wata
茨城でもっとも有名なお祭りといえばなんでしょうか。わたしは「石岡のおまつり」が最有力じゃないかと思います。なんといっても規模がすごい!季節になるとソワソワするとなんども市民から聞きました。
おまつりを開催しているのは総社二丁目に鎮座する常陸國總社宮(總社神社)。天平年間(西暦729ー749年)に創建したというこの古社とお祭りをしらない石岡市民はいないでしょう。
そんな常陸國總社宮で近年新しいお祭りが催されることになりました。その名も「愛染祭」。寺社巡りをされている方なら、この名称に「?」がつくはず。
短い時間ながら現地を訪れましたので、どんなお祭りだったか簡単にご紹介させていただきます。祭りは例年10月にあるかと思います。興味を持ちましたらぜひ足を運んでみてください。
愛染祭について總社宮のチラシから引用してご紹介します。
愛染祭は常陸國總社宮の境内にある小さな社「愛染神社」の例大祭。
御縁日の10月2日は毎年神職が神事を営んでいます。
愛染神社の御祭神は愛染明王。日本の神道とインドの仏教が習合した神社です。
10月2日はインド独立の父、マハートマー・ガンディーの誕生日。
そして去る2022年は日印交流70周年の年。このようなご縁で愛染祭は日印友好のまつりとしてスタートしました。
藍染体験ワークショップや縁結び提灯の点灯式に加え、今年は日印の音楽を楽しむ観月会のコンサートや万燈みこし、南インドの「ミールス」を楽しむランチ会も企画しました。
2回目となる今年の愛染祭も皆様にお楽しみいただければ幸いです。
愛染祭実行委員会
愛染祭チラシ
祭りは令和5年で2回目。まだ出来たばかりなので試作の部分も多いかと思います。
昭和40年代に茨城県神社庁から刊行された『茨城県神社誌』によると、当社の御祭神は大宮比売命です。別の古めの資料では染物業繁栄の御神徳があるといいますから、御祭神や御神徳には若干の変化があるようです。
とはいえ、当イベントではかつて愛染神社をお守りしていた講中のメンバーによる藍染を体験するワークショップが開かれています。古くからある神社がご縁によって進化したのが今の愛染神社なのでしょう。
wata
アクセス
名称 | 總社神社(常陸國總社宮) |
住所 | 茨城県石岡市総社2丁目8-1 |
駐車場 | あり |
Webサイト | 常陸國總社宮(公式サイト) |
本宮参拝
愛染神社は決して大きくない境内社なので、そんなに混雑はしないはず。と思って到着したら、最寄りの駐車場は満車。第二駐車場へと移動することになりました。
第二は境内の南西側。拝殿のある場所より低地にあるので石段を登って参拝することになります。しかし、気分的にはそちらが本来の参道という気がします。
鳥居の前には神橋がかかっていて古道の雰囲気たっぷり。やや急な石段を登ればその先の正面が拝殿となっています。山地に鎮座する神社によくあるような配置ですね。
まずは總社宮の本宮にお参り。總社(総社)とは複数の神社をまとめた神社という意味。かつて当地には常陸国の国府があり、国司が国を治めていたわけですが、国司には土地の有力な神様を詣でる決まりがありました。
しかし、国内とはいえ各社は遥か遠方にあるため、実際に参拝すれば役目の大きな影響を与えてしまう。そこで本来詣でるべき神社を国府にまとめたというのが創建の由来です。
總社は全国に55社確認されています。歴史的に重要な神社であるものの、残念ながら祭祀を中断することもあるのだとか。創建から歴史を重ねている当社はなんともありがたい存在ですね。
わたしが到着した頃、本宮周辺は落ち着いたようす。随神門の前のほうでお店やイベントが集中していたせいでしょう。でも本殿となりの型抜きだけは異様な盛り上がりをみせていました。
愛染神社
こちらが本宮そばにある愛染神社。祭礼とあって米、酒、生野菜、果物などの神饌が供えられていました。
社殿の前に藍色の幕が張られているのはいつものこと。愛染は藍染に通じ、古来から続く染物の神としての面をあらわにしています。
それにしても染物に特化した神様とは珍しいですよね。染物業を営むといっても商業全般にご利益があるという稲荷神社を信仰するのが一般的かと思います。
そのように特別なのは愛染明王に対する信仰も少なからずあったということでしょうか。愛染明王は愛欲の苦しみを力に変えるともいわれます。人間関係の悩みを力にできるなら百人力かもしれませんね!
餅まき
午後3時頃になると随神門のあたりがザワザワ。向かってみると守横町の山車で餅まき(お菓子まき?)がされていました。災除けの習俗をお子さん向けにアレンジといったところでしょうか。
なぜ餅をまくのかハッキリしたことは分かりませんが、五行説で謎解きにチャレンジしてみると。。
餅は基本的に白いですから五気でいえば金気。金気には金剋木といって木気を弱めるはたらきがあります。木気の特性は「動く」、これには地震や雷、強風が含まれますから、そうした災害を避けられるようにと祈願されたとか。
お囃子
続いてお囃子(守町囃子)の出番です。笛と鉦の軽快なリズムにあわせてひょっとこやおかめが踊ります。
特に笑い面を被った小さい子の踊りがキレキレ。見ていると明るい気分になってしまう。
山車の隣に万燈神輿が安置され、踊りと並行して祝詞が読み上げられていました。このあとに修祓(お祓い)がされて担ぐ準備は万端に。
余談ですが、わたしは当社のお田植祭や竹原神社の例祭などで神職さんが屋外で祝詞を奏上しているシーンをたびたび目にしています。山車や神輿だけでなく神職さんも躍動する神社なのも特徴ですね。
万燈神輿
藍色の着物をまとった若者たちが次々とあらわれて大きな神輿を担ぎます。神輿については次のように説明されていました。
万燈神輿とは四方に提灯をつけた江戸時代発祥の神輿の一つ。
今年は御祭神である愛染明王を御本尊に、皆さんの御縁を結ぶ神輿の渡御を常陸國總社宮の境内で行います。
神輿を担ぎたい方は祭り衣装でご来場下さい。
私服での飛び入り参加も歓迎します。
愛染祭チラシ
愛染祭用に新築されたであろうこの神輿はさすがに若い色合いをしています。初々しくてよいと思いますが、歴史を重ねて守横町の山車のようになるのも楽しみですね。
このあと5時には観月祭としてコンサートなども催されていました。今回が2回目ながら内容は盛りだくさん。時間がとれなくて撤収となってしまったので、今度はじっくりインドの音楽も楽しんでみたいです!
・愛染祭は日印友好のまつりとしてスタート
・愛染神社には染物繁栄の御神徳があるといわれる
・まつりでは石岡のお囃子や万燈神輿、観月会などが催される
wata
参考文献
茨城県神社誌/茨城県神社庁
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
御朱印巡りをされる方へ