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石岡市の常陸風土記の丘に行ったときのことです。売店でお買い物をしていると、石岡にずっと住んでいる女性からお話を聞きました。「子どもの頃から龍神山では良い石が採れてね。あまりに採れるものだから、いまでは形が変わっちゃった。子供のころ、山には怖いお兄さんがいるから近寄るなって学校で言われたっけ」
龍神山は常陸風土記の丘から見えるのですが、主に霊園です。景色がいいのは、すぐそばの柏原池公園と聞いたので向かってみました。
柏原池公園
到着したのは午後1時頃。公園の駐車場は、ほとんど埋まっていました。天気が最高に良かったのでウォーキングをする方が多かったです♪
公園ではカモや猫が迎えてくれます。人間に慣れているので、あまり警戒していません。
モヤイ像
園内で変わったものを見つけました。モヤイ像です。イースター島のモアイとは違います。東京都の新島で生まれた新しい名物だそうです。(参考:新島モヤイ像物語)
モヤイ像は”よそ者”が集まって創ったことが面白いですね。変わっているので、名物になるまで色々あったと思いますが、創り続けたチャレンジ精神は尊敬できます。
龍神山
これが龍神山です。山の真ん中が大きく凹んでいるのがわかります。その場所で採石をしているので、山が2つに分かれてしまいました。
龍神山の由来は、文字通り山に龍がいるとされるからです。オスの龍とメスの龍がいるそうですが(夫婦ともされる)、いまは離れて生活していそうですね・・・。(参考:石岡市の歴史と記憶)
柏原池の伝説の美少女
さて、実は龍神山に住む竜が人里に降りてきたという伝説があります。それも美しい少女の姿だったといいます。簡単にご紹介します。
いまの石岡市が府中と呼ばれていた頃のことです。その頃、柏原池はいまよりずっと大きく、池から見える龍神山には龍がいるとされていました。
ある時、町では月の美しい晩になると、一人の美少女が柏原池に現れるという噂がたちました。柏原池は龍神山からきれいな水が流れてくるので、美少女は龍神山からやってきた竜ではないか、とも言われました。たとえ龍であっても噂になるほどの美少女であれば見てみたい。町で評判の若い侍が思い立ちました。
月の澄んだ秋の晩のことです。池の水面には月が美しく写り、木々の影は墨絵のように映っていました。若者は池のほとりに腰掛けると、持っていた横笛で美しい音色を奏ではじめます。少しすると、どこからともなく美しい少女が現れました。若者の隣に腰掛けると、2人はぴったりと寄り添いながら、美しい池と笛の音を楽しみました。
美しい男女は誰の目から見てもお似合いでした。2人は夜が更けるのも忘れて語らい、池の周りを歩き続けました。やがて夜が明けて村人たちが池に行くと、水面で遺体となった若者が見つかりました。しかし、その表情は幸せそうに微笑んでいました。
それ以来、若者のために池のそばには祠が建てられました。また、美しい美少女は二度と池に現れることはありませんでした。
■参考
石岡地方のふるさと昔話/ふるさと”風”の会
石岡市の昔ばなし/仲田安夫/ふるさと文庫(筑波書林)
私がとても好きな伝説で、市内でたびたび取り上げられています。でも、その姿が想像できないせいか認知度は高くありません。そこで、私なりのイメージをオダギリフタゴさんにイラスト化していただきました。
青を基調とした古風な美少女です。衣装の着物は竜の鱗をイメージしています。それに、池に咲く蓮の花を髪飾りにしてくださいました。夜、こんな女性が突然現れたら、神秘的ですね!
さて、お話では月の美しい晩に龍神と出会った若侍が命を落としてしまいます。龍神が命を奪ったとも言われますが。。。
私は超人的な存在の龍神が、罪もない若い命を奪うとは考えられないです。もしかしたら若侍は龍となって生まれ変わり、龍神山で少女と一緒にいるのかも!?亡くなったときの幸せそうな表情はそのためだったりして。
昔話は不思議で非現実的なものが多いです。でも、わざわざそのようなものを語った理由、そして語り継がれた理由は、どこかに人の優しい心があったからと信じたいですね!
ドローンで見る龍神山
最後に柏原池公園から見た龍神山です。友人がドローンで撮影してくれました。黄昏時の幻想的な風景。本当に龍が出てきそうな雰囲気です!
アクセス
名称:柏原池公園
住所:茨城県石岡市鹿の子三丁目4
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。