wata
- 由緒、本尊について
- 御朱印のいただき方
お寺を開くことを「開山」というくらいですからお寺といえば山。しかし、茨城は海に面していますから、海を見渡せるようなお寺もあるんですよね〜
そのひとつが鹿嶋市の慈眼寺です。美しい境内で参拝者をお迎えし、「灘観音」として親しまれています♪ぜひシェアさせてください!
慈眼寺とは
由緒
ご本尊は十一面観世音菩薩(別名:大光普照観世音菩薩)です。鹿島神宮のご祭神・武甕槌神の本地仏ですね。鹿嶋市の寺院としては意義深いものがあります。
残念ながら古い時代のことはほとんどわかっていません。おそらく大正の火災によって寺伝を失ってしまったのではないかと思います。
『茨城の寺(四)』によると、当寺の位置する旧大野村は真言宗の寺院が多いものの無住寺の数が県内一。その中で代々住職がいたそうなので地域を代表する寺院だったのでしょう。
近年伽藍が整備されて非常に美しい境内となっています。『東国花の寺』にも数えられておりますので、ハマナスが咲く5月頃の参拝は特におすすめです。
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アクセス
鹿島神宮から車で約15分。最寄り駅は大洗鹿島線の鹿島大野駅です。ただ、駅から2.6kmほど離れているので、参拝するなら車になるかと思います。
鹿嶋市と大洗町をつなぐ県道51号を海側に入ったところです。目立たないので見過ごす可能性大。
駐車場は本堂前と南東側にありますが、おすすめは後者。位置は上の地図をご参照ください。立派な仁王門から順番にお参りできますよ!
名称 | 神戸山 蓮華院 慈眼寺 |
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住所 | 茨城県鹿嶋市浜津賀378 |
駐車場 | あり |
Webサイト | 東国花の寺(公式) |
仁王門と釈迦堂
昭和の慈眼寺を知る方にとって、いまの境内は驚くべきことでしょう。輝く石段に巨大な仁王門。中には写実的で巨大な仁王像が構えています。周りは草花で彩られていて活力を感じますね。
その奥にあるのはおそらく釈迦堂です。中がよく見えませんでしたが、金色の逗子があるようです。
境内でいただいた縁起では次のように紹介されています。
釈迦堂の本尊様は、銅像誕生釈迦物立像で、奈良朝前期の作にして、開山萬願上人が、遠く平城京より招来されたと伝承されており、常陸国鹿島地方へ佛教、佛伝が伝法された事を証明する事が出来る大変貴重な佛様です。
うーん、そんなに古いものがあるなら見てみたいぞ。
釈迦堂を正面に右手に目をやると4つの扉のある不思議な建物が。中央に烏枢沙摩明王像がありましたのでお手洗いでしょうか。
お手洗いはいまも昔も不浄な場所。かつては「餓鬼の拠り所」とまで言われていました。しかし、烏枢沙摩明王はその不浄を持ち前の炎で消し去ってくれると考えられていたんです。
それでお手洗いに祀られるようになったのですが。。この明王によりお手洗いが神聖な場所とされるようになりました。価値観を一変させたすごい明王です!これぞ真の「トイレの神様」
鐘楼堂
平成になって再建された鐘楼堂。立派ですね!
もちろん勝手には撞きませんよ。いまだに時の鐘の役割を持っているところもありますから、場合によっては大変なことです。
鐘は高岡市の鋳物師さんが造ったとありますね。シルエットからすると天女かな?
鹿島灘観世音菩薩像
本堂左手には令和になって建立された鹿島灘観世音に続く石段があります。
さすがにまだピカピカ。年齢を超越しているはずの観音様もなんだか若々しいですね。
像の背後に回って由緒を見てみると当寺の名を持つ社会福祉法と保育園の名前が2つ。どうやら保育園の周年記念事業として建立されたようです。悩める人々を救ってくださる観音さまにさまざまな願いが込められていそうですね。
この高台から太平洋が望めます。美しい日の出を想像できると思いますが、月も絶景だそうです。海面にまんまるお月さまが映ったらキレイでしょうね〜
本堂
こちらが慈眼寺の本堂。平成初期に再建されたもので、この後に続々と境内が整えられていきます。
以前は水戸の校舎を貰い受けて本堂にしていたという話があります。その前には台風で倒れてしまい曲屋が建てられていたとか。苦難の時代があったということですね。
古い資料では毎月17日に観音講があったとか。本尊に対する信仰ですから特に重要視されたかと思いますが、この時代に講は残っていないかもしれませんね。信仰心が薄れたというより代わるものが多数ありますから。現代ではSNSや町内会なんかが講に代わっているのではと思います。
慈眼寺の一番大きな行事を「大般若」というそうです。これまた古い資料にあることなので定かでありませんが、正月21日に特定の条件を満たした若者を「ご神まわし」として儀式が催されます。
朝3時から色々な段取りを済ませて家内安全と大漁が祈願されます。仏前の「ご神」とはいかなる意味なのでしょうか。いまもあるなら見物してみたいところです。
御朱印
慈眼寺の御朱印です。本堂右手の授与所でいただけます。おそらくお寺の方がいるかと思いますが、不在でもお賽銭箱があるので大丈夫。
書き置きは19cmx13cmで一般の御朱印よりも少し大きめ。「花の寺」の形式で綴れるようになっているようですね。
まとめ
この記事のまとめ
- 開山は天平勝宝年間と伝承される
- 本尊は武甕槌神の本地仏・十一面観音。灘観音と親しまれる
- 御朱印は本堂右手の授与所でいただける。書き置きあり
参考文献
茨城の寺(四)/今瀬文也
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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