水戸黄門ゆかりの六地蔵寺〜桜と七地蔵の伝説|水戸市

常陸国の大掾だいじょう氏、佐竹氏、水戸徳川家に大切にされたお寺。六地蔵寺をご存知でしょうか?

名前の通り六体の地蔵をご本尊とするお寺です。深い歴史と黄門様の逸話があることで知られていますが、大変美しい桜があることでも有名。若い方もきっと気に入ると思います。

2018年の春に桜の撮影をしました。3月下旬に見頃を迎えますので、ぜひこの機会に覚えて春をお楽しみください!

六地蔵寺とは

六地蔵寺境内

六地蔵寺境内

倶胝密山ぐていみつざん 聖宝院しょうほういん 六地蔵寺は水戸大師とも呼ばれる六反田にある真言宗のお寺。常磐線の水戸駅から離れた旧常澄村地区にあります。

開山は平安時代初期の大同2年(807年)ですが、室町時代の永享元年(1429年)に宥覚上人によって中興。この時代、三世の恵範上人が西国で勉強をして多くの経典や書写(書き写したもの)を持ち帰ったことにより、僧侶の学問所(檀林)となりました。

文化財の数は金沢文庫、足利学校に次ぎ関東で3番目。平安時代から室町時代にかけて3,000点以上です。真言宗にとって重要な法要『伝法灌頂』を古来の道具でできる特別なお寺です。

地蔵堂と六地蔵

地蔵堂と六地蔵

常陸国を治めていた大掾氏、佐竹氏、水戸徳川家からも大切にされており、水戸黄門(光圀)が寄進した地蔵堂などはいまも残っています。黄門様は歴史や教育を重視していましたので、六地蔵寺を高く評価していたことでしょう。

安産や子育て祈願に多くの若者が訪れるほか、春には境内の美しい桜を鑑賞するため市外から足を運ぶ方もたくさん。観光いばらきでも紹介されています♫

wata

この日、室町時代に建てられたとされる四脚門は修繕中の模様。ご紹介を省きましたが、個性的な造りなのでチェックしてみてください!
MEMO
六地蔵寺は中世まで六蔵寺とも名乗っていました

地蔵堂

地蔵堂

地蔵堂

本尊の六地蔵が安置されている地蔵堂です。1700年に光圀が寄進しました。

中では大護摩修行が行われます。狭い?と思いましたが、2階建てに見えてじつは1階建て。意外と広く感じます。

訪れた日はちょうど戌の日。安産祈願のため多くの若い夫婦がいらっしゃいました。六地蔵寺は古くから安産祈願で知られているんです。

茨城の安産祈願といえば板橋不動尊(つくばみらい市)や雨引観音(桜川市)、虚空蔵堂(東海村)ですが、六地蔵寺と同じ真言宗です。茨城の伝統なのでしょうか。興味深いことです。

MEMO
地蔵堂の右手にある法寳蔵も光圀が寄進しました。蔵からは光圀が修繕に備えて貯めておいた小判が見つかっています。

本堂

本堂

本堂

本堂には堂々と三つ葉葵の紋。徳川家の証であり、水戸徳川家との深い関係を示しています。

いつも五色幕があって明るい雰囲気。建物は新しく地蔵堂とは対照的ですね!

花祭り

春祭りの境内

春祭りの境内

4月上旬は六地蔵寺の花祭り。大変美しい桜を楽しめますので、ぜひ足を運んでください。少し注意していただきたいのは、3月下旬に見頃になること。花祭りの前なんです。

境内中央にあるシダレザクラはエドヒガン。ソメイヨシノより1週間ほど早く開花します。

六地蔵堂の桜

六地蔵堂の桜

地蔵堂前の桜は見事な花付き。ピンク色の屋根をくぐってからお参りします♫

光圀ゆかりのシダレザクラ

光圀ゆかりのシダレザクラ

六地蔵といえば、なんといっても光圀ゆかりの一本桜!市指定の文化財です。樹齢は約200年。光圀が実際に見た桜のひこばえ(子孫)です。

高さ約10m、幹の太さは約2.5mです。大きすぎるので支えがありますが、花付きから活力を感じます。すでにこの樹の子孫が30本ほど花を咲かせているのだとか。

常磐百景(@joban_100)さんの茨城一本桜番付(2018年)では小結に選ばれています!

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写真は3月31日に撮影しました。満開ですね!

御朱印

六地蔵寺の御朱印

六地蔵寺の御朱印

六地蔵寺の御朱印です。御朱印料は300円。本堂左手の授与所でいただけます。

さらさらと左右に流れるような文字がユニークです!

民話『六地蔵寺の七地蔵』

六地蔵寺にはなんとも不思議な伝説があります。

むかしむかし。ある日の夕方、六地蔵寺の和尚さんが水まきをしていました。ところが、その水まきは止まることなく繰り返され、ついには境内が水浸しになりました。

お参りの村人はその様子に驚き「和尚さん、こんなに水をまいてどうするんですか?」「唐の金山寺で起きた火事を消しているんだ」

村人はさっぱり意味がわかりませんでした。ひとまずお参りをしようと本堂に行くと本尊の六地蔵が五体しかありません。村人は「和尚さん、お地蔵様が足りませんよ!」すると和尚は「火事を消すために唐に渡ったんだよ」

やはり意味がわかりませんでした。でも、このままではいけないと村人は仲間と相談して新しいお地蔵様を作ることにしました。そして六地蔵に戻ったある日。。

本堂の六地蔵は七地蔵になっていました。和尚の話では、唐の火消しが済んで戻ってきたのだとか。以来、六地蔵寺の七地蔵としてより多くの信仰を集めるようになりました。

六地蔵が七地蔵になってしまったという。。金山寺は実在しますが、六地蔵寺とどんな関係があるのでしょうか。。

wata

最後に1体増えてしまう理由もミステリー。このお話は六地蔵の公式サイトでは紹介されておらず、本尊はもちろん六体です。

アクセス

名称 倶胝密山ぐていみつざん 聖宝院しょうほういん 六地蔵寺(別名:水戸大師)
住所 茨城県水戸市六反田767
電話番号 029-269-2211
駐車場 無料140台あり
交通機関 JR水戸駅より車で10分(4km)
JR水戸駅より茨城交通「六地蔵入口」バス停より徒歩5分
水戸南インターより車で6分(2.5km)
水戸大洗インターより車で6分(2.5km)
Webサイト 六地蔵寺公式

まとめ

水戸市の六地蔵寺は水戸黄門ゆかりのお寺。古くは僧侶の学問所として、いまは安産や子育祈願で慕われています。

花の寺としても有名で春の桜は圧巻。特に境内の中央にあるシダレザクラは水戸を代表する一本桜です。

参考文献

いばらきのむかし話/編:藤田稔

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