wata
秋の収穫シーズンもあと僅か。県西の筑西市ではそばの収穫を終え新そばが提供されるようになりました。
同市の”地元産新そばまつり”は関本の鎮守社・関本神社の例祭と同時開催。最近、神楽に目覚め始めたのでおそばと一緒に楽しんできました!
この記事では筑西市の関本神社と祭礼の太太神楽をご紹介します。けっこうレアな情報かも!?
関本神社は筑西市の旧関城町にある関本に鎮座しています。駐車場、というか駐車スペースは鳥居の前にあります。この日はおまつりの屋台が並んだため、公民館などが臨時駐車場となっていました。
社伝によると関本神社の創建は桓武天皇の御代(781-806年)。山城国伏見稲荷を勧請して創建しましたが、鬼怒川の水害を避けるためにこの地に遷しました。残念ながらわかっているのはこれだけ。。
ご祭神は保食神、大日霊貴命、武甕槌命です。本社の伏見稲荷と少し名称が違っているのが気になるところ。
大日霊貴命は天照大神です。県内でご祭神とする神社は多くありませんが、同市内の内外大神宮でも祀られているので関係が気になります。そういえばそちらにも神楽がありました。
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アクセス
名称 | 関本神社 |
住所 | 茨城県筑西市関本1404 |
駐車場 | あり |
Webサイト | なし |
当日のスケジュール
参拝時は神社の祭礼の日で地域行事の新そばまつりもあわせて開催されました。ご参考までにスケジュールをご紹介します。
上町おはやし保存会の演奏
新そば販売(天ぷらそば・けんちんそば)
関本神社 太太神楽
そばは13時前にはなくなっていました。はじまり次第一気に売れたようです。たしか300食といってたような。。雨の日でなければもっと早かった可能性あるので食べたい方はご注意を。
境内
訪れたのは11月23日(土)、あいにくのお天気でしたが神社の祭礼と新そばまつりは予定通り開催。お昼の12時頃に訪れたらかなりの行列が。。
筑西市でも茨城の名産である常陸秋そばがたくさん作られているそうです。会場では主催のNPO法人 梨想の会の方々が来場者におそばを振る舞っていました。料金は300円です。
お参りの後、わたしもけんちんをいただきました♪野菜たっぷり。アツアツの汁がたまりません!ヤワヤワのそばもまたいい。。寒い日だったこともあり格別なお味でした♪
真っ赤な鳥居には巴がありますね。一般的には扁額が置かれるのでちょっとめずらしいタイプかも。
右側に見えるのは上町おはやし保存会と山車です。あいにくの雨だったので楽器を濡らさないように演奏をしていました。
社殿
入母屋造のシンプルな拝殿です。狛犬の前にはご祭神ゆかりのキツネの像がありました。右手にあるのは社務所でしょう。神楽師たちはこちらで控えていました。
本殿は一般的な流造。赤色の社殿は稲荷神社らしいですね。伏見稲荷には千木がないのですが、こちらは内削ぎ(女千木)。鰹木は5本です。気になる方には気になる情報ですよね。ふふふ。
七鬼神社
本殿の裏手にあるのは七鬼神社です。正直、どんな神社かわかりませんが。。筑波書林の”那珂の伝説 上”に由緒らしきものがあります。
それによると額田の殿様の道を塞いでいた七人の山伏が七鬼にあたるとのこと。お話の舞台は真弓山なので修験道に関係していることも間違いないと思うのですが。。すべて伝説なので実際のところは謎です。
昭和48年に発行された茨城県神社誌には記載されていない境内社です。一方、船玉神社の境内社としては記載あり。。もうちょっと調べてご報告しますね。
ちなみに例祭日は4月20日かその直前の日曜日です。例祭の日は船玉神社で関本神社の太太神楽が奉納されます。この辺りの関係も興味深い。
太太神楽
関本神社の太太神楽について、当日配布された資料から引用します。
関本神社に200年以上も前の江戸時代(享保年間ころ)から伝承されてきた神楽舞で、「高千穂系神楽」に属しています。神楽は、世々相継ぎ絶えることなく、永遠に奉納されるという意味で「代代神楽」にも通ずると伝えられ、正しくは太太御神楽と呼ばれています。
同市内で同様に太太神楽を受け継いでいる内外大神宮では「伊勢神宮を参拝したご利益を得られる」ことから代々神楽と呼ばれるといわれています。神社によっても多少意味が違っているのが面白いです。
神楽が奉納されるのは1年間に2回。3月3日と11月23日の例祭だけです。この日は雨模様でしたが、会場のアナウンスでは「雨が降っても槍が降ってもやります!」と力強い言葉がありました!
神楽は八座まであり、次のような内容です。
全神楽師が参加して大玉串を奉納
五行の舞
那岐、那美の舞
猿田彦の舞
翁の舞
八幡舞
蛭子の舞
連れ舞
岩戸開きの舞
五行の舞は内外大神宮にもありましたね。余談ですが、同市内に流れる勤行川は五行川とも呼ばれます。筑西市(明野地区の猫島)は安倍晴明の生誕地との噂もありますし、陰陽思想が根付いた土地だったのかもしれません。
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那岐、那美の舞
那岐、那美は伊邪那岐と伊邪那美のことです。日本の国土を生み出した神様で神話を読んだことがある方ならご存知でしょう。
2人の仲睦じいようすが伝わるとアナウンスされていましたが、たしかに。。
鈴と榊を持って舞台にあがり、お互いに見つめ合って榊を振る。。ちょっと変わった愛情表現ですが、2人きりならこういうこともあるのかな。。(現代でも)
鏡を持って舞います。「ねー!」という声が聞こえてきそうなお茶目な仕草。かわいい感じです。
猿田彦の舞
続いて猿田彦の舞です。完全に天狗ですよね。。槍を持っているし、すごく強そう。
指を二本立ち上げているポーズ。ドラゴンボールZのナッパの爆発波に似ていますが違います。
このあと反対側に持ち上げるような仕草が続くんです。土を掘り起こしてどかすような印象を受けました。
道にある障害を取り除くような意味があるのかもしれません。猿田彦は天孫降臨で道案内をした神様ですからね。
八幡舞
おヒゲを生やしたふっくらしたお顔は八幡さま。得意の弓をもって登場です。
のっしのっしと歩いてから矢を引く仕草。途中、両手を広げて「ここは通さんぞ」と言わんばかりの力強い舞を披露していました。
茨城は水戸藩の「八幡潰し」の影響で八幡さまを祀る神社が少数です。県西は領地でないのでこうした芸能も残っていたのでしょう。
このあと”連れ舞”、”岩戸開きの舞”と続きます。ぜんぶ見ていると4時間ほどになるのでちょっと大変。ぜひ暖かくしてご覧になってください。春はもうちょっと楽だと思いますよ♪
・関本神社は伏見稲荷を勘定してできた稲荷社
・太太神楽は年2回。例祭で奉納される
・神楽は8座。ぜんぶ見ると4時間近くかかる
茨城県神社誌/茨城県神社庁
那珂の伝説 上/大録義行
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。