意外と珍しい!?交通安全の天録稲荷神社|土浦市【神立駅】

記事内に広告を含みます

wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

都内の神社であれば街中にあるのが普通ですが、茨城県内だとあまり目にしません。街中ですぐに思い浮かぶのは今回ご紹介する天録てんろく稲荷神社です。

少し変わった理由で建てられたので、交通安全のご神徳があると言われています。通学や通勤、特に車を運転する方はお参りしておいて損はないと思いますよ!

由緒

以下は『新治地区神社誌』にある由緒をまとめました。社務所で配布されている由緒書や境内石碑に刻まれた内容と一致するものです。

明治30年/1897年
創建

旧2月初午、当地の高野治平氏が初代神立駅駅長と共に交通安全と当地の繁栄祈願のため山城国伏見稲荷神社から分霊・勧請し、鉄道開通記念として創建。(神立駅設置決定は明治27年、翌28年に開業)

昭和28年/1952年
宗教法人設立および境内地寄進

法人設立にあわせて高野久氏が境内地を寄進
*『新治地区神社誌』より

昭和27年/1952年
拝殿新築および由来建立

*『新治地区神社誌』より

昭和52年/1977年
社殿改修

*境内石碑および『新治地区神社誌』より

昭和63年/1988年
「八坂皇大神」の石碑建立
平成5年/1993年
社殿造営

本殿、幣殿、拝殿改築。
*境内石碑より

令和3年/2021年
鳥居建立

*令和御大典記念事業。境内石碑より

ご祭神は倉稲魂うかのみたまです。お稲荷様といえばこの神様。特に本営の伏見稲荷神社から分霊した神社は、この神様をお祀りしています。例外は寺院で祀られる荼枳尼天だきにてんなどですね。

神社のほとんどは江戸時代以前に建てられています。ところが当社は明治27年、つまり近代になって創建されました。それは神立地区に常磐線の神立駅が設置されたことに由来します。

電車の事故は、大規模になることが予想されるので、神威によって事故が起きないようにあるいは少しでも被害が少なくなるように願われたのではないでしょうか 。

お稲荷さまに交通安全を願うのは珍しいと思うかもしれませんが、 港町では航海の安全を守護する神様として知られています。乗り物による移動という意味では共通していますね。

wata

現代では電車の安全は充分に確保されておりますので、 商売繁盛や家内安全を祈願されることが多いかと思います。

アクセス

名称天録稲荷神社
住所茨城県土浦市神立中央1-7-19
駐車場あり
Webサイト公式サイト

鳥居

鳥居
鳥居

鳥居から見る境内は壮観です!神社といえば鎮守の森。このように空が広がっているのは珍しいのではないでしょうか。定期的に整備されているのでいまだに新鮮な印象を受けます。

ちなみに駐車場はこの鳥居の右手側にあります。舗装されてキレイなので安心して駐車できますよ。

神立駅までの道
神立駅までの道

鳥居の前から神立駅を見るとこんな感じ。いまの神立駅はわたしの利用していた頃とはぜんぜん違っていて、土浦駅に負けないくらい整備されています。駅に向かう道路も走りやすくていいですね。

拝殿

手水舎
手水舎

近代的な手水舎。日常のお手入れを考えるとこのタイプがいいのでしょうね。

拝殿
拝殿

たいへん美しい拝殿です。入母屋破風造りですね。前後の広がる屋根に左右の屋根を足したような形をしています。破風の部分はプラスアルファの工程ですからちょっぴり豪勢。

例祭やご祈祷で頻繁に利用されているようです。稲荷神社の例祭といえば伏見稲荷にもある初午。2月(本来は旧暦の)初めの午の日に催されます。これは伏見稲荷創建の年であり、天録稲荷も初午にあわせて創建されました。

しかし当社の例祭は11月15日です。これは一般的な神社でもよく見られる日程で、旧暦の新嘗祭が意識されているかと思います。

大棟の稲荷紋
大棟の稲荷紋

大棟で輝く黄金色の稲荷紋。中央の円は上の部分が微妙に途切れていています。これは宝珠なのでしょう。伏見稲荷から受け継いだわけですが、かつて仏教と密接な関係があったことの名残かと思います。

本殿

本殿
本殿

ご本殿は稲荷神社としては異例の唯一神明造り。神宮(内宮・外宮)の造りとして知られています。 一見すると切妻造り(逆Vの屋根)に見えますが、屋根(棟)を支える棟持柱があるのですぐに判別できます。

この造りの建物は明治以降に建てられたものがほとんどだと思います。明治は国家神道の影響で神社が統制的だった一方でこうした部分はさほど規制がなかったようですね。

奉納稲荷像
奉納稲荷像

当社の歴史は100年を超えていますが、神社の中では間違いなく新しい部類です。旧社とは違った点を発見していくのも面白いところかと思います。

境内社

二十三夜塔
二十三夜塔

当社の境内社は八坂神社(祭神:素盞鳴命)と天満神社、それに月読命を祭神とする月読神社があります。前の二つは社号標が建てられているので分かるかと思いますが、月読は見つからないはず。

月読神社とはおそらく「二十三夜塔」を指すのでしょう。拝殿に向かって左側に建てられている石碑のことです。この塔は月待ち講の紀念碑。月待ちとは数字の月齢にあわせて月に祈る信仰です。

月齢によって本尊が異なっており、「二十三」であれば勢至菩薩や月読命とするのが一般的です。石碑の年号は未確認なのですが、稲荷神社の創建前から当地にあったものを移設したのではないでしょうか。

天満神社(手前)と八坂神社(奥)
天満神社(手前)と八坂神社(奥)

拝殿の右手にあるのが、天満神社(手前)と八坂神社です。天満神社は学問の神様として知られる菅原道真を祭神としています。受験生が絵馬に合格祈願するのはこちら。

八坂神社は社ではなく石柱形。神号は「八坂皇大神」。「皇」はかつて非常に限られた範囲でしか使うことが許されませんでした。外宮が「豊受大神宮」を初めて称したときは内宮と論争が起きたりしています。

それは何百年も前のことですからね。現代ではたまに見かけますし、それでどこかからクレームが入ることはないでしょう。時代はずいぶん変わったのです。

ちなみにこちらの八坂神社でも毎年祇園祭が催されています。祇園祭は疫病をはじめとした災厄を祓うためにありますから、祇園祭ありきで建てられる八坂神社は少なくありません。

御朱印

天録稲荷の御朱印(二月限定)
天録稲荷の御朱印(二月限定)

天録稲荷神社の御朱印です。 参道右手の社務所でいただけます。土日(平日に行ったことがない)の日中であれば、ほぼ確実に神職さんがいらっしゃって拝受いただけるかと思います。

近年では月限定の御朱印を頒布されています。写真は2月ということで節分のイラストが添えられています。月限定は(たぶん)書き置きのみです。

気軽にお参りできる神社なので、 御朱印を求められる方も多そうですね。いずれは兼務社の御朱印もいただけたら嬉しいな。兼務の多くはかすみがうら市にあって、奇祭で知られる「へいさんぼう」も…ぜひ!!

wata

御朱印と一緒に御朱印帳に挟む「しおり」がいただけます。可愛くて便利!

まとめ

・天録稲荷神社は神立駅の設置にあわせて創建

・神社としては新しく、少し変わった境内をしている

・御朱印は社務所でいただける。月限定あり

参考文献

新治地区神社誌|茨城県神社庁新治支部