wata
常陸大宮市には化石にまつわる2つの伝説があります。
化石なんてふだん聞かないのでワクワクしませんか?この場合の化石は次の意味です。
石になること。石のようになって動かないこと。
か‐せき〔クワ‐〕【化石】の意味/goo辞書
伝説の化石は朽ちることがなく、いまもなお現存しています。1つはかなり頑張らないと見れませんけどね。。。
今回は常陸大宮市の化石伝説をご紹介します。
箱石とは
常陸大宮市を通る国道118号と県道29号。2つの道路の交差点を西へ進むと次のような看板があります。
矢印の先を道なりに進むと山方運動公園。公園の入口はT字路になっていて航空写真で見るとこんな感じ。
赤丸の田んぼの中にぽつんとなにか見えます。これが箱石と呼ばれる『化石』です。
いかがでしょう。どうしてこんな巨石があるのか不思議ですよね。
箱石の伝説
先程の箱石。そばの立て札に次のようにありました。
箱石
昔、高館山の城に、美しい姫が城主と共に幸せに暮らしていた。
あるとき戦に巻き込まれ敵軍に攻められ城主をはじめ一族は城に火を放ち自刃し、城と運命を共にした。
姫は母の形見の蒔絵の針箱だけは永遠に残したいと神に念じつつ「石になれ 、、」と叫んで高館山の断崖から谷に向かって投げた。
箱は崖下の濠 (現在は水田)に落ち石と化したのがこの箱石と伝えられています。
箱石/常陸大宮市教育委員会
伝説によると、この石はもともと針を入れる箱でした。持ち主だった姫が大切にしていて、自分がいなくなった後も永遠に残ることを望んだ。。。悲しいお話です。
姫とは何者でこの地にはどんなお城があったのでしょうか。近くの城跡(御城)で配布されていたプリントにはこんな情報が。
また西の高館山の上にも土塁を構築し城砦を形成した跡が歴然と遺っていますがこの城は芳賀左衛門経高がという人が築き応永以前に滅びたといわれています。
御城について/山方御城と山方氏
芳賀左衛門経高についてはよくわかりませんが、応永以前というのは覚えておいたほうがよさそうです。その時代に佐竹氏の家臣・山方氏がこの地にやってきたからです。
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『茨城の史跡と伝説』編
箱石伝説はもう一説あります。ただ、内容をそっくりご紹介することはできませんので要点をまとめます。詳細は『茨城の史跡と伝説』をお読みください。
- 高館山には佐竹氏の家臣・山方能渡篤恭の城があった
- 篤恭には美しいお姫様がいた
- お姫様は敵軍から逃げる際、針箱が邪魔になったので投げ捨てた
こちらは一族滅亡ではなく、一族逃亡の際のお話。多少救いがあるように思います。
山方氏が登場しているので、応永以降ということでしょうか。同じ伝説が城主違いで遺っているのは不思議ですよね。
それに山方能渡篤恭とは、どんな人物なのでしょうか。この人物も芳賀左衛門経高と同じく情報がありません。箱石伝説は内容もさることながら、登場人物にも謎が多い。。。
茨城の史跡と伝説に書かれている、山方”能渡”篤恭は”能登守”の誤植の可能性があります
犬吠峠
もうひとつの化石はズバリ『犬』です。
ただ、わたし自身は実物を見れていません。そのため、ここでは伝説とおおまかな位置をご紹介します。
まずは市の公式サイトから抜粋します。
その昔、山方村の常安寺が焼失したとき、寺の飼犬が悲しみのあまり峠に登り、七日七晩吠え続けて、ついには石になったと伝えられる。
この伝説に因んで名付けられた「犬吠峠」には、小さなほこらと共に、犬の化身と伝えられる岩が、まさに山方宿に向かって叫んでいるような格好でたたずんでいる。今でも山方宿に火事があると、吠えて知らせるとも言われる。
犬吠峠/常陸大宮市公式
このような伝説から、かつて山方では犬の遠吠えが聞こえると火事の予兆としたそうです。
犬吠峠は箱石の際にご紹介した交差点(118号と29号)を東に進んだ場所です。常陸大宮市と常陸太田市の境界あたりに案内がありますので、そこまではたどり着くはず。
ただし、ここからが問題。標識の両面には矢印と400m先との案内。つまり、標識の位置から矢印の方向に行くわけですが・・・その先は以下の写真のようになっています。
通路らしき場所は傾き、左側は田んぼ。かすかに見える鉄線は電気が流れているとのこと。イノシシ避けでしょう。
その先は険しい藪となっていて、とても入れる様子ではありませんでした。夏場なので草木が生い茂っているせいもありますね。危険を感じたので今回はやめておきました。
チャレンジしたい方、以下のブログで行き方と犬の石を紹介していますのでご覧ください。スゴイよ〜!
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まとめ
常陸大宮市には化石にまつわる伝説が2つあります。
どちらも歴史的な悲劇と関係しており、現存しています。
犬の化石はかなり険しい道になりますので、下調べを充分にしてから行かれることをオススメします。
参考文献
・茨城の史跡と伝説/編:茨城新聞社
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。