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- 由緒とご祭神
- 境内社・蒟蒻神社について
- 御朱印のいただき方
○○所神社、という社号はいくつかの神社が合併して付けられることが多いのですが、中には例外も。。
今回は大子町の十二所神社をご紹介します。町内では「ひなまつり」の神社として知名度が高いですね。ぜひ参拝の参考にしてください!
百段階段でひなまつり|駐車場・シャトルバス・電車のアクセス|大子町
十二所神社とは
由緒
その後、小学校に敷地を譲与。現在地に社殿を造営
ご祭神は以下の通り。神格については十二所神社のパンフレットの通りです。
- 国常立尊…天地を開いた始源神とされる神
- 豊斟渟尊…原や野を司る神
- 埿土煑尊・沙土煑尊…泥や砂を司る神
- 角杙尊・活杙尊…物の生成繁殖を司る神
- 大戸之道尊・大苫辺尊…家屋を司る神
- 面足尊・惶根尊…人間の顔かたち、知恵を司る神
- 伊弉諾尊・伊弉冉尊…日本列島を造り、その劣等を司る神々を生んだ神、夫婦の道を定められた神
- 天照大神…太陽神と皇祖神の二つの神格の神で神代より神々の中心的な存在の神、伊勢神宮のご祭神
- 忍穂耳尊…瓊瓊杵尊の父神、天照大神の御子神
- 瓊瓊杵尊…天照大神の命により豊葦原瑞穂国に降臨された神
- 彦火火出見尊…ニニギノミコトの第三子で山の幸を司る神
- 鵜草葺不合尊…ヒコホホデミノミコトの御子神、神武天皇の父神
- 軻遇突智尊…火を司る神であり、防火・農耕の守護神である
①から⑦を総称して天神七代、⑧から⑫を総称して地神五代といいます。一般的な神社と比べずいぶんご祭神が多いですよね。氏子といえどもすべての神号、神格は答えられないかも。
天神七代は『古事記』と『日本書紀』で異なります。上記は『古事記』の七代なのですが、『茨城県神社誌』には『日本書紀』の七代が記載されています。そちらでは④の代わりに「国狭槌尊」を数えていて、いつの頃か入れ替わったようですね。
七代の中で注目すべきは⑥の面足尊&惶根尊ペア。大子町の旧郷社・近津神社(三社ある)の主祭神であり、この辺りで特に信仰されていました。神仏習合の時代、天神六代目のこの神は「第六天魔王」として修行者(山伏)に畏怖されていたようです。
残念ながら明治の火災によって社伝などが焼失してしまいました。それもあって大正年間に火防の神として愛宕神社(祭神:軻遇突智尊)を合祀したのでしょう。
軻遇突智尊が農耕神とされるのは意外に知られてないかも。軻遇突智尊といえば火の神。五行説における火は「火生土」という法則(五行相生)によって新たに土を生み出すとされることから、土を扱う農家にとってありがたい存在なのです。
火は「木生火」により木から生まれるので、そこからできる土は灰とか炭のイメージですね。(むかしは木をこすり合わせて火を起こしていたことに由来する)
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『天神七代』はこちらから
アクセス
最寄りICは常磐道の那珂IC。下りてから約1時間(56km)。遠い。。
駐車場は大子幼稚園とだいご小学校に挟まれた参道沿いです。あまり停められませんが、行事の日でなければ大丈夫です。
また、お正月はFMだいごのある奥の方まで停められました。駐車の心配はしなくて済むかと思います。
名称 | 十二所神社 |
---|---|
住所 | 茨城県大子町大子458 |
駐車場 | あり |
鳥居&百段階段
十二所神社の一の鳥居がこちら。毎年3月のひなまつりイベントでお雛様が並べられるので、茨城県民にとってはお馴染みですね!
「百段階段」の愛称で知られますが、実際に登ってみると百段はなかったような。炎天下で意識が朦朧としていたため定かでありませんけど。。
文武館跡のケヤキ
頑張って登りきると100mほど直進してまた石段。途中、左手にFMだいご、右手にだいご小学校が見えます。
実際にここを通ったことのある方なら小学校のケヤキが印象に残っているのではないでしょうか。この巨木は県指定の天然記念物。かつて水戸藩の郷校だった文武館に植えられたケヤキが凄まじい大きさに育っているのです!
右のケヤキの足元のあたりには「時の鐘」の鐘楼堂が残っています。時の鐘は文字通り時刻を知らせる鐘ですね。大正時代に作られたのですが、いまは建物だけになっています。
さらに直進すると最後の石段です。
そして気づきにくいので探してほしいのが、こちらの狛犬。顔が。。石段の左右にありますよ〜
社殿
二の鳥居をくぐると左手に立派な手水舎。御即位を記念して奉献されたとあります。
右手には古いソメイヨシノ。なかなか味わい深くていいではないですか。桜の後ろに見えるのが社務所ですね。
令和4年(2022年)の満開のようすがこちら。大変花つきがよくて美しかったです♪
入母屋造の拝殿。見事ですねぇ。お正月も賑わいますが、一番はやはり「ひなまつり」。巫女舞が奉納される頃は境内に入りきれないほどの人が押し寄せます。
巫女さんは神に対して舞を奉納するので、わたしたちは背中しか見えないんですけどね。どなたでも見られるようになっているので観光客で混雑します。
社殿の左手の方に境内社に続く参道があります。登っていくと幣殿と本殿が微かに見れます。幣殿の階段は急勾配となっており、本殿は拝殿よりずいぶん高い位置にあるのです。
蒟蒻神社
十二所神社の社殿の左手に進むと境内社の三峯神社(祭神:伊弉諾尊、伊弉冊尊)と蒟蒻神社が鎮座しています。三峯はともかく蒟蒻はネーミングからビックリしちゃいますよね。
奥久慈、そして水戸藩のこんにゃく作りに大いに貢献し、現在の蒟蒻業界の始祖となった中島藤右衛門(1745年〜1825年)を祭神としています。
以下、由緒を神社のパンフレットから引用します。
奥久慈蒟蒻は江戸中期頃移入され保内郷でも生産される様になり、投機性に富む換金作物で農民にとって魅力があり大子地方の特産物として定着することとなった。しかし蒟蒻は生玉では目方も重く、寒気に痛みやすく損耗が多く販路が制約され価格も不安定で難題が多かった。中島藤ヱ衛門は延享二年山方町諸沢に生まれ、これらの隘路を解消すべく研究に没頭した結果、安永五年三十二才にして粉蒟の製法を完成し、蒟蒻栽培農家に大きな恩恵をもたらした。その偉業に感謝し農祖神としてお祀り申し上げたものです。
正式な祭神名は中島藤ヱ衛門大人命。社殿は昭和53年(1978年)に結成した中島藤ヱ衛門顕正会によって同56年(1981年)に建立されました。
藤右衛門は生前からその功績を水戸藩に認められ、文化3年(1806年)に一代苗字帯刀が許され、麻の裃を拝領しました。
裃は蒟蒻作りに利用した道具類と共に常陸大宮市の山方館に展示されているそうです。藤右衛門は現在の常陸大宮市諸沢の出身なので地元の山方館で功績を讃えているわけですね。
毎年4月8日が例祭ですが、近年は多少前後するようです。関係者と近所の幼稚園の子供達が集まって蒟蒻をいただいていてなんとも楽しげ。毎年平日に催されるのでなかなか行けないんですよね〜
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当社は「こんにゃくいなり」「こんにゃく護符」で知られる墨田区の三輪里稲荷神社とこんにゃく繋がりで交流あり。2020年、同稲荷神社は台風19号に被災した大子町のために支援金を贈りました。
百段階段でひなまつり
当社は大子町を代表するイベントである『百段階段でひなまつり』の主要会場のひとつです。ひな人形が並ぶのは当社の参道。桃の節供にさまざまな祈願をするにふさわしい会場ではないでしょうか。
ただ、ひなまつりは神社の行事ではなく町民が発端となりました。「袋田の住職」のブログで次のように紹介されています。
それでは、百段階段でひな祭り、15年前にさかのぼってみましょう・・・ 2008(平成20)年3月2日に百段階段でひな祭りの第一回は開催されました。 もっとも、この年は、途中の踊り場までの62段に飾られ、名称も正式には有りませんでした。 百段階段の下で文房具店を営む商工会女性部長の山田良子さんが思いついた企画を、 女性部の皆さんが実現しました。 関係機関の許可をとったり、ひな人形を集めたり、試行錯誤の第一回だったと思います。 宣伝もあまりしなかったので、お客さんも今ほど来なかったと思います。 平成21年3月1日に開催された2回目は、一年前の反省を踏まえ、準備万端でのぞみ、見事な百一段飾りのひな祭りとなり、 メディアにも紹介され、大反響となりました。 その後、大子町文化福祉会館まいんでの行事、みんなのまいん全員集合と同時開催にしたり、 おもてなしイベントもあわせて開催するなど、数年後には今の形になりました。
②百段階段でひなまつり(その原点を探る編) [大子商店街]|袋田の住職
回を重ねるごとに認知度が高まり規模が大きくなってきたんですね。今では開催のたびに県内のニュースとして取り上げられます。
ひな人形を並べるのは3月3日前の日曜日か土曜日。時間帯は9〜14時くらいまでかと思います。詳細は都度配布されるチラシでご確認ください♪
十二所神社の拝殿では約1時間おきに巫女舞(浦安の舞)が奉納されます。にぎやかな会場がこのときだけ静かになるのはなんとも神秘的な光景。ぜひご覧いただきたいですね。
御朱印
十二所神社の御朱印です。社殿右手の社務所でいただきました。
宮司が不在である場合が多いので、いただける機会は非常に少なくなっています。お正月やひなまつり、例祭の日になるかと思います。
令和5年度は4年ぶりのひなまつりを記念して限定御朱印が頒布されました。大変な人気で1時間待ちの時間帯もあったとか。久方ぶりの行事の記念にと授かる方が多かったのではないでしょうか。
まとめ
この記事のまとめ
- ご祭神は天神七代、地神五代、軻遇突智尊
- 蒟蒻神社のご祭神は蒟蒻業界の始祖・中島藤右衛門
- 御朱印は主に正月、ひなまつり、例祭でいただける
参考文献
茨城県神社誌/茨城県神社庁
wataがいま読んでいる本
マンガで『古事記』を学びたい方向け
神社巡りの初心者におすすめ
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。