【水戸十ヶ寺】小鶴の古刹 如意輪寺|御朱印・由緒|茨城町【常陸三十三観音霊場】

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wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

いまも昔も人通りの多い道に面したお店は流行ると思います。集客の必要がないのでとにかく売るだけ!昔の道といえば関東だと東海道が思い浮かびますが、茨城なら水戸街道。やはり街道沿いの寺社は繁栄したのでしょうか。

この記事では茨城町の如意輪寺にょいりんじ(天台宗)をご紹介します。水戸街道の宿場町・長岡宿にあり旧長岡地区の方々にとって重要なお寺です。参拝しやすいのでぜひ足を運んでみてください♪

この記事でわかること

  • 由緒とご本尊について
  • 寺伝にない歴史
  • 御朱印のいただき方
如意輪寺
如意輪寺

由緒

平安時代
創建

寺伝によれば慈覚大師(円仁)が東国で布教した際に開山。
*水戸藩の『開基帳』(寛文3年)によれば不詳
*829年ともいわれる

1429-1441年/永享年間
中興

仁賀法印によって中興されたといわれる。
*『開基帳』では慈覚大師の法燈を継ぐ仁賀法印が開山であり、それまで(開基帳編纂時期)八代続いたという。

元禄3年/1690年
移転

小字の堂周から現在地に移転。徳川光圀の意向があったといわれる。

元禄3年/1690年
観音堂寄進

*如意輪観音像も寄進

大正12年/1923年
観音堂再建

*『茨城県の地名』による

昭和15年/1940年
本堂再建

*『茨城県の地名』による

昭和54年/1979年
梵鐘鋳造
昭和55年/1980年
山門および鐘楼堂建立
昭和57年/1982年
客殿建立
昭和63年/1988年
本堂新築
平成2年/1990年
六地蔵像寄進
六地蔵像
六地蔵像
平成11年/1999年
寺号標建立
寺号標(平成11年建立)
寺号標(平成11年建立)
平成13年/2001年
寺号標建立

ご本尊は阿弥陀如来如意輪観音です。前者は本堂、後者は観音堂でお祀りしております。如意輪観音は幻の霊場といわれる「常陸三十三観音霊場(通称:水戸三十三観音霊場)」に数えられています。

当寺の歴史を語るうえで重要なのは水戸藩との関係です。小鶴の寺院の多くは前期水戸藩の寺社改革で廃寺となっておりますが、当寺に限っては除地が認められ光圀公から特別に観音堂と本尊を寄進されています。

また、『開基帳』によれば黒子(現筑西市)の千妙寺の末寺にして、末寺3ヵ寺、門徒10ヵ寺、旦那(檀家)601人を持っていたとあります。かなり立派なお寺だったようですね。「水戸十ヶ寺」のひとつとされています。

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近世の寺社改革の影響もあって現在の旧長岡地区のお寺は如意輪寺のみ。そのため信仰の中心となっているそうです。

アクセス

如意輪寺は茨城町の小鶴にある天台宗の寺院です。小堤の町役場から車で約10分、茨城町東ICを下りてからだと7分ほどです。

道中あまり広くない道が続きますが、境内の駐車場はトラックが停められるほど広いのでご安心ください。乗用車なら20台近くいけるでしょう。

名称龍谿りゅうけい西樂さいらく院 如意輪寺
住所茨城県東茨城郡茨城町小鶴1771
駐車場あり(20台ほど駐車可)
Webサイトなし

山門

山門
山門

駐車場から境内に入るにはスロープと山門の2通りがあります。健康なら少し歩いて山門からお参りするのがオススメです。

「山号」があるくらいなのでお寺といえば山ですが、わたしは平地で青空の見えるお寺も好きです。如意輪寺は参道から見る山門と空が美しいですよ。

後ろにちらっと見える巨木は山桜です。参拝した12月にはもちろん咲きませんが、4月には見事な花を見せるそう。

如意輪堂(観音堂)

如意輪堂(観音堂)
如意輪堂(観音堂)

山門の先、正面に見えるのは如意輪堂(観音堂)です。中には寺号にもある如意輪観音が安置されており、お参りすることで長寿、安産、厄除けのご利益があるといわれています。

この観音さまと観音堂は元禄3年(1690年)に徳川光圀公から寄進されました。像の背には「寄進常州茨城郡小鶴村如意輪寺現住長 温和尚安置正殿云、元禄之歳、源光圀(花押)」の銘があります。

御詠歌の石碑
御詠歌の石碑

ちなみに御詠歌は次のとおりです。

重ねてもここに小鶴の如意輪寺みきりの松をしるべにはして

水戸三十三番札所|滝田三右衛門|延享4年(1747年)

水戸藩から特別待遇される寺院であったことは間違いありませんが、ご本尊が寄進されたということは、それまで寺格に見合ったものが無かったことを意味するのかもしれません。

如意輪観音像(『常陸三十三観音霊場札所簡略ガイド』より引用)
如意輪観音像(『常陸三十三観音霊場札所簡略ガイド』より引用)

光圀公の寺社改革は強制的な廃寺ばかり注目されがちです。しかし、一方で由緒ある寺院の再興に力を入れており、当寺はまさにそれを代表するかのようではないでしょうか。

如意輪寺の場合、本尊にもなっている阿弥陀如来より人気(?)があるとか。黄門さまとのご縁があるからかもしれませんね。霊場の札所になっているのもそのような背景かと思います。

本堂

本堂
本堂

入母屋造の本堂です。昭和63年(1988年)10月に新築されました。元禄3年から認められるようになった三つ葉葵(水戸徳川家紋)が輝いています。

本堂には阿弥陀如来像が安置されています。瑠璃色の螺髪がすご〜く目立ちますので、戸が開いていたらすぐにわかると思いますよ。心静かに「南無阿弥陀仏」を唱えてお参りしましょう。

扁額と龍の彫刻
扁額と龍の彫刻

山号”龍谿山”に龍の彫刻。美しいですねぇ。そういえば、光圀のあざなは子龍でした。如意輪寺と龍の関係はなかなか興味深いものがあります。

前述の通り、如意輪寺は元禄3年に当地に移設されました。墓石を見ると古いもので寛文2年(1662年)とあります。古い時代のことは不明ながら、光圀公が目をつけたということは土地を代表するお寺だったのでしょう。

江戸から水戸街道で水戸に向かう場合、水戸のひとつ前は長岡宿。まさに如意輪寺のある場所なんです。人と物が集まる要所ですから、水戸の門番としてさまざまな役目があったのかもしれませんね。

関係寺

廃寺になったものがほとんどですが、かつて以下のような関係寺があったそうです。

末寺
大戸 不岸ふがん
安井村 妙光みょうこう
長岡 正法しょうぼう

脇寮
無量院
高照寺

*『常陸紅葉郡鑑』による

門徒寺
越安村 東光院
蕎麦原村 宝蔵院
馬渡村 常照じょうしょう
常井村 法性ほうしょう
近藤村 教王きょうおう
安井村 三明さんみょう院、医王院

*『小鶴村年代記』による

御朱印

如意輪寺の御朱印
如意輪寺の御朱印

如意輪寺の御朱印です。本堂左手の庫裏でいただけます。庫裏はインターホンのある方で客殿と異なりますのでご注意ください。

この日はご住職不在だったため書き置きをいただきました。大変ご丁寧に対応くださり感謝です!

フォトギャラリー

まとめ

・ハッキリした創建年代はわからない。阿弥陀如来と如意輪観音がご本尊とされている。

・観音さまと観音堂は水戸黄門による寄進

・御朱印は本堂左手の庫裏でいただける

参考文献

茨城町史 通史編|編:茨城町史編さん委員会
茨城町史 地誌編|編:茨城町史編さん委員会
茨城の寺(四)|著:今瀬文也
茨城県の地名|編:平凡社
常陸三十三観音霊場札所簡略ガイド「まぼろしの霊場を巡ってみませんか」|著:寺田弘道