【頭白上人】大曽根の千光寺|つくば市

千光寺の御朱印

記事内に広告を含みます

wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

この記事でわかること
  • 由緒、ご本尊
  • 千光寺の伝説
  • 御朱印のいただき方

つくば市はそこそこ広いので多くのお寺があります。しかし、その歴史を辿ろうとするとなかなか難しい。大抵は公式サイトか郷土史を読んで実際に参拝すれば大体のことが掴めるのですが、とにかく文書として残っているものが少ない。

今回かろうじて旧大穂町の千光寺せんこうじについてある程度のことがわかりましたので、シェアいたします。ぜひ参拝のご参考にしてください♪

MEMO

当寺の薬師如来像は市の文化財に指定され、『関東九十一薬師霊場』に数えられています。

千光寺とは

千光寺

千光寺

由緒

『茨城の寺(三)』をもとに由緒をご紹介します。

不詳
創建
慈覚大師(円仁)が、筑波郡小田山宝篋山半岳石上に千手の霊験を感得して千手千眼の大法を修行して創建
建仁元年/1201年
再興
八田四郎源知家により再興。代々小田城主の祈願所として寺領150貫を授かる
永禄11年/1568年
堂宇焼失
小田氏治が小田城を落城させ千光寺にも兵火が広がり堂宇焼失
慶長6年/1601年
中興
第24代の亮尊により現在地に堂宇が再建され中興する
※中興および堂宇再建は天正13年(1585年)のことともいわれる
慶安2年/1649年
朱印地を授かる
中興17代の仙誉のとき、日光山において紫色衣免許、それに御朱印を授かる
明治43年/1910年
寺号標建立
昭和44年/1969年
本堂再建
伝教大師1150年御遠忌の記念事業として本堂再建
昭和59年/1984年
市の文化財指定
薬師堂、薬師如来像が市の文化財に指定される
昭和62年/1987年
市の文化財指定
板碑、薬師如来坐像が市の文化財に指定される

ご本尊は千手観世音菩薩です。 境内の案内のよれば、宗派の本尊として釈迦如来があり千手観音を含む諸菩薩等はそれと同類一体という位置づけです。

ざっくりした由緒の中で気になるのは「再興」と「中興」の文字。中興を境に住職の代数が改められているので宗派の変更があったと考えられます

慶安年間の「日光山」は天台宗の輪王寺(栃木県)の山号を意味するのでしょうか。それ以前は小田氏の祈願所ということで真言宗だったのではと思います。(小田氏以前は天台宗かもしれない)

上記由緒の年号は世間で広まっている内容と少しだけ違いますね。参照元の『茨城の寺』は年号の間違いが多いので参考程度にしておいてください。

アクセス

最寄り駅はつくばエクスプレスのつくば駅ですが、8km以上離れていますので現実的には車で参拝になるかと思います。

駐車場は境内を入って左手側に広がっています。途中、一本道ですので運転にはご注意ください。

千光寺が管理する薬師堂は上の地図の場所です。千光寺の入り口から徒歩1〜2分と近く御朱印もいただけますので、あわせてお参りしてみてはいかがでしょうか。

名称庭星山 千手院 千光寺
住所茨城県つくば市大曽根446
駐車場あり

山門

参道

参道

千光寺の入口がこちら。細い一本道は歩くには問題ありませんが、車となると少々注意が必要でしょう。

参道の途中には立派なソメイヨシノ。春は境内のあちこちが桃色に染まるようです。

山門

山門

千光寺の山門です。坐禅堂や書道教室の掛札がありますので子どもたちも足を運ぶのではないでしょうか。お寺で日本文化を学べたら素敵ですね。

不動堂

不動堂と手水舎

不動堂と手水舎

山門先の朱色の建物は不動堂。「成田山」の額がある通り、成田山新勝寺から勧請して建てられました。

「成田山」の額

「成田山」の額

額に明治14年(1881年)とありますので建立も同時期でしょうか。成田山は平将門の乱の鎮圧を祈願するために創建された特別な寺院。

その経緯には茨城県民として複雑な想いですが、霊験あらたかとされることはたしか。それにあやかりたいと考える方は非常に多いのではと思います。

不動堂

不動堂

もっとも不動明王は悩める人々をちょっと過激に救う存在として広く人気がありますけどね。

本堂

本堂と銀杏

本堂と銀杏

不動堂の左奥の方に進むと本堂です。手前には銀杏の大木がそびえ立っています。

千光寺には三本の銀杏があって秋になると地面を黄金色に染め上げるのだとか。とても美しいと評判なのでぜひ目にしてみたいですね!

本堂

本堂

堂々たる佇まいの本堂。築60年ほどなので本堂としてはまだ新しいといえるでしょう。細かな彫刻などはありませんが、落ち着いた雰囲気でけっこうなことです。

扁額

扁額

扁額には黒子(筑西市)の千妙寺の名がありますね。千妙寺は江戸時代に百石の朱印地を授かった大寺院。多くの末寺を持っていたので千光寺もそのひとつに数えられていたのかもしれませんね。

歴代住職に頭白上人

境内の石仏郡

境内の石仏郡

さて、ここで書こうか迷ったオカルトな話をご紹介します。

当寺の歴史は長く、これまで数多くの住職がいたわけですが、『茨城の寺(三)』によると中興以前の第22代の住職に頭白ずはく上人の名が挙げられています

この人は茨城県の民話ファンの中ではかなり有名。なぜなら幽霊の母親に育てられたとか、生まれ変わって小田氏に復讐したとか強烈なエピソードを持っているからです。

それらが事実か確かめようもありませんが、小田に非常にゆかりのある人物で創建にも小田の地名が出ることから、じつは当寺の歴史を語る上でもっとも重要な存在ではないかと思います。

鐘楼堂

鐘楼堂

ちなみに「頭白」とは生まれたときから髪の毛が白かったことに由来します。ただ、それが単なる白髪を意味するのか個人的には疑問です。

白は現代でこそ純白とか純潔といったポジティブな印象ですが、それは輸入された西洋の価値観。日本では古来から神や死に繋がる神秘的な色です。神獣や死装束にも使われますからね。

伝説によれば頭白上人は墓場で幽霊に育てられました。「死」に近い存在であり、常識ではありえないことなので、そうした話が広まった背景にはなにがあるのか気になるところです。

頭白上人について知るならこちら

勢至山 一心院 解脱寺〜頭白上人の伝説|つくば市

【頭白上人伝説】金嶽神社と五輪塔|土浦市【蔵王権現】

関東九十一薬師霊場:薬師堂

関東九十一薬師霊場の七十三番に数えられる薬師如来像を安置する薬師堂です。詳しい経緯はわかりませんが、現在は千光寺に管理されています。

千光寺の正面の出入り口から徒步数分。駐車スペースはありませんので千光寺に駐車するのがよいでしょう。

彫刻は十二支。四方に三体ずつ彫られています。薬師如来を守護する十二神将を連想させますね。

堂内はお薬師さまの他に十二神将も安置されていました。薬師堂と薬師像は市の文化財に指定されています。非常に気づきにくいので、ぜひ思い出して参拝してみてください!

御朱印

千光寺の御朱印

千光寺の御朱印

千光寺の御朱印です。本堂左手に庫裏があるのでインターホンでお声掛けください。

もし、境外の薬師堂にお参りされたのであれば、そちらの御朱印もいただけます。

まとめ

この記事のまとめ

  • 寺伝では慈覚大師による創建。本尊は千手観世音菩薩
  • 歴代の住職には頭白上人がいる
  • 御朱印は本堂左手の庫裏でいただける

参考文献

茨城の寺(三)/今瀬文也