wata
「小豆洗おか、人取って喰おか」
ぜんぜん違うじゃん。小豆洗っててよ。。これは妖怪 小豆洗いのセリフ。土地によってさまざまですが、おそろしい存在とされる場合もあるようです。
有名な妖怪なので茨城でも伝説を発見できました。この記事では日立市の東成沢にある小豆洗不動尊をご紹介します。伝説の真相にも迫っちゃいますよ!
小豆洗不動尊とは
小豆洗不動尊は日立市の東成沢町にあるお堂です。宗派についてはわかりません。
慶長8年(1603年)に佐竹氏が秋田に国替えになると小豆洗館主もそれに続きました。不動堂はそのままで享保3年(1718年)に荒廃したため現在の地に移転。本尊を新たにふたたび多くの信仰を集めました。
ただし、本尊は大正10年(1921年)に盗難に遭い、昭和2年(1927年)に新た安置されました。
小豆洗は地名です。後ほどご紹介する伝説とどちらが先かわかりませんが、新編常陸国誌によると、かつてこの地は油縄子と呼ばれていて、その一部の地域に小豆洗がありました。
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場所
小豆洗不動尊にたどり着くためには下のルートをご覧ください。
目印となるのは大型ドラッグストアのカワチ。駐車場から北に進み、大学橋を渡ります。下には流れているのは清流 鮎川。
カワチと橋の間にバス停を見つけました。茨城交通の『多賀高校前』です。日立駅からバスでこれるみたいですね。
橋を渡ると大きな看板で案内されています。右折して住宅街に入りますが、その先にも看板がありますので迷うことはないでしょう。
不動尊は鮎川のほとりです。橋の下の方に進むと少しずつジメジメ。。気温は高くありませんでしたが、じっとりとした暑さを感じました。
境内
不動尊まで緩やかなスロープと手すりがありました。どうやらお参りされるのは地元のご年配者が多いようです。勾配がきついので助かりますね。
本堂を見下ろしながら参拝したことはこれまで少なかったです。不思議な立地。。
境内には比較的新しい立て札があり由緒を伝えていました。はじめにご紹介した内容以外だとご本尊の不動明王について。
不動明王は大日如来の使者で悪魔や煩悩を払うといわれています。こちらの倶利伽羅不動明王は天災・病気の厄除け、さらに家運隆盛・商売繁盛のご利益もあるとか。
龍王が弁財天の表徴でされることにも触れていますね。ご利益の幅がどんどん膨らんでいく!
本堂とその隣には倉庫のような建物。石壁はだれかが削ったような跡があります。ずっと水が流れていてひたひたと響いていました。。
壁の穴には屋根瓦(不動尊のもの?)のほかに剣のような金属が。倶利伽羅剣でしょうか。退魔の剣ともいうべき不動明王の象徴的な存在です。
本堂
不動尊の本堂は昭和49年(1974年)改築されました。比較的きれいで45年も経っているとは思えません。
中を覗いてみると。。小豆洗稲荷大神のかけじく。まさに神仏習合してます。本尊が不動明王なのでかつて山岳信仰や修験道(山伏)がいたと考えられますね。
そういえば、不動尊の南にある風神山には『鬼』がいたという伝説があります。北の川尻のあたりには雷神と養蚕神。日立はすごく神秘的な場所ですよね。
本堂からさらに下に進むと鮎川があります。この日は雨のあがった後で足元が不安定だったので見ることなく引き返しました。
こちらが鮎川を橋の上から見た写真。この距離からでも水が透き通っているのがわかりました。素晴らしい♪
ちなみにこのすぐ上の方に不動尊があります。
小豆洗伝説
境内のどこにもありませんが、小豆洗不動尊には次のような伝説があります。
むかし鮎川の小高い丘の上に豪族の館があり、そこに主人と妻と姫が住んでいた。姫が9歳のときに母親がなくなり一年後に父親が後妻をめとった。この後妻は姫につらくあたるようになり、姫をこき使っていた。
ある師走の夕暮れ時に、姫は冷たい水で米をといで帰った。すると継母が、「お不動さんの縁日の小豆を洗っておいで」と命令した。姫は小豆をあらったが、途中で倒れてしまい、あずきを撒き散らしてしまった。姫は川にもどって深みのある渕をみつけると袂に石を入れて身を投げてしまった。
このことがあってから人々がこの近くを通ると、小豆を洗うような気味悪い音が聞こえてくるとうわさになった。これはきっと姫の怨念であろうと手を合わせて通り過ぎたと言う。土地の人は誰いうことなく、このあたりを 「小豆洗」と呼ぶようになったとか。
小豆洗不動尊/市民が紹介する日立市
妖怪や怨念によって小豆を洗う音が聞こえるという説は大変興味深いのですが。。『日立の伝説』には異なった説が書かれています。
こうした正体不明の音を、小豆をとぐ音のように聞いたのは、小豆が神祭用の特別な食品だったからで、祭りに伴う厳粛な強い印象を幻聴で聞く経験で不自然ではなかったと見られる。小豆洗いを怪異めいたものとして考えられるようになったのは後の変化であろう。
小豆洗いの怪/日立の伝説
小豆洗不動尊は不動明王を安置していることから、真言宗や天台宗との関わりが強いと考えられます。
じつは真言宗の開祖・空海は唐から小豆を持ち帰ったといわれます。空海の小豆は煮ても皮が破これないことから、武士に『切腹』を連想させず縁起が良いとされました。
昔から小正月に小豆を食べる習慣は邪気を払うといったことに加えて、こうした理由もあったのではないでしょうか。
小豆は身近で神聖な食べ物。頻繁に洗われており、緊張が高まる場面で幻聴として聞こえる場合があった。ふむふむ。。
さらにここが修験道の地であったことから、過酷な精神状態で幻覚・幻聴を見た者がいてもおかしくない。。
現実的な可能性を探ってしまいましたが真相はいかに。
ただ。。ここは本当になにか出そうな雰囲気があります。住宅街のはずなのに不動尊の周りだけ異空間のよう。常に水の音が聞こえるというのもなんとも。。
アクセス
名称 | 小豆洗不動尊 |
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住所 | 茨城県日立市東成沢町3-1-6 |
駐車場 | なし |
行事 | 初不動 1月28日 御縁日 毎月28日 秋季大祭 8月28日 初詣 1月1日 |
まとめ
日立市の小豆洗不動尊には妖怪の小豆洗いの伝説があります。
ただし、小豆洗いは地名で実際に小豆を洗う場所だった可能性もあります。
真相はわかりませんが、不動尊と小豆には深い関係があると思われます。
参考文献
日立の伝説/著:柴田勇一郎
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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