2月17日(水)『うなぎ地蔵』(城里町)の記事を公開しました。次回更新は2月21日(水)の予定です。

美しいだけじゃない!宍塚大池に残された恐怖のオロチ伝説は人々になにを伝えたいのか(土浦市)

宍塚大池アイキャッチ

昔話が好きなので、古い本を引っ張り出してよく読みます。わたしが好きなのは、気持ちがほっこりしたりミステリアスなお話ですね。でも・・・昔話には怖いものが多いんです。

あまりに不気味だったり気分が悪くなる話は紹介しませんが・・・面白いので巨大生物モノは例外とします。今回は土浦市内にある宍塚ししつか大池の大蛇オロチ伝説です。美しい景観とギャップのある怖い話です。

宍塚大池のオロチとは

宍塚大池1

先に宍塚の大池を紹介しておきましょう。

宍塚大池はため池です。江戸時代に農業用水を貯めるためにつくられました。水源は雨水だけで、田植えの時期になると貯まった水で40haもの水田を潤しています。宍塚と周辺の米作りにとって重要な池です!

また、池の周辺は林に囲まれていて、池と合わせると約100haもの広大な敷地となります。自然環境や里山文化など、後世に伝えたいものがたくさんあります。

オロチの伝説

宍塚大池のオロチ伝説は、わたしが知っているものだけで3種類もあります。ディティールは違うのですが、結末はどれもほぼ同じです。今回は基本的なものとして市役所発行の『土浦市史(民俗編)』からご紹介します。

むかしむかし、宍塚の部落に安さんという召し使いの男がいました。ある日、安さんは宍塚の大池で草刈りの仕事を終えると、刈った草をまくらにウトウトしていました。ところが、なんだか変な気分になったのでハッと起きると、目の前に大蛇がいました。

蛇の首はお餅をつく臼と同じくらい。大きくて恐ろしい蛇に驚いた安さんは、へなへなと腰が抜けてしまいました。蛇はペロペロと赤い舌を出しながら安さんを見ていましたが、少しすると首をかまげてどこかに行ってしまいました。

安さんはいつも拝んでいる天王様が助けてくれたと思いましたが・・・大蛇の毒気にあてられたのか、それからまもなくして死んでしまいました。

う〜ん、安さんは悪くないと思うのですが。

『土浦のむかし話 第二集』にもオロチのことが書かれています。そちらでは、ジュンサイを取りに来た出島村の村人たちの前に現れました。船の前に突然現れて、村の娘をさらっています。娘さんはついに見つかりませんでしたので、それからジュンサイを取りに来る人達はいなくなったとか。大池周辺の自然を守っている、ということなのでしょうか。。。

また、一風変わった伝説が『土浦の民話 上/著 岡部智子』にあります。こちらでは、オロチは夏になると大池を抜け出して小旅行をします。乙戸沼で一晩泊まって、次は猪子(牛久市)の池へ。その次に牛久沼で1〜2日休んで、最後は馴柴の沼(龍ケ崎市)に到着です!一体、どんなふうに出来上がった伝説なんでしょう??ちなみに、この本でも蛇を傷つけると命を奪われます。(こちらのオロチは出会っだけでは死なないかも)面白くもありますが、やっぱり恐ろしいお話ですね。

wata

共通しているのは、オロチや大池周辺の自然を傷つけると罰を受けることです。昔の人なりの自然を保護する手段だったのかも、とも思えますね。

宍塚大池のいま

それでは、伝説の舞台『宍塚大池』のいまをご紹介します。大池については『NPO法人 宍塚の自然と歴史の会』が自然環境を守りながら、歴史や文化を後世に伝える活動をしています。そのおかげで2010年にユネスコ未来遺産と農水省のため池百選に選ばれています!

宍塚大池と調査用ボート

大池の調査活動に使われているボートです。水中の生き物や植物など、いつも熱心に調査しています。先日、足を運んだら雨なのに船が出されていて驚きました。調査員もわたしに驚いたでしょうが。

宍塚大池の散策コース

最近は暖かくなったせいか、釣りをしている方をよく見かけます。道具を見たところブラックバスを狙っているようです。田んぼの水路ではざりがにをよく見かけますし、近年では外来種が多いのでしょう。もちろん、外来種の放流は生態系が変わってしまうので厳禁です。

夏と冬の大池

農業用の水源として活躍していることがわかる写真をご覧ください。一枚目が夏、二枚目が冬です。

夏の宍塚大池

冬の宍塚大池

池の上にせり出た足場から水位がわかります。夏になる水が田んぼで使われているので、水位が下がっているんです。

足を運ぶ際の注意

注意
宍塚の大池には、自然観察や釣りをしにいらっしゃる方がいます。その方々に注意していただきたいのは、池周辺は暗くなると極めて危険ということです。道路は狭くて舗装されていないので、脱輪したりぬかるみにはまる可能性があります。大池の周辺には柵などがありませんので、足を滑られて転落するかもしれません。天気が悪いときも注意ですが、暗闇は命の危険性が高いです。

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車で行くなら『上高津貝塚ふるさと歴史の広場』に停めて、池まで15分程歩くといいです。池周辺の狭い道路をすれ違うのは何度経験しても嫌なものです

ドローン写真集

ではでは最後に貴重なお写真を。昨年の冬にお友達がドローンで撮影した宍塚大池です。豊かな自然環境と神秘的なことが起きそうな予感が伝わってきます。

宍塚大池(ドローン空撮1)

宍塚大池(ドローン空撮4)

宍塚大池(ドローン空撮3)

イラスト『宍塚大池のオロチ』

宍塚大池の大蛇

Illustration by 蜥蜴男

怖いというよりも、神聖な存在として描いていただきました。真っ暗な夜に自らの光でその存在を示しています。ふつうの生き物ではできないことですね。

昔話とはいえ、オロチは積極的に人の命を奪ったわけではありません。なにか理由があるのでしょう。でも、理由があったとしても、それは必ずしも人間に理解できません。世の中には自分たちにわからないことがあると、人は少しだけ謙虚になる必要があるでしょう。これは古代人の自然に対する姿勢と同じですね。

怖い昔話は、言葉で説明できないことを感覚的に伝えているのかもしれませんね!

アクセス

名称 宍塚大池
住所 〒300-0805 茨城県土浦市宍塚729