初代住職が親鸞と伝えられる願牛寺|由緒・牛伝説・除夜の鐘つき|常総市

親鸞聖人像(裏)

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wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

この記事でわかること
  • 願牛寺の由緒
  • 寺の建設を助けた牛の伝説
  • 大晦日のライトアップ

図書館で借りたふるさと文庫でユニークな名前のお寺を発見しました。その名を願牛寺がんぎゅうじといいます。。(なんとなく)可愛らしい。でも、800年近いの歴史を持つ由緒あるお寺です。面白い伝説も仕入れましたので、実際に足を運んでみることにしました。

願牛寺とは

願牛寺入り口

願牛寺入り口

場所は常総市の石下庁舎から車で15分ほど。蔵持という住所です。お寺に近づくにつれて、運転がちょっぴり不安になる道路。。

梵鐘と石碑

梵鐘と石碑

そこを抜けると『願牛寺』の立派な文字が!坂道の参道の先には駐車場。車を停めて奥に進むと左手に梵鐘、右手にお坊さんの像が現れます。

親鸞聖人像

親鸞聖人像

像の正体は浄土真宗の開祖 親鸞しんらん聖人です。学生時代、日本史の授業をテキトーに聞いてた私ですが、浄土真宗と親鸞は覚えていました。仏教宗派の開祖が身近にいたというのは、いまだに不思議な気持ちです。

本堂

車を停めて散策していると、本堂や梵鐘がとても新しいことに気が付きました。

本堂

本堂

古い歴史があるということだけど。。そんなことを考えていたら、ご住職夫妻が迎えてくれました。優しく「お参りですか?」と聞いてくださったので「はい」。

本堂内

本堂内

本堂にご案内いただいたのですが、問題発生。お参りの仕方がわからない。せっかくなので、お参りの仕方を尋ねると、浄土真宗のお参りの仕方を教えて下さいました。なるほど。お線香は寝かせるんですね(でも、自由なやり方でOKとも言われました)

ご本尊は中央の掛け軸にある阿弥陀如来です。親鸞聖人が当地にいらっしゃった際、金泥で描いたことが由来とか。

お参りを済ませると、ご住職がお寺の歴史と境内について教えてくださいました。

由緒

願牛寺石碑

願牛寺の創立は、いまから約800年前。建暦2年(1212年)のこと。創建は前述のとおり親鸞聖人。聖人は色々あって越後(いまの新潟県)に島流しになっていましたが、罪が許されてからこの地に布教にきました。そして、関東で初めて浄土真宗のお寺を建てることになりました。

親鸞聖人像(裏)

親鸞聖人像(裏)

下総国(いまの常総市のあたり)を選んだのは、お弟子さんの従兄弟がいたから、という理由だそうです。その従兄弟こそが現在の住職のご先祖です。一心坊いっしんぼうという法名を貰い、本人、子孫と願牛寺の二代目以降の住職として聖人の教えを受け継いでいます。

いまある本堂は2015年に改修されたものです。旧本堂は明治24年(1891年)の落雷によって消失してしまいました。消失したのに改修?と思いましたが、焼失後に仮で建てられたものを改修して本堂にしたそうです。

大正初期の本堂

大正初期の本堂

昔は落雷や火事によって建物がなくなったしまうことが頻発していました。旧本堂もずっとあったわけではなく、その前の本堂が戦のもらい火で消失したので建てられました。「地震 雷 火事 親父」という怖いものを並べた古い言葉がありますが、きっといまよりもずっと怖い存在だったのでしょう。

竹林

竹林

願牛寺は、もともと4万坪もの敷地を持っていて、小作によって収入を得ていたといいます。しかし、農地解放などの時代の流れもあって、現在では法事を中心とする一般的な仏教のスタイルになりつつあります。

MEMO

古文書によると旧本堂は幅9間・奥行10間(約16mx18m)の大きさといわれます。

寺名の伝説

ご神木

ご神木

願牛寺。なんど聞いても不思議な名前です。その由来には本当に牛が関わっています。以下のような昔話が語り継がれています。

親鸞聖人が下総へ立ち寄ったことを、稲葉伊予守勝重は大変喜びました。聖人をいたわり、もてなし、進んで信徒となった勝重は一心坊という法名を貰いました。そこで一心坊は、この台地にお寺を建てることを思い立ちます。たくさんの村人で木を伐採し、集積場に集めると、突如そこに大きな牛が現れました。

牛は材木を角に引っ掛けると、村人の代わりに次々と運んでいきます。村人が驚いていると、牛はわずか数刻の間に山積みされた材木を運び終えてしまいました。「これで終わった」と周囲をひと目見た牛は、さっそうと去っていきます。村人が牛を見届けていると、牛は近くの沼に飛び込んでしまいました。ほどなくすると、飛び込んだ場所に大きな枯れ木が現れました。

その後、知らせを聞いた親鸞聖人は枯れ木を「うしぼっく」、寺を『牛の願いによって建てられた寺』として願牛寺と名付けました。

梵鐘

天女が描いてある梵鐘

天女が描いてある梵鐘

参拝者は自由に鐘をついてよいそうです。もちろん、つかせていただきました。軽くしたつもりなのに、周囲にごおおおーんと響き渡ります。気分は大晦日。

この鐘は桜川市にある小田部鋳造が製造したそうです。願牛寺と同じく800年の歴史があり、関東で唯一梵鐘・半鐘・天水鉢の製造元です。天女のデザインが特徴的でした。

旧本堂跡

旧本堂跡地

旧本堂跡地

鎖で囲われている場所は旧本堂があった場所です。いまの境内は、きっと旧本堂のあった頃とは随分違う姿なのだと思います。様々なものが新しくなり、関わる人々も入れ替わり。。まさに諸行無常を感じますね。

大晦日ライトアップ&除夜の鐘つき

大晦日のライトアップ

大晦日のライトアップ

大晦日は檀家のみなさんが集まって除夜の鐘をつきます。ライトアップされた境内はとても美しいものでした。

わたしは夕方にお参りさせていただいてすぐに帰りましたが、おそらく年が明ける深夜までこの様子だったかと思います。

アクセス

名称 大高山 證誠院 願牛寺
住所 茨城県常総市蔵持620-1
駐車場 あり
Webサイト 公式サイト
年間行事 1月1日…元旦会
12月31日…除夜会




まとめ

この記事のまとめ

  • 願牛寺の初代住職は親鸞
  • 寺の創建を手伝った牛がいる
  • 大晦日には境内を美しくライトアップしている

参考文献

石下町の昔ばなし/著 渡辺義雄/ふるさと文庫(筑波書林)