wata
- 由緒と御本尊
- 境内の桜と藤について
- 御朱印のいただき方
茨城の県南に住むわたしにとって、山々のある県北の風景は新鮮。たまに寺社巡りをしてリフレッシュしています。
特に大子町はのどかな風景が続くので道中の運転も楽しいです。観光地なので訪問先では温かく迎えてもらえることが多いのも魅力ですね。
というわけで、この記事では大子町の性徳寺(真言宗智山派)をご紹介します。高台に位置するお寺で境内の藤と桜も見どころです♪
性徳寺とは
由緒
ご本尊は金剛界の大日如来像です。ちなみに大日如来は金剛界と胎蔵界の2種類があります。
茨城の寺(四)によると、同町の慈雲寺の末寺として創建され栃木県馬頭町の馬頭院の支配下にあったそう。本末関係とは別に支配関係があったというのは。。事情がありそうですね。ただ、性徳寺から慈雲寺の住職になった僧もいたそうなので、この二寺の関係は密接だったかと思います。
観音堂は准胝観音像を本尊として安置しています。この観音像は近くの自在院にありましたが、廃寺となったことで当寺に移されました。水戸三十三観音霊場の観音像でしたので、いまでは性徳寺がその代番となり御朱印を授けるなどしています。
寛文3年(1663年)の開基帳によれば末寺5ヶ寺、門徒18ヶ寺、旦那297人、持高7石9斗8升5合の規模。
アクセス
常磐道の那珂ICから約1時間10分。栃木方面の高速道路からも同じくらいです。
最寄り駅からだと車で10分ほどです。
車で参拝することになるかと思いますが、県道461号から下金沢郵便局のあるところから入るようにしてください。わたしは裏道から入って大変な思いをしました。。
駐車場は広いです。必ず停められますのでご安心ください。
名称 | 鷲栖山 法光院 性徳寺 |
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住所 | 茨城県大子町下金沢字野田292 |
駐車場 | あり |
公式サイト | 大子町商工会 |
山門
原風景が広がる町内をドライブして性徳寺の駐車場へ到着。少し高台にあるので見晴らしがよく気持ちが昂ぶります♪
鮮やかな前掛けをまとう六地蔵に挨拶して山門をくぐります。草花に彩られた境内なので心が穏やかになりますね。
藤
山門から少し歩き石段を登ると左手に藤が見えます。7月の参拝だったので開花の時期はずいぶん前に過ぎています。残念!
藤の花はおよそ三尺になるそうなので、この規模であれば壮観でしょうね。
こちらは令和5年(2023年)の5月3日の撮影。見頃を迎えておりました。
立派であることに違いはありませんが、思ったより。。と感じたのではないでしょうか。じつは花つきに不安があって近年剪定を行ったのだとか。勢いを取り戻すためにしたことなので少しの間は見守る必要があるそうです。
後にご紹介する桜もそうですが、ありのままだと風や雪などで枝が折れてしまうことがあります。そのため巨木で古木となると一層のお手入れが必要なんですね。
境内の植物を観賞する際にはそうした面にも目を向けると感謝の念も含めて楽しめるかと思います。
枝垂れ桜
藤の隣にあるのは枝垂れ桜です。もっさりしていますね。こんなときは中を覗いています。。
支えられているおかげでじつに個性的な枝ぶりです。不自然ともいえますが、人と桜が一体となった姿で個人的には美しく感じます。
見頃を迎えたお姿がこちらです。一般的にシダレザクラはソメイヨシノよりも開花が早いのですが、当寺が県北に位置することもあって見頃はソメイと同じ頃です。写真は4月9日に撮りました。
境内にはこの他にも桜が植えられておりますので、春の参拝は特におすすめです。ぜひのんびりとした町の風景を楽しみながらお参りしてみてください。
桜のお写真は『茨城県の桜』からどうぞ。もっさりから一変して非常にバランスのとれた姿に見えますよ♪
本堂
本堂は非常に新しく見えますが、昭和に行ったのは「大改修」なので原型はかなり古いのでしょう。
写真は扉を締めていますが、お寺の方にお会いしたら中に案内してくださいました。お寺の歴史についてもご教授いただきありがたいことです。
寺社の参拝はだれかに案内をいただけると嬉しいのですが、期待してしまうと相手に負担になるかと思いますので基本的には何事も自力で済ませます。
常日頃そのような意識でいるので、お心がけいただくと感激してしまいますね。お茶までごちそうになってしまいました。いやはや恐縮です。
観音堂
本堂の向かって左手にある観音堂。こちらに自在院の准胝観音像が安置されています。
撮影の許可を撮り忘れたので写真がありません。でも、観音堂の中には珍しいものがいくつもありますのでぜひ実際にご覧ください。
ふだんは閉じられていますが、参拝者は開けて大丈夫です。もちろん終わったらきちんと閉じなくてはいけません。でないとハクビシンが侵入してしまうのだとか。。
じつはこの参拝で初めて准胝観音を耳にしました。『仏像ワールド』によると次のような解説がされています。
准胝仏母(じゅんていぶつも)・七倶胝仏母(しちくていぶつも)ともいいます。もとはヒンドゥー教の女神であるドゥルガーで、シヴァ神の妃とされています。とても美しい姿ですが、神々の武器を持って魔族を倒した戦いの女神です。そのため本来は女尊であり、観音ではないという指摘もあります。しかし、ここでは観音として紹介しますね。
仏教に取り入れられてからは慈悲深い清浄をもたらす神とされ、七倶胝仏母(しちぐていぶつぼ)ともいわれています。これは遙か過去より多くの仏を誕生させた仏の母という意味です。そのため、真言宗系では人道を救済する六観音(聖観音・千手観音・十一面観音・如意輪観音・馬頭観音・准胝観音)に数えられますが、天台宗系では准胝仏母といわれ如来に分類されています。不空羂索観音と合わせて七観音と呼ばれることもあります。
准胝観音とは/仏像ワールド
ヒンドゥー教にはハチャメチャな神が多数いるのですが、こちらは仏教と習合してマイルドになったパターンですね。ヒンドゥー教で力があるほど仏教ではご利益を与えてくれるとされていたようなので篤い信仰があったのでしょう。
観音堂には大子七福神の毘沙門天像も安置されています。霊場用ではなく古い像もありますので併せてご参拝ください。
wata
伝説によると観音像は運慶の作で日光輪王寺にあったといわれますが、たしかな記録はありません。
御朱印
性徳寺でいただける御朱印は以下の3種類です。御朱印は本堂の右手にある庫裏でお声掛けください。
- 大日如来…性徳寺のご本尊
- 毘沙門天…大子七福神
- 准胝観音…水戸三十三観音霊場 自在院の観音像
文字に顔が含まれているのがユニークですね!毘沙門天の顔は勇ましく描かれています。
また、近年は遊び心満載の飛び出る御朱印(?)の頒布もはじまりました。
こちらの御朱印は御朱印帳を180度に開くと破れてしまう箇所があるのでご注意ください。
まとめ
この記事のまとめ
- 水戸三十三観音、大子七福神を安置する霊場
- 春の桜と初夏の藤が風物詩
- 御朱印は3種類。本堂右手の庫裏でお声掛け
参考文献
茨城の寺(四)/今瀬文也
大子の歴史散歩ー西部編ー/編:大子郷土史の会
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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