佐波波地祇神社と常陸大津の御船祭(北茨城市)

2019年5月。5年に1度の常陸大津ひたちおおつ御船祭おふねまつりがついに開催!

ずっと見たいと思っていました。その貴重さに加え、内容も凄まじいんです!ご存じない方はアイキャッチを見て「!?」と思うのではないでしょうか。

御船祭に船はつきもの。でも、船を海ではなく陸で走らせるんです。こんなに豪快なお祭りは県内でも稀。見れた方は本当にラッキーでした♪

御船祭は北茨城市の佐波波地祇さわわちぎ神社の御祭礼です。5月2日と3日の2日間ありまして、この記事では神社と2日の宵祭についてご紹介します。

佐波波地祇神社とは

佐波波地祇神社

佐波波地祇神社

佐波波地祇さわわちぎ神社は北茨城市の大津町にある神社です。創建はハッキリしていませんが、神社に伝わる縁起によると斉衝さいこうから天安時代の間(854年〜858年)といわれています。

また、『常陸多賀郡史』だと、はじめは六所明神として佐波山(山口県)にあり、東堂平、現在地と移動したとあります。東堂平は長崎県の黒島でしょうか。遠すぎる。。

ご祭神は以下です。

ご祭神
  1. 天日方奇日方命アメヒカタクシヒカタノミコト(主祭神)
  2. 大巳貴命オオナムチノミコト
  3. 積羽八重事代主命ツミハヤエコトシロヌシノミコト
  4. 大物主命オオモノヌシノミコト
  5. 媛蹈鞴五十鈴姫命ヒメタタライスズヒメノミコト
  6. 五十鈴依姫命イスズヨリヒメノミコト

興味深いのは、すべて大国主命と深い関係があることです。大己貴命と大物主命は大国主命と同一視されていますし、他は子どもや孫です。

神社の縁起には斉衝3年(856年)に大洗の磯前に大己貴命と少彦名命が降臨したことが書かれています。それをきっかけとして海岸沿いに信仰が広まったとか。

当神社でもっとも有名なのは5年に1度の『常陸大津の御船祭』です。なんと町中を神輿を載せた船が走ります!

。。ピンとこないと思いますので、後ほど詳しくご紹介しますね。まずは佐波波地祇神社の境内を御船祭バージョンでどうぞ。

wata

ご祭神は公式サイトにあるものを掲載しましたが、茨城県神社庁と一箇所だけ違っているんです。なにか理由が。。!?
MEMO
佐波波地祇神社の別称に六所明神や大宮大明神があります。大宮大明神は元禄時代に水戸藩主の徳川光圀(水戸黄門)が訪れた際に改めて名付けたといわれています。

参道

佐波波地祇神社の参道

佐波波地祇神社の参道

宵祭は12:00-21:00。そのうち船を曳くのは13:00-17:00です。わたしはそれに合わせて13:00頃に到着しました。

神社には広い駐車場があるのですが、御船祭の日は駐車場として案内されていませんでした。車は臨時駐車場の大津港へ。

あちこちになびく大漁旗を眺めながら5分ほど歩くと社号標が見えてきました。とてもカラフルな参道になっています!

社殿

狛犬と鳥居と拝殿

狛犬と鳥居と拝殿

ぜぇぜぇしましたが、社殿のある境内に到着。横長のお顔がチャーミングな狛犬のお迎えしてくれました。

新築された拝殿

新築された拝殿

初参拝でしたのでピッカピカの拝殿に驚きました。今年(2019年)の3月に完成したばかりです。境内にも大漁旗が吊るされていて、非常に活気を感じます!

それにこの日は令和元年5月2日。新天皇陛下の御即位のお祝いもありましたので、いつもよりもさらにおめでたい雰囲気だったと思います♪

ご祭神が六柱もおりますから、ご神徳は国家鎮護・国運開発・万物生命の守護・目的達成・海上守護・家内安全・交通安全・交通安全・民業(漁業農業商業工業等)とたくさん。

ただ、大津は港町ですから、海上守護の祈願が多いと思います。

大漁旗と境内社

大漁旗と境内社

神社は海のそばの高台にありますので気持ちいい風が吹いていました。楽しげに踊るような旗。。お祭り感がすごい!

奉納された『還暦祝』や『初老祝』

ユニークなものを発見しました!建物にかけられている板には『還暦祝』や『初老記念』の文字。長生きしたお祝いに皆さんが集まって神社に奉納しているんです。地元の方々の想いが込められていて素敵です♪

境内から見る海

境内から見る海

いざ船曳き会場へ。上りはしんどかったですが、その見返りに見事な眺めを楽しめました。

MEMO
神社のある場所は唐帰山と呼ばれています。古い伝説によると大和武尊が東征の際、逆風によって船を進めずにいたところ、佐波波の神を名乗る老人が船を守護し順風を吹かせました。徳川光圀も同様に救われており、海難から救う神がいるとされています。

常陸大津の御船祭とは

町中の神船

町中の神船

佐波波地祇神社の常陸大津の御船祭。海の安全と大漁を願って古来から続けられてきました。

魅力はなんといっても県内でも有数の豪快さ。陸に船ですからね!どうしてそうなったか祭のチラシから引用します。

神社の記録から、江戸時代中期の享保11年(1726年)には、このお祭りが行われていたと推定されています。その頃は、海上を移動するお祭りだったようです。
その後に、港や海沿いの道路が整備されていくうちに、以前は海だったところが陸地になりました。しかし、その後も、お祭りの伝統をなるべく変えないように守ってきた結果、いまのような「漁船の陸上渡御」という特徴あるお祭りのかたちになったと考えられています。
歴史や由来

海を埋め立てた後も同じ場所で祭りをしているんですね。すごい経緯。

船(神船しんせんと呼ばれる)の大きさなども引用します。

お祭りで使われる船の大きさは、全長約14メートル、幅が約3メートル、重さは約7トン。船上には、神輿、神職、御船祭を唄う水主衆かこし、笛・太鼓の囃子方を合わせた50人ほどが乗り、この船を総勢500人の曳き手が綱で曳いて移動します。

こんなに大きな船が移動する動画を撮ってみました。

はじめに船を左右にゆすって地面との接地面積を小さくします。大きくゆすったら掛け声にあわせて一気に引っ張ります。すると船と地面との摩擦が小さくなりトンもの船を人力で動かせます。。

ソロバン

ソロバン

間近で見ても信じがたい光景です。これには船の足元に敷かれるソロバンが大きな役割を果たしています。実際の船曳きに使われる道具で、この上に船があるのでさらに摩擦が小さくなるのでしょう。

曳き手

曳き手

祭は漁業者ふなかたの知恵や技術によって支えられています。船や衣装にも『編む』や『結ぶ』といった技術が使われていて、そうした細かな部分は常陸大津の御船祭保存会が伝えています。

宵祭

宵祭の町

宵祭の町

御船祭は2日間の開催。1日目は宵祭、2日目は本祭りです。船の移動ルートについては2019年の交通案内をご覧ください。

御船祭のマップ

御船祭のマップ

1日目は御船を東町から西町の御船置場まで移動(渡御)。2日目は佐波波地祇神社の神輿を西町の御船置場まで移動させて御船に乗せます。その後、御船を元の位置までふたたび運びます。

歩くと数分ですが、1日がかりになります。すべて人力ですから曳き手は大変ですね。。ちなみに宵祭は子どもたちも曳くんです。

煙立つ神船

煙立つ神船

盛大に曳いたあとは船とソロバンの摩擦で煙が立っていました。会場に焦げた匂いが広がり、「おお〜っ!」という歓声。毎回ご覧の方もやっぱり感動すると仰っていました!

笛や太鼓の音は移動中も聞こえてきますから、すごい集中力。

御船祭は2017年(平成29年)に国の重要無形文化財に指定されました。古いだけでなく、その土地の人々の知恵や技術が含まれている貴重な文化財だということですね!

漁業歴史資料館よう・そろー

漁業歴史資料館よう・そろー

かつて御船祭に使われる船は実際に漁で使用されたものでしたが、現在の船は祭り用に造られました。普段は大津港の漁業歴史資料館『よう・そろー』に展示されています。

船の縁起物の絵は地元のアーティストが書いています。祭り後の展示で見ることができますので、ぜひよう・そろーでご覧ください!

宵祭の神輿

拝殿の神輿

拝殿の神輿

御船祭の本祭の前日が宵祭。船に乗せる神輿は宵祭の間、ずっと社殿に安置されています。夜中は『両姓りょうせい』と呼ばれる二軒の家が警護をするのだとか。

両姓は海水で神輿を清める『潮垢離しおごりの儀』も行います。御船祭にとって非常に重要な存在なんですね。

興味深いことに両姓のご先祖は大津ではありません。一軒は紀州(和歌山県辺り)から、もう一軒は伊予あるいは出雲(島根県辺り)といわれています。

紀州は御船歌の存在が確認された希少な地域。大津の御船歌との関係が気になるところです。そしてもう一軒の『出雲』なんですが。。

佐波波地祇神社のご祭神はすべて大国主命自身かその子どもです。出雲国の一の宮『出雲大社』のご祭神は大国主命。関係性が強いように思いますが、単なる偶然でしょうか。

御朱印

佐波波地祇神社の御朱印

佐波波地祇神社の御朱印

佐波波地祇神社の御朱印です。拝殿を造園されたとのことで500円納めさせていただきました。社務所は社殿の左手にあります

御船祭の印は祭の日でなくても押されます。境内から見える海と同じブルーが爽やかです!

そして御朱印に令和の文字が。。新時代も楽しく健やかにお参りしていきたいと思います♪

アクセス

名称佐波波地祇神社
住所茨城県北茨城市大津町字宮平1532
駐車場あり
Webサイト 公式サイト
茨城県神社庁

まとめ

常陸大津の御船祭は北茨城市の佐波波地祇神社の御祭礼。5年に1度、ゴールデンウィークの辺りに開催されます。

お祭りでは全長約14メートル、重さ7トンの船が陸上を移動します。漁業者の知恵や技術がたくさん詰まっており、とても個性的です。

大変混雑しますが、宵祭であれば比較的近くで見ることができます。近づきすぎと怪我する危険性がありますので、くれぐれも注意してご覧ください。

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