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古民家を利用したレストランやカフェ、増えていますね。おしゃれでいつもと違ったひとときを過ごせるから好きです。
古いとみんな古民家ですが、なにか特別な理由があって残っています。心にゆとりがあるときに、のんびりと考えてみるのもいいでしょう。
いまはひな祭りシーズン。せっかくなので、それに合ったオススメの古民家をご紹介します。ズバリ常総市の坂野家住宅です!
国指定の重要文化財にもなった建物。お雛さまの雰囲気にぴったりです♪
坂野家住宅とは
坂野家住宅があるのは、常総市の大生郷。合併する前の水海道地域ですね。竹林に囲まれた美しい景観の場所です。駐車場から住宅まで少し歩きますが、それがまたいいんです。
坂野家を一言で説明すると豪農!経済的に豊かな農家、という意味です。
豊かな理由は江戸時代の中期からはじまった飯沼(飯沼小学校のあたりにあった)の新田開発で活躍したからです。開発の規模は30平方km!機械のない時代では大変なこと。坂野家は事業の責任者である頭取の一人をつとめました。
開発のために幕府にお願いをしたり、周辺の村と話し合いをしたりと、長い間、村のために辛抱強く力を尽くしました。
どれくらい豊かだったのか。常総市のデジタルミュージアムから引用します。
昭和8年(1933)の記録によれば、農業規模は米が小作米ともで1300俵、小麦600俵の収量があり、7人の使用人を抱えた大農であったと記されている。
[坂野家住宅について]/常総市/デジタルミュージアム
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新田開発は1669年に幕府へ開発願いを出して許可が下りたのが1723年。それまで周辺の村人は試行錯誤を繰り返し、なんども江戸の役所へ陳情しています
坂野家は土地の代表者。幕府からやってくる役人の受け入れ先でもありました。そのため、屋敷の門は薬井門。本来、武家屋敷に用いられるものですが、訪れる武士に合わせていたのでしょう。
続いて主屋。茅葺屋根で風情たっぷりです。常総市によれば、平成15年〜18年に改修工事がされて、1838年の姿に復元されました。その際、建物を一旦ばらしてから同じに組み立て直したとか。
写真の正面に見える玄関は江戸時代に役人専用として使われました。坂野家の方々でも使用を禁じられていたんです。なお、主屋と先ほどの薬井門が国指定の重要文化財です。(1968年認定)
この先は入館料がかかります。料金についてはブログの最後に記載します。
建物に入ると土間が広がっています。使用人だけで7人もいましたので、大きなかまどがいくつもあって、馬屋まであります。広間に上がると文化財や美術品がありますので、じっくり見学しましょう。
お雛様in坂野家住宅
歴史的な背景もいいですが、いまだけひな人形を楽しめます。坂野家のお雛様は大小12。市内の方々からご提供いただいているそうです。オレンジ色の暖かい光が優しく照らしていました。
お雛さまの間近まで寄れますので、美しいお顔や衣装をじっくり楽しめます。意外と表情豊かなことに気が付きました。毎年続けられる行事なので、さまざまな工夫があるのでしょう。
こちらの着物は打掛です。白無垢と呼ばれる花嫁衣装ですね。坂野家で代々使われていたそうですが・・・見事!
ひな祭りは3月4日(日)まで開催していますが、3日(土)には屋敷内の月波楼(書院)で面白いイベントがあります。
1日限定の坂野家住宅レストランです!日立市出身のいばらき大使神保 佳永シェフが常総市の食材を活かしたイタリアンを振る舞ってくれます。
すでに申込期限が過ぎてしまいましたが、とても美味しそう!どんな雰囲気なのかすごく気になります。常総市が報告してくれるのを待ちましょう。
わたしがこのイベントを知ったのは常総市の神立市長のTwitterです。こちらも要チェックですよ!
【坂野家住宅1日限定レストランを3/3オープン‼】
『坂野家住宅』が持つ文化財としての魅力と常総市産の食材を活用し、市内外の多くの方に訪れていただけるような今後の事業展開を検証するため、今回は市… https://t.co/YmlYC22lsp— 神達たけし (@takezo4313) January 30, 2018
水海道風土博物館として
住宅の中に置いてある品々。自然にあるのでわかりにくいですが、実はみんな文化財。坂野家は歴史ある建物としてだけでなく、地域の風土を保存した博物館でもあります。
上の写真は藤田東湖が坂野家に贈ったお礼状です。内容は「お世話になったのでお礼の品(刀と鰹節)を送ります」というもの。坂野家は東湖が謹慎していたときに手助けをしていたそうです。
鰹節は結婚式の引出物にもなる縁起物で、勝雄武士と書かれます。
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他にも初代茨城県知事の山岡鉄舟の書や笠間出身の日本画家木村武山の花鳥画などがあります。わたしは土浦藩の学者・藤森弘庵の書に注目しました。土浦でれんこんを栽培するきっかけになった人物なんです。
坂野家は村の代表だったので、歴史上の人物とたくさんの交流ができたのでしょう。ご紹介した山岡鉄舟や藤田東湖の他に二宮尊徳や勝海舟まで坂野家を訪れたそうです。以下の動画で市長もお話されています。
二宮尊徳は茨城県の筑西市、桜川市、つくば市にも訪れています。主に地域の農業に貢献しました。なお、つくば市の住所『二の宮』は二宮尊徳に由来
木村武山の画と藤森弘庵の書は常に展示されていません
もっと知りたい方はデジタルアーカイブ
本格的に坂野家の美術品や資料について調べたい方は、常総市のデジタルアーカイブをご利用ください。詳しいだけでなくて、なんとWeb上で坂野家を訪ねることができます。
さらに、デジタルアーカイブは坂野家に限らず、常総市全域の地域史を調べられます。高価な本の内容を無料で閲覧できて、検索機能まであります!図書館に行ったり本を買うのは大変なので個人的に助かっています♪
おまけ:ロケ地として人気
坂野家住宅の一室でロケ地として使われたことを紹介しています。(その部屋の写真撮影はできません)
大河ドラマだと、龍馬伝、篤姫、武蔵、利家とまつ、風林火山、葵〜徳川三代などです。auのコマーシャルでも使われているので注目してみてください。
アクセス
名称 | 水海道風土博物館坂野家住宅 |
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住所 | 茨城県常総市大生郷町2037 |
営業時間 | 9:00-17:00(4月~10月) 18:00閉館 9:00-16:00(11月~3月) 17:00閉館 |
駐車場 | あり |
定休日 | 月曜日 祝祭日の時は、その翌日 年末年始(12月29日~1月3日) |
TEL・予約 | 0297-24-2131 |
入館料 | (一般)300円 (小・中・高校生)100円 65歳以上無料 団体割引(15人以上) (一般)200円 (児童・生徒)50円 |
Webサイト | 常総市公式内 |
まとめ
坂野家住宅には、水海道地域の歴史や文化が詰まっています。ガイドさんが常駐していますので、気になることはいつでも質問できます。建物だけでなく、美しい庭園も楽しめるポイント。
近年では、住宅を使ったさまざまな催しもあります。歴史的な背景に詳しくなくても気軽に参加できますので、市長のツイッターや市の広報などで情報をチェックしましょう。
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。