wata
- 由緒とご祭神
- 泉町との関係
- 御朱印のいただき方
神社といえば社叢に囲われた神聖な場所。。というイメージがあるかもしれませんが、発展した土地の場合は開発によってそうはいきません。
茨城ではそうした神社は決して多くはないので、却って印象深いといえるでしょう。今回はそうした市街の神社である泉町の金刀比羅神社を紹介します!
目次
泉町金刀比羅神社とは
由緒
※旧陸軍百里原航空隊の一祠を譲りうけ、当社社殿として遷宮式を厳修
ご祭神は大物主命です。昔から「こんぴらさん」として親しまれているそうです。明治以前の尊号である「金毘羅権現」に由来するのでしょう。
『茨城県神社誌』によれば、当社は黒澤又蔵の宅地に創建されました。つまり私的な信仰。それがやがて周辺の町民の信仰を集めるようになって昭和9年には町内の管理となりました。
神社の発展が見て取れますね。明治の社格制度においては「無格社」とされましたが、今でもしっかりと存続している貴重な神社です。
ところで、県神社庁の記録の上では蛭児神が配祀されています。これは又蔵の孫が西宮神社(兵庫県)から分霊して合祀したことによるのでしょう。
蛭児神は「えびすさま」として親しまれる商売の神様です。当社の商売繁盛のご利益にはえびすさまの力も加わっているのではないでしょうか。せっかくなので由緒書などにも追記していただけると良いのですが。
wata
アクセス
常磐線の水戸駅の北口から国道50号を北西に1.7kmほど。徒歩だと20分程度かかるのでちょっと厳しい。
また、神社は通りの北側にあるので駅からだと対向車線側になります。初見では若干見つけにくいので安全運転でどうぞ。
専用の駐車場はありませんので周辺のコインパーキングを利用することになります。寄り道しなければ200円程度で収まるのではないでしょうか。
名称 | 金刀比羅神社 |
---|---|
住所 | 茨城県水戸市泉町3-2-9 |
駐車場 | なし |
鳥居
県内の神社は数多く参拝しておりますが、この外観は極めて珍しい。ビルに挟まれひっそりと鎮座していました。
鳥居前の社号標は明らかに移設されてきたようす。おそらく昭和20年の水戸空襲の後、市街地が整備される過程で今のようになっていったのでしょう。
当地名について水戸の地域情報サイト『まいぷれ』が次のように説明していました。
泉町はもともとの名前が、火事のせいで町の立て直しが行われた地域で、火事避けのために水と関係する「泉町」と名付けられた町ですので、海や水に関係する金刀比羅神社が崇敬されるのは自然の流れと言えるでしょう。
泉町にある小さな神社/まいぷれ
ご祭神の大物主命は『古事記』や『日本書紀』では山の神として描かれているのでピンとこないかもしれませんが、「こんぴらさん」とは元来仏教の十二神将にも数えられる宮比羅。
宮比羅はインダス川の鰐を神格化した存在ですから、水とは非常に関係が深い。そうした性質も影響して信仰を後押ししたのかもしれませんね。
参道
細長い参道はすれ違いに気を使うほど。とはいえふだんは混雑することはないでしょう。ゆったりのんびり参拝できる厳かな境内です。
なお、鳥居をくぐってすぐ右手にはさまざまな掲示物が張り出されていました。そこには「神社参拝の作法」として、いくつかの決まり事を一例として挙げていました。
参拝者はさまざまですから、初心者にも向けられているわけですね。境内には独特ともいえる解説もあって楽しめました。中には「厄年には根拠がない」なんてのも。。
掲げられた提灯は本営の金刀比羅宮と同じ。おそらく「金」の異体字です。
社殿
決して大きくはない神社ですが、丁寧にお手入れされています。整然とした手水舎、均等に敷き詰められた玉石、等間隔の幟等々。市街の神社だからこそ周辺の方々が運営に参加しやすいのかもしれませんね。
社殿は神明式。覆屋で保護され末永く信仰を守りたい意志を感じます。周りにはおみくじが巻かれ、絵馬が掲げられていました。けっこう多い!
家の神としての氏神にはじまり、土地の神としての氏神へ。昭和期に社殿を失いましたが、すぐさま再生。神社自体が発展と再生を繰り返しているように見えます。なんともありがたい存在ではありませんか。
御朱印
泉町の金刀比羅神社の御朱印です。本殿手前の箱を自分で開けて拝受します。
他の方がいただいた御朱印を見てみるといくつか種類があるようです。参拝ごとにちょっとした楽しみになりますね。
初穂料の定めは特にありませんでしたので、ささやかながら賽銭箱に納めました。
まとめ
この記事のまとめ
- ご祭神は「こんぴらさん」の大物主。江戸時代に私的な信仰としてはじまる
- 水神として泉町では崇敬を集めたと考えられる
- 御朱印は本殿に設置された箱内に納められている
参考文献
茨城県神社誌/茨城県神社庁
茨城県の地名/編:平凡社
wataがいま読んでいる本
マンガで『古事記』を学びたい方向け
神社巡りの初心者におすすめ
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。