羽鳥八坂神社の装飾社殿|桜川市

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wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

最近、なんどか桜川市の羽鳥地区を散策しました。『将門記』によれば、かつては平良兼の領地だったため、良兼と争った平将門に焼き討ちされた歴史があります。

そんな羽鳥にじつは見事な装飾社殿があるのをご存知でしょうか。あまり知られていないようですが、旧真壁町が発行した『真壁町の社寺 装飾彫刻』に載っていたので実際に見物してきました。

この記事では桜川市羽鳥の八坂神社をご紹介します。行くならほぼ車限定、少々駐車に苦労しますが、一見の価値アリですよ〜

この記事でわかること

  • 羽鳥八坂神社の由緒と御祭神
  • 装飾社殿の詳細
社殿裏に小川
社殿裏に小川

由緒

大同2年/807年
創建

9月創建

天正2年/1574年
再建

17代真壁城主安芸守久幹により社殿再建

寛政12年/1800年
社殿焼失
明治6年/1873年
村社列格および移築

田村(真壁町田)の神社社殿を買い受けて移築。住吉明神などを合祀して八坂神社とする

昭和27年/1952年
宗教法人設立

主祭神は素盞嗚すさのをです。それに中筒男なかつつのお経津主ふつぬしを配祀しています。主祭神は当然のこととして、興味深いのは配祀です。これは明治期の神社の合併によるのでしょう。

しかし、住吉神社は県内でも非常に数が少ないので、どこからやってきたのかはたいへん気になるところです。同じ羽鳥の歌姫神社の境内にもありますから、小祠であれば他にもあったのではないでしょうか。

フツヌシについては幕末にあった除地6石の香取神社が合併したためと考えられます。香取は八坂よりも格上だったようなのですが、八坂を主としたのは近隣の薬師堂が信仰を集めていたせいかもしれません。後述します。

八坂神社といっても境内には神輿が見えず、祇園祭はありません。『茨城県神社誌』によれば、7月24日の夏祭りの祭典の後にくじを引き、一年間境内を清掃する主を決めていました。独特ですね!

アクセス

名称八坂神社
住所茨城県桜川市羽鳥1181
駐車場なし
Webサイトなし

境内入口

境内入口
境内入口

山中の道路沿いに鎮座する羽鳥八坂神社。駐車場がないため周辺に空きスペースを探すわけですが、なかなかの手間。ちょっと離れた安全なところに停めて長めに歩くことにしました。

境内は決して広くなく、鳥居は建てられていません。社殿の裏には小川が流れており、せせらぎを聞きながらの参拝。これはなかなか心地よいですね。

不動明王像
不動明王像

社殿を正面に見て左手には不動明王と脇侍(おそらく制多迦童子と矜羯羅童子)の石造がありました。顔まで彫られておらずにユルイ感じ。ただ、それでも特徴的なシルエットなので分かってしまうという。

不動明王は密教で信仰される仏尊で、特に真言宗や山伏では本尊級に扱われます。神社に隣接して安置されるということは、神社に親しい寺院、たとえばかつて別当であった寺院との関係が考えられます。

そこで少し気になるのが、当社と同地にある薬師堂です。薬師堂は市内の伝正寺末の薬師寺の本堂でした。建物内には八坂神社の造営に関する記述もあるのです。

それに八坂神社は当社に限らずもとは牛頭天王が御祭神であり、その本地仏は薬師如来とされます。2つの社寺は距離的にも非常に近いですから、古くは一体だったのかもしれませんね。

境内の軍馬碑
境内の軍馬碑

ちなみに周辺には「軍馬碑」の石碑がいくつもありました。戦争により供出された馬の供養塔でしょうか。明治の神仏分離以前であれば、ここに「馬頭観音」が刻まれていたことでしょう。

社殿

本殿(覆屋)
本殿(覆屋)

正面に見える社殿は本殿を保護する覆屋です。大胆な造りはちょっとだけ歌姫神社を思い出させます。横一文字のしめ縄の上には「八坂神社」の扁額がなぜか2つありました。

こちらの本殿の概要は次のとおりです。

本殿は間口五尺、奥行六尺の一間社流造で向拝を付け、板葺で覆堂中に納められている。小祀ながら豪華絢爛な彫刻で装飾されているが、素木彫刻の一つ一つが細部に至るまで丹念に彫られて美事である。江戸中・後期の建立と推定されるが、大工・彫刻師などは不明。

真壁町の社寺 装飾彫刻 P28
本殿
本殿

板材の隙間から本殿の様子を覗いてみました。紙垂は真新しく、奉納品も最近のようです。水引虹梁の龍や向拝柱の獅子は見事なものですが、さほどでもありません。

海老虹梁(龍)と手挟(山鵲)
海老虹梁(龍)と手挟(山鵲)

しかし横から見る海老虹梁の龍や手挟の山鵲らしき彫物はいかがでしょう。龍は並のうねりとあわさって躍動しています。山鵲は大胆な丸彫で非常に手間がかかっていると分かります。

懸魚に龍、その裏に唐獅子牡丹。ポーズがものすごくかっこいい!ここの定番は鳳凰ですが、良い意味で期待を裏切られました。龍は後藤縫殿之助が菅生別雷神社に残した作品に似ていますね。

同羽目板(右)
同羽目板(右)

同羽目は背面と向かって左面が水辺を渡るシーン、右面はなにやら酒を酌み交わしているようです。これは『酒呑童子』の川渡りを彷彿とさせます。ただ、社殿がこぶりなせいか強引にデフォルメ化した印象です。

人物は顔が大きめで表情までは読み取れません。同じ職人さんにもっとスペースを与えたらものすごい作品を作ってくれそう。一体どなたの作なのでしょうね。

脇障子は向かって左に老人、右に膝をつく若者。背景は松のようなので縁起物と思われますが、詳細はわからず。衣装からすると中国の古典をモチーフにしているのでしょう。

参拝には少々苦労するものの、このような見事な社殿を見る機会は貴重です。近隣には薬師堂や歌姫神社などの興味深い寺社もありますので、気軽に足を運んでみてくださいね!

まとめ

・羽鳥八坂神社は伝承によれば大同2年創建

・社殿は明治期に買い付けた稲荷神社のものといわれる

・装飾社殿は見事。特に海老虹梁や懸魚の龍は必見

参考文献

茨城県神社誌|茨城県神社庁
真壁町の社寺 装飾彫刻|真壁町歴史民俗資料館
茨城県の地名|編:平凡社