました。中世には火災に遭ったこともあるそう。後ほど紹介する伝承を考えるとアレレな感じですね。。
神社の周囲には桜が植えられています。とても若いので近年のことなのでしょう。ご祭神にゆかりの深い桜を楽しめて良い時期に参拝できたと思います。
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土壁の伝承
花室神社には興味深い伝承があります。茨城の伝説から一部抜粋します。
瓊々杵尊は多数の従神をつれて日向国に天降った神であるが、后として木花開耶姫を迎えて三皇子を生んだ。その一人の皇子を腹にもいった時に尊から皇孫でないことを怪しまれて姫は悲しみ、生戸室を建ててその中に籠った。
「この腹の子が天孫の胤でなければ、産室は焼け滅びるであろう。もし本当に天孫の胤であるなら火が襲うことはできないはずである」といって産室に自ら火をつけて焼いたというのである。
佐原花室神社の由来 土壁のない家造り/茨城の伝説
この神話から佐貫では家を建築する場合絶対に土壁を用いない。花室神社の祭神に迎合して、この風習は尊重され今日に及んでいる。以前佐原中学校を新築したさいも校舎はやはり土壁をさけてつくられたのだといわれ、伝説もここまで尊重されてはもったいない気がしたものである。
佐原花室神社の由来 土壁のない家造り/茨城の伝説
つまり、神話の木花開耶姫は焼失する家にいても大丈夫だったので、信仰のある者もあえて同じように焼ける家造りをしている、ということかと思います。
この伝承が周辺で知られているか実際に現地で聞いてみたところ、ご存知なのは1名のみ。他に数名聞きましたが、50代前後でも知らない方が多いようです。
この本が発売されたのは昭和48年。いまから45年以上前ですし、近年土壁で新築する方はいませんから知らなくて当然かもしれません。
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茨城県神社誌には「周囲の氏子は土室を造らない」とあります。
アクセス
名称 | 花室神社 |
---|---|
住所 | 茨城県大子町佐貫931 |
駐車場 | 社殿左側に少しあり |
春季例大祭

春季例大祭ののぼり
花室神社の春季例大祭は5年に1度。2019年は開催の年です!日中は町内に山車を曳いて盛り上がっております。
貴重なワンシーンを大子町の益子さん(@mashirinam)が録画しておりましたので、映像をお借りしました。
山車は暴れるように上下左右に動きながら進んでいくんですね!ジャンピングするの面白すぎる。。!
けっこうスピード感がありますし、とても珍しい動きだと思います。なんだかやんちゃな印象もありますね。。『はなびら』が舞っているのも春らしくて素敵です。

お祭り伝承館に鎮座するお神輿
夜は宵祭があるんです。会場は奥久慈茶の里公園内のお祭り伝承館とその前の広場。お神輿は伝承館の中に鎮座して一晩を過ごします。翌日、また町内を周ったら元あった神社の神輿殿へ。

伝承館前の桶
「あそこにお神輿が−」と近づいたら。。うっすごいお酒の香りっ。この桶もしや。。夜も更けてきて大変ごきげんな方もちらほら見えました。

花室神社の山車
山車は伝承館のそばに置かれていました。間近で見るとより個性的に見えますね。桜は鮮やかなピンク色が目立ちますし、ちょうちんの明かりは大変おめでたい雰囲気です。

天岩戸の飾り物
上部の彫刻には太陽とにわとりが見えます。おそらく天岩戸を再現しているのでしょう。つまり、中央の女性は天照大神。。その下はだれでしょう?
大子町の山車が出るお祭りは花室神社だけだそう。これが見れるのは貴重な機会です。めったに見れませんが、旧上岡小学校の校庭にある「祭り伝承館」は、学校の開放とあわせて山車も公開しています。

伝承館の山車
わたしが祭りで直に見たものと彫刻が異なりますので、何箇所かにわけて保管しているようです。学校を訪れた際にはぜひ探してみてくださいね。


ご覧の通りものすごい彫刻です。中国の故事らしきものも見えました。魚の方は滝を登り終えると龍になるという、いわゆる「登竜門」でしょうか。


白竜の方には人物がいますね。何やら怪しげに見えますが。。もしかしたら神話のワンシーンかもしれません。もしピンときましたら教えて下さいね。
6時から余興がスタートしました。完全に部外者ですけどワクワクです〜!
音楽まつり

宵祭(音楽まつり)の開会の挨拶
主催の本郷若連の代表者がご挨拶。ステージの音楽まつりは次のようなスケジュールでした。

まったりたいむのライブ
まったりたいむは大子町を代表するバンドといっていいでしょう。
地域おこし協力隊でBaのレイタさん(@f2OkogMAuwZVGXx)大子町出身のGt.VoのYUKAさん(@yuka_mattari)、同じくKey.Voの益子さん(@mashirinam)の三人で編成。
いつもまったりでのんびりなステージで楽しませてくれます。この日は地元の貴重なおまつりということで、なかなか力が入っていたように感じました。
益子さんは子どもの頃からステージに上りたかった夢が叶ったそうです。19歳の15年は長年ですよね。見ている方としても感慨深いものがありました。

川嶋志乃舞さんの三味線
続いて、川嶋志乃舞さんが登場!茨城を代表するアーティストだと思います。わたし、ときどきライブを見に行くんです。
まさかここでお会いできるとは思いませんでしたので、すごく感激しました。三味線の音色は徐々にヒートアップしていき、会場は熱気に包まれておりました。
川嶋さんは伝統的な曲も弾きますが、やっぱりキラキラシャミセニストの肩書通り、独創的で光り輝くような演奏をされます。
『カワイイ』という声も多いですが、わたしは『パワフル』な印象ですね。ステージではすごく大きく見えますし。。

ステージ下で演奏
誘導のためのホイッスルでリズムをとりながらみんなで手拍子。独特すぎる盛り上がり方で5年分の奉納ができたと思いました。

カラオケ大会
そして最後の演目であるカラオケ大会へ。わたしはこれから少しして撤収しました。ちょっと寒かったですけど、心温まる賑やかなおまつりでした!
まとめ
大子町の花室神社のご祭神は木花開耶姫。富士の浅間神社から勧請された桜の女神です。
5年に1度。春に春季例大祭が開かれます。ユニークな動きをする山車とお神輿が町内を周ります。
例大祭の前日には宵祭があり、地元の方々を中心に賑やかな音楽の演奏がありました。
参考文献
茨城県神社誌/茨城県神社庁
茨城の伝説/編:茨城新聞社
奥久慈膝くりげ/著:石井良一
wataがいま読んでいる本
マンガで『古事記』を学びたい方向け
神社巡りの初心者におすすめ
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
御朱印巡りをされる方へ