wata
- 常陸利根川の竜神伝説
- 現在の常陸利根川について
- 三熊野神社の伝説
ふと思ったのですが、竜を知らない日本人はいるのでしょうか。
わたしはアニメやゲームで見かけることが多いのですが、お寺の飾りにもよくありますよね。もともと仏教と一緒に伝わってきたので歴史が古く身近な存在だと思います。
茨城には竜にまつわる伝説がいくつもあります。水と深い関わりがあるので、やはり水辺が多いですね。今回はその中からもっとも好きな潮来の竜神をご紹介します。
水郷北斎公園
竜神伝説の舞台は常陸利根川。常陸利根川は利根川から分岐して霞ヶ浦へと続いています。とても川幅が広くて、いまの時期は釣りや水上スキーを楽しむ方をよく見かけます。ちなみに、潮来あやめ園の前を通っているのも常陸利根川です。
景観を楽しめる場所はいくつもありますが、のんびり回るなら水郷北斎公園がいいですよ。そばの三熊野神社を通って権現山公園まで歩けばよい運動にもなります。
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アクセス
名称 | 水郷葛飾公園 |
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住所 | 茨城県潮来市牛堀17 |
駐車場 | あり |
昔話『利根の竜神』
それでは常陸利根川の竜神伝説です。
いまから1000年以上前の夏のことです。常陸国の水郷地域には何ヶ月ものあいだ、雨が一滴も降りませんでした。
板来の里(いまの潮来)は特にひどいものでした。いつもならあふれるほど水が豊富な利根川も川底が見えそうです。霞ヶ浦と北浦も干上がってしまい、人々に必要な稲が育ちませんでした。「これからどうすればいいんだ!」困った村人たちは、国府(いまの石岡市)の殿様に相談しにいきました。
話を聞いた殿様(平国香)は・・・「それは大変だ!すぐに雨乞いをさせよう」国中の僧侶を板来に集めて、大規模な祈とうがはじまりました。ところが、1週間祈り続けても雨は降りません。次第に疲れを見せ始める僧侶たち。村人の間でも「やはり、だめか・・・」という声が聞こえ始めました。
この頃、板来にはとてもみすぼらしい卜竜という僧侶がいました。卜竜は、いつも食べるものがなく、人々にめぐみを求めていました。「こじき坊主」「くそ坊主」と呼ばれていた卜竜ですが、村はずれに住む甚兵衛だけはいつもやさしく卜竜を助けていました。
甚兵衛は、自分の食べ物に困るときも卜竜を助けていましたが・・・ついに「卜竜さん。これがわしの家の最後の米と水です。最後の飯ですよ」卜竜は美味しそうに食べたあと「甚兵衛さん。いつも助けてくださり、ありがとうございます。わたしはいよいよ天に帰ります。しかし、親切にしていただいた甚兵衛さんや村人をこのままにしてはおけません。最期の雨乞いをさせてください」驚いた甚兵衛でしたが、神々しく見えた卜竜の言葉を信じることにしました。そして、村人たちを説得して周り、卜竜が祈るための立派なやぐらを立てました。
卜竜は、そのやぐらの上で大きな声でお経を読み上げ始めました。そして・・・「雨の大神よ。神は川をけがし、水をよごし、水のありがたさを知らない人々に罰を与えなさった。しかし、人々はもう限界です。この卜竜の願いによって、どうかこの地に雨を降らせてください!」しばらくすると黒い雨雲が押し寄せて大豪雨となりました。人々は大喜びしたあと、やぐらの上の卜竜を拝みました。すると卜竜は・・・「水郷の民よ。水のありがたさを忘れるな。そして甚兵衛よさらば!」
卜竜は竜神の姿に変わり、天に帰っていきました。
親切にしてもらった竜神が恩返しに潮来の人々を救った物語です。
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三熊野神社
少し寄り道。北斎公園の道路を挟んでお隣にある三熊野神社です。今回の竜神伝説とは関係なさそうでしたが、境内の看板に面白いことがありました。
なんでも、この神社は埴輪武人像を所有しているそうです。像は文字通り、武人の姿をした埴輪です。どこかはわかりませんが、古墳から出土されたもので牛堀町の指定文化財です。その埴輪なんですが「古くから青龍大権現と呼ばれて、雲を起こし雨を呼ぶ神として祀られてきた」とあります。
・・・先ほど紹介した竜神伝説とほとんど同じ。調べたら、青龍大権現の登場する伝承は、潮来の竜神伝説とかなーり似ています。祈ったのが空海、それに応じたのが青龍大権現で、日照りに苦しんでいたことなどは同じです。わたしは卜竜のお話のほうが好きですけどね!
ご神木の大銀杏
社殿のすぐお隣にご神木の銀杏があります。樹齢350年!高さ25mとかなりビック!ここまできたら、ぜひご覧ください、
アクセス
名称 | 三熊野神社 |
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住所 | 茨城県潮来市牛堀175 |
駐車場 | 社殿右手に2台程度駐車可 |
まとめ
この記事のまとめ
- 常陸利根川には僧侶の姿をした竜神がいた
- 現在の常陸利根川はバス釣りスポットとなっている
- 川岸の三熊野神社にも同様の雨乞いの龍伝説がある
参考文献
潮来の昔話と伝説/著 水郷民俗研究会
民話でつづる霞ヶ浦/著 仲田安夫
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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