2月17日(水)『うなぎ地蔵』(城里町)の記事を公開しました。次回更新は2月21日(水)の予定です。

土浦市民必見!六歌仙・小野小町が残した伝説は小町の館にあり(土浦市・石岡市)

小野小町といえば、平安時代の和歌の達人で絶世の美女といわれます。小学生の頃からそう聞いていたので、さぞ有名な方かと思っていました。

でも、実際には経歴どころか出生や没年さえ定かでありません。詠まれたとされる歌でしか、その存在を確認できないミステリアスな人物です。ちなみに、タイトルの六歌仙ろっかせんとは、紀貫之が古今和歌集で取り上げた代表的な歌人のことです。女性は小野小町だけなんです。

土浦市にはそんな小町ゆかりの地があります。旧新治地区にある小野です。現在は小町の館が建っており、小町伝説や小町の歌などを楽しめるほか、美味しいそばが食べられます。

先日、立ち寄ったときは、まもなく桜が咲きそうでした。小町と小町の館についてご紹介しますので、ぜひ桜の開花にあわせてお立ち寄りください。

小町の館

この日、わたしが訪れたのは午後3時頃。空はまだ青いですが、ちょっとだけ日が落ち始めています。館の正面に車を停めて入っていきました。

小町の館につながる橋

大きな水車

小町の館で、まずはじめに注目するのはこの水車でしょう。約7mの大きさで県内最大級です。ここでそばを挽いているのでしょうか。次回、確認してきますね。

小町の館『本館』と小町伝説

小町の館外観2

小町の館本館内部

最近のことだと思いますが、本館前には桜を連想させるのぼりがありました。季節感があっていいと思います。小町の女性的な雰囲気にもあっていますね。

小町の館の本館には、お土産品の販売、小町伝説や歌を展示したギャラリー、そば屋、それにイベントホールなどがあります。写真のディスプレイは小町伝説を紙芝居風に紹介していました。紹介されていた物語は、小町が若い姿だったり、亡くなったあとのことまであったりと、私の知っている昔話とは違う点が多かったです。

では、そもそも小町伝説とは?ちゃんと知っている人はかなり少ないはず。小町の館の販売物には以下のようにありました。

言い伝えによると、小町は、上総国山辺郡(千葉県山武市)の郡司の娘として生まれ、三歳の時、父・良実の勤め替えの為に出羽国雄勝郡(現・秋田県湯沢市)へ行ったという。十四歳になった時、宮中からお迎えがきて女官となり、歌人としても才能を発揮しました。
その後、京都から東国へ下り、奥州へと旅する途中、清滝観音に詣で、さらに山越えをして、石岡市小野越の北向観音にお参りしました。ところがその帰り、山道に迷ったあげく、病に倒れてしまいました。幸い、小野村(土浦市小野)の村長・小野源兵衛の使用人に助けられ、小野家で手厚い介護を受けましたが、病状は、一進一退を繰り返し、ついに元慶七年(883年)七月七日、この地において69歳でなくなったと言われています。引用元:第16回 常陸国・小野小町文芸賞 入選作品集

小野を訪れた際はすでに高齢だったのでしょうか。北向観音にお参りした理由は・・・。なぜ、お参りをして元気になった帰り道で体調を崩してしまったのか。知るほどに謎が増えていくような気がしますね。

恒例の小野小町文芸賞

小町の里とある石碑

和歌の書かれた石碑

敷地内では、いくつもの石碑を見かけます。石碑には小野小町文芸賞で選ばれた和歌が書かれています。文芸賞は館の完成以来、毎年続けられています。私の手元には平成26年に発刊された第16回の作品集があります。こちらには100点以上の作品が掲載されていますから、俳句や短歌を楽しまれている方ってたくさんいるのですね!

2つのそば処『小町庵』

小町の館は本館と離れに2つのそば屋があります。名前はどちらも『小町庵』といいます。ちょっとややこしい。本館にある小町庵は建物がとても綺麗で、いつも賑わっています。でも、私が食べるのはいつも離れの方です。

離れの小町庵

ひとりで行くことが多いので、とても気軽に立ち寄れることと・・・素朴すぎる佇まいとは裏腹にかなり美味しいそばが食べられます。本館と同じ常陸秋そばを使っていますので、味も香りも素晴らしい。そして、驚くほど低価格です。

鴨汁そば

鴨汁そばがなんと950円!でも、味はしっかりしています。つゆにはたっぷりと鴨とねぎが入っています。そばとゆずの香りを楽しみながらジューシーな鴨をいただく。。。値段以上の満足です!

wata

ところで、かけそばが700円なので鴨とねぎの分はわずか250円なのでしょうか。お得ですが少し不思議な料金設定です。

小町の館『体験工房』と『おやすみ処』

休憩所

本館の裏にある建物は、そば打ち教室などをする『体験工房』と休憩所です。いつも、カカシの家族がのんびりと腰掛けています。

体験工房は、本格的にそば打ちを学べます。昨年、この会場で開催されたそばまつりの際にその様子を見ていたのですが、そば打ちの道具は新しいものが揃っており、教える方々も慣れていた印象です。

同好会の方はイベントで教えるだけでなくて、そばの販売もしていました。私が実際に食べてみたところ、お店に並ぶくらい美味しかったです!安心して習ってください。

ドローンで見る小町の館周辺

小町の館の前でドローンを飛ばしてみました。裏に大きな山があるのがわかります。小町はこの山を越えて、北向観音まで行ったのでしょうか。もし、高齢であれば信じられない体力ですね。

ドローンで見る小町の館周辺


ところで、この地で亡くなった小町にはお墓があります。小町の館のすぐそばにあって、以前は『小町の墓』として見学できましたが、現在は当家の事情によりできません。

小町が目指した北向観音堂

小町の館を訪れた日よりも前に北向観音堂を撮影したことがあります。小町が顔の”イボ”をとるためにお参りしたされる観音堂です。願いは見事に叶って、美しい肌を取り戻すことができました。

石岡市の観光協会のWebサイトによると所在地は石岡市の小野越です。小町ついでにご紹介します。

仏生寺の景色

北向観音堂を示す看板

小町とのゆかりを示す看板

階段前の石たち

いくつもの石碑や仏像があります。『小町せせらぎの家』という建物もありますが、いまはあまり使われていないようです。案内自体はたくさんあるので、小町伝説の地としてアピールする考えなんですね。

北向観音堂

観音様が北を向いているのはとても珍しいそうです。仏が北を向くと拝む人は南向きになります。すると、南の天竺の方に願いが届くので、現世のご利益が得られると考えられているそうです。小町の願いは天竺に届いたので、難しい病気も治ったということでしょう。

参考
石岡地方のふるさと昔話 著:ふるさと”風”の会

イラスト『小野小町』

Illustration by 鹿野カエデ

小野村を訪れた小町を、鹿野カエデさんに描いていただきました。小町の歌や伝説を知っている方でも、その姿を見たことはありません。美人と評判なのですから、もっとイメージが飛び交ってもいいと思いますがいかがでしょう。

ちなみに、わたしのイメージでは和歌を楽しむ教養があって、長旅ができるほど健康的。家族や子孫のことはほとんど知られていませんから、自由気ままなところがあったのかな、と思います。

衣装について

平安時代の歌人ということで、当時の中流階級以上の女性が旅行や外出の際に着用する『壺装束つぼしょうぞく』をまとっています。壺装束は着物の裾を端折って動きやすくしたものです。頭にかぶっているのは市女笠いちめがさです。そこから垂れ下がっているのが”虫の垂れ衣”で、顔を隠すことと虫除けのためにあります。高貴な女性の旅姿ということで、機能性もデザインもハイレベルです。現代でも、たまにはどこかでこのような姿を見たいものですね。

アクセス

名称 小町の館
住所 〒300-4108 茨城県土浦市小野491
駐車場 あり
定休日 月曜日(休館日が休日に当たるときには、次の日)、年末年始(12月29日〜1月3日)
Webサイト 土浦市公式サイト内