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花の寺めぐりをご存知でしょうか。県央から県北地域にまたがる美しい花々を楽しめる寺院めぐりです。暖かくなってきたらぜひ思い出していただきたいですね。
花の寺にはそれぞれ十二支の守り本尊がお祀りされていますから、自分の守り本尊をお参りするというのもよいでしょう。今回ご紹介する城里町の龍谷院(曹洞宗)は花の寺の一番札所、子年の守護本尊が安置されています。
特におすすめの時期は桜やつつじが楽しめる春です。周辺はだいぶのどかですが、参拝するのは難しくありません。お気軽にどうぞ〜!
この記事でわかること
- お寺の由緒とご利益
- 花の寺と守り本尊について
- 御朱印のいただき方
由緒
以下の由緒は主に公式サイトを参考にしています。
大山城主・佐竹義成が開基となり、秀峰宗岱大和尚が63歳のとき開山。
水戸彰考館所蔵の開基帳によると、「禅宗伊豆国堂山村普門院門中 竜谷院」として書かれ、除地は寺内6石、寺領8石、末寺32、百姓旦那170人とある。
ご本尊は釈迦牟尼仏です。明応8年(1499年)に鎌倉仏師の秀眼法林が刻んだといわれます。それとは別に観音堂で千手観音をお祀りしており、そちらが花の寺としてのご本尊です。
禅宗のお寺なので開山が初代のご住職で開基はそれを経済面でサポートしたということですね。龍谷院の山号『瑞雲山』には面白い由来があります。
また、山号の由来は、開山である秀峰宗岱和尚は、9歳で出家剃髪しています。享徳二年(1453年)に仏法を広めるべく、都より常陸国へ入り、穴沢村へ入りました。山神はそれを知ると瑞雲を顕し、竜が雨を曳いて谷中に出、この地を自ら耕したことからと言われております。
龍谷院の沿革/龍谷院公式
和尚の開山を龍が歓迎したということでしょうか。なんだかかっこいい。それに「山神」からは神仏習合時代を感じさせてよいですね。
また、「龍」についてはもうひとつ逸話があります。なんでも『桂村郷土史』によれば、開山の際に井戸を掘ったところ、中より竜骨(蛇の化石)が出たので、はじめは「竜骨院」と称したのだとか。
「竜骨院」は接骨院の名前みたいですが、非常にユニークな伝承ですよね。ちなみにこの骨は寺宝として現存するそうですよ!
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境内に昭和の茨城桜見立番付(川上千尋先生著)のシダレザクラ部門で前頭に位置している桜があります。
アクセス
龍谷院の場所は城里町役場(石塚)から県道123号を北に進み15分といったところでしょうか。途中、田んぼ道を走っていると、なにやらすごい場所に来たような。。後ろにあるのは井殿山だと思います。
本堂正面の石段の前に充分な広さの駐車場があります。
山門
訪れたのは4月20日。桜を逃してしまいましたが、見頃を過ぎたソメイヨシノを少しだけ見ることができました。ちょっと惜しかったな〜と思いましたが、駐車場から山門のある方を見ると意外な光景が…
「もしかして紅葉してる?」ちょっとドキドキしながら石段を登り、確認してみることに。
形はたしかにもみじ。。調べてみたら新芽が赤やオレンジの『春もみじ』のようです。珍しいものを見れてラッキー♪
山門は1811年(文化8年)に建立。山門の扁額の『瑞雲山』は水戸市祇園寺を開山した心越禅師の自筆です。祇園寺の開基は徳川光圀公(水戸黄門)なんです。佐竹氏と水戸徳川家が結びついてる!
山門の先には小さな庭園が広がっていました。本堂の裏に山と空が広がっているのが気持ちいいですよね。写真の右上にはしだれ桜が。桜ともみじが同時に楽しめるなんてユニーク♪
本堂
本堂は1979年に建て替えられました。鉄筋コンクリート製なので40年経ってもピカピカの印象。中にご本尊が安置されているのですが、公開しないものだそうです。。気になる。
本堂手前にある天水受け(雨水を受けるもの)に佐竹氏の家紋(佐竹扇)!黒の下地に日の丸の付いた金扇。さすがゆかりのお寺。むちゃくちゃかっこいい〜!
ところで、由緒のところに記したように江戸時代の当寺は多くの末寺を抱えており、その数は最大で36にもなりました。いまも以下の7寺が健在です。
龍昌院 (茨城県那珂市)
円通寺 (茨城県笠間市大田町)
泰寧寺 (茨城県石岡市根小屋)
龍勝寺 (茨城県つくば市)
照岩寺 (茨城県石岡市)
金仙寺 (茨城県筑西市)
龍昌院 (秋田県横手市)
観音堂(花の寺本尊)
本堂の左側に観音堂があります。こちらに子年生まれの守り本尊である千手観音像が安置されています。公式サイトでは次のように紹介しています。
この観音菩薩は、大山城主佐竹義成公の守り仏であり、開山がこの観音堂を建立するに当りこの地に選んだ折、瑞祥に若竹が一夜のうちに伸びたと伝えられ、この「観音一夜の霊竹」を寺宝として保管されております。昔から安産・虫きり・交通安全を祈願する多くの参拝者が当山を訪れております。
千手観音さま|龍谷院(公式サイト)
守り本尊は四方(東西南北)に四隅(東北・東南・西南・西北)をあわせた八方を八の仏尊が守護するという思想で、室町時代の頃に成立したといわれます。
この八方には十二支があてられます。北方であれば子、そこに千手観音が配されているのです。ちなみに四隅の守り本尊は2つの干支を守ることになります。東南の虚空蔵なら「丑」と「寅」という感じです。
観音堂の格子は左甚五郎の作で特殊な組み方をしているそう。左甚五郎は伝説の彫刻師ですよね。むむむ。。
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御朱印
龍谷院の御朱印です。本堂の右手の客殿でいただいてください。
お伺いしたとき、たまたまご住職不在で書き置きがありました。その場合、書き置きと一緒にある袋に御朱印料を納めるようになっています。
袋に納めていたら、ご住職がいらっしゃったのでこの通り!ご本尊の『千手観音』が力強く書かれています♪
・城里町の龍谷院は花の寺。境内の桜、つつじ、あじさいが美しいと評判
・ご本尊は釈迦如来、それに花の寺の本尊として千手観音が安置されており、安産・虫切りのご利益があるといわれる
・御朱印は庫裏でいただける。ご住職不在の場合は書き置きがあるかもしれない
茨城の寺(二)|今瀬文也
茨城県の地名|編:平凡社
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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