お寺には住職がいて信仰のある檀家が支えている。。
一般的にはそうですよね。でないと経済的に厳しいです。ただ、土浦市にはそうともいえないお寺が。。清瀧寺です。
もちろん廃寺ではありません。長らく住職不在でしたが地元の方や信仰のある方々によって守られ続けてきました。
今回は坂東観音霊場に数えられる古刹。清瀧寺をご紹介します。
南明山 清瀧寺とは
清瀧寺は土浦市の旧新治地区にあるお寺。坂東観音霊場の第二十六番目札所です。境内の立て札から由緒を引用します。
清滝観音
坂東33ヶ所霊場の26番札所で有名な清滝観音は、推古帝15年(607)に竜ケ峯に創建され、大同年間(806-810)徳一上人により古観音に移されたと伝えられる真言宗の寺です。
七堂伽藍を備えた大きな寺は、天正年間(1573-1592)小田氏・佐竹氏の兵火により焼失し、江戸時代に現在地へ再建されたと伝えられているが、昭和44年(1969)本堂、昭和48年(1973)仮堂が火災にあい、現在の本堂は昭和52年(1977)に再建されました、江戸時代に建てられた山門が、昔日の面影をつたえています。
文化財を大切にしましょう。 環境庁茨城県
創建は行基菩薩。『清瀧寺』は筑波の二神(イザナギとイザナミ)が雨の鉾で地面をついたところ、滝のように清水が湧き出た伝説に由来します。
坂東観音霊場の坂東とは足柄山や箱根の坂の東一帯のこと。大昔は、神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬、埼玉県あたりをそう呼んでいました。
この場合の霊場は観音様をお祀りしているお寺。ぜんぶで33箇所あって観音信者の源頼朝と子どもの実朝が選んだといわれています。33は観音様の救いの数に由来するそう。坂東33箇所の霊場を巡礼することを坂東観音巡礼といいます。
清瀧寺はいまも昔も大きな通りから外れていて、少々足を運びにくい。。ただ、巡礼地になっていることでかつて参拝者は多かったそうです。
実は小野小町が参拝したとも。事実かわかりませんが、説があがるほど多くの参拝者がいて信仰が厚かったとも考えられます。
仁王門

仁王門
小さめの駐車場に車を停めていざ参拝。岩清水で清めたらやや歪んだ石段を登ります。すると目の前には立派な仁王門。1844年(天保15年)に建てられました。
仁王像は1818年(文化15年)に信徒が再興したもの。昭和44年の火災で本堂は燃えたものの仁王門と像は無事でした。ただ、近年損傷が激しかったので1998年(平成10年)から2年かけて修繕。1,348万円もの費用を小野の信徒が多くの働きかけをして集めました。
阿形(口を開けている方)はお腹に阿弥陀如来像を抱えている貴重な文化財とのこと。次の世代につなげることができてなによりですね。

仁王門の阿形
なんといっても表情がいい!力強くて迫力があります。これなら仏敵が境内に入ることはないでしょう!
本堂

境内
現在の本堂は鉄筋コンクリート製。何度も火災にあったことが理由でしょうか。木造ではありませんが信徒の方々の選んだ姿です。巡礼者としてはお参りできることに感謝です。
境内の石碑によると、かつてこの場所は官有地で伽藍は借地の上にありました。それを信徒が大蔵省(現在の財務省)と茨城県に陳情して無償譲渡を受けたそうです。つまり、土地がただで清瀧寺のものとなりました。清瀧寺は住職不在でしたが、信徒の熱意がこのような特別な措置に繋がったと思います。
いまの境内には住職のお名前がありました(古幡章善氏)。つくば市の慶龍寺の住職と同名ですが兼務されているのでしょうか。仁王像の開眼法要の儀もされたということで信徒にとって心強い存在でしょう。

炭化した獅子
本堂の右手に獅子の木像があります。一見それとはわからないですよね。昭和44年の火災の際、本堂にあったので炭化してしまったんです。
コンクリート製の本堂と炭化した獅子。いずれも火災の恐ろしさと清瀧寺の歴史を物語っているようです。
ご詠歌
清瀧寺には次のようなご詠歌があります。ご詠歌は仏様の教えをわかりやすく歌にしたもの。坂東観音霊場にちなんだ地名などが盛り込まれているんですよ。
ご詠歌
わが心 今より後は にごらじな 清滝寺へ 詣る身なれば
お参りした上で詠んだらスッキリした気持ちです♪
御朱印

清瀧寺の御朱印
御朱印は300円。社務所で書いてくださる方は地元のボランティア。交代で参拝者に対応してくれています。とてもありがたいですね。

2019年4月の限定御朱印
限定の御朱印がいくつかあります。こちらは新元号『令和』を前にした2019年4月限定の御朱印。御朱印は500円でした。
他にも小野小町の挿絵の入った御朱印などがありますので、授与所でチェックしてみてください♪
アクセス
名称 | 南明山 清瀧寺(真言宗豊山派) |
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住所 | 茨城県土浦市大字小野1151 |
本尊 | 聖観世音菩薩 |
納経時間 | 8:00-17:00(4月〜10月) 9:00-16:00(11月〜3月) |
駐車場 | あり |
拝観料 | なし |
主な年間行事 | 9月9日:万灯法要 |
電話番号 | 029-862-4576 |
Webサイト | 坂東三十三観音公式サイト |
まとめ
清瀧寺は土浦市の旧新治地区にあるお寺。坂東観音霊場に数えられる歴史を持ちます。
度重なる火災や住職の不在がありましたが、地域住民や信徒の方々によって支えられています。そうした方々に思いを馳せながらお参りすると巡礼にありがたみが増します。
参考文献
坂東観音巡礼/著:平幡良雄
新治村の昔ばなし/著:伊藤三雄
民話100話 土浦ものがたり/著:本堂清