関東三雷神・別雷皇太神(水戸市)

恵みの雨の中、雷神さまをお参りしてきました!雨はどこかのだれかを幸せにしているんですよ。。とある神社で教わった素敵な考え方です。ちょっとポジティブになりませんか?

農業中心の時代は日照りだと死活問題です。ご祭神への信仰は篤かったことことでしょう。

この記事では雨乞いの神をお祭りした水戸市の別雷皇太神べつらいこうたいじんをご紹介します。『カエル』の神社としても有名ですね。ぜひ天気を気にせずお参りしてみてください。

別雷皇太神とは

境内

境内

別雷皇太神は水戸市の元山町に鎮座する神社。つくば市の金村別雷神社、群馬県板倉の雷電神社とともに関東三雷神と呼ばれています。

由緒は次のようになっています。

第45代聖武天皇神亀元年(724年)、常陸国主 藤原宇合ふじわらのうまかいが勅命によって蝦夷征伐におもむく際、東北地方鎮護の神として京都の「賀茂別雷神社」の御分祀を当地に祀ったことが当社の創始です。
別雷皇太神

ご祭神は別雷わけいかづちです。『雷』とつくだけあって、天候を操り五穀豊穣の恵みを与えてくれるとされています。

補足するとはじめは大坂(田見小路、現北見町)に祀られました。そのため大坂大明神と呼ばれていたんです。おとなりの神應寺の由緒には当山の鎮守だったとありますね。神應寺は雷除けのご利益があるといわれますから、2つは密接な関係だったのでしょう。

駐車場は鳥居の先です。神社と右隣の神應寺の間を進み左折してください。

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正式名称は別雷皇太神べつらいこうたいじんです。社号標や旧神社庁では『太』が『大』になっていますが、近年は『太』で統一しているようです。

境内

鳥居

鳥居

車で来たので一旦境内に入ってからぐるりと正面へ。あいにくの雨でしたが、ご祭神が雨乞いの神様と考えるとふさわしい日にお参りできたかと思います。

六福六蛙

六福六蛙

鳥居をくぐるとすぐに社殿が見えます。その左側に手水舎があるのですが。。すぐ手前の大きなカエルに注目しちゃいますよね。六福六蛙ろくふくむかえるです。

無事かえる(交通安全)、金かえる(金運上昇)、若がえる(不老長寿)、良く考える(知徳上昇・学業成就)、体がもとにかえる(無病息災)、卵→オタマジャクシ→蛙(出世・海運)。

『カエル』は大変縁起が良く、別雷命のお使いとされています。境内にたくさんいるのでぜひ見つけてみましょう。

カエルの手水舎

カエルの手水舎

手水舎にも涼し気な蛙が。。

カエルの楽器

カエルの楽器

雨の日にはありませんが、拝殿の前には『げこげこ』と音が鳴るかえるの置物がありますよ〜。

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龍ケ崎市に伝わる雨乞いの神事・撞舞はカエルの面を被ってされるんです。カエルは雨乞いとふか〜い関係で古くから大切にされてきたんです♪

社殿

拝殿

拝殿

拝殿は入母屋造り、本殿は流造。立派なものです。

別雷皇太神は昭和20年(1945年)8月2日の空襲によって、ご神体、2つの末社、石造の建造物を除いて消失しました。こちらは昭和45年(1970年)に建てられたものです。

水戸は大変歴史のある町ですが、それが一気に焼失したと思うと戦争の悲惨さとやるせなさを感じますね。

この神社の歴史をさかのぼると『取子』なる習慣があったそうです。

取子は子どもを神様の子として差し上げること。そうすれば丈夫に育つと考えられていたとか。特に江戸時代に広まった考え方で水戸藩の子どもたちの多くは取子とされていました。

wata

社宝の散々楽(踊りに使う獅子頭)は800年前に『渡里』を治めていた一盛長者の財宝だったといわれています。長者はその財力に驚異に感じた源義家(八幡太郎)によって滅ぼされました。しかし、大切な散々楽だけは家来に命じて運び出し、やがて家来の鎮守だった別雷皇太神に奉納されたそうです。

それでは境内社も見ていきましょう。

盛砂

盛砂

盛砂

雨でイキイキとするあじさいのお隣に見えるのは盛砂もりずなです。

立て札の説明によると昔から雷神さまの庭の砂を踏むと身体が丈夫になるといわれていたそうな。おっと!先程ご紹介した取子と似ていますね。厄払いの神社としても浸透したに違いありません。

このお砂は雷神砂らいじんすなとして社務所でいただけます。

wata

盛砂の右側はサルスベリでしょう。表面がつるつる〜。夏にはキレイな赤い花を咲かせるかと思います♪

電気神社

電気神社

電気神社

社殿のすぐ右手にあるのは電気神社です。神道では万物に神が宿りますから電気もお祀りするのでしょう。ご祭神は別雷命です。

灯篭の代わり?

灯篭の代わり?

社殿の前には狛犬や灯篭の代わりに電球が置かれています。さすが電気神社!

けっこうミステリアスな神社なんです。昭和48年(1973年)に発行された茨城県神社誌には掲載されていません。ただ、次のような出来事と関係があるかもしれません。

別雷皇大神社は大正13年(1924年)に東京上野で開かれた電気博覧会で鎮護の神として会場正面に分祀を祀られました。

閉会後は東京市(東京都の前!)の電気局守護神として青山車庫へ。市のバスは全車両神社の御札を社内に奉斎されるように。

さらに有楽町駅前に電気協会のビルが完成すると屋上に分祀され、電気の守護神として広まっていったそう。

境内社なのにご祭神が同じなのは、分祀先で神様の印象のようなものが変化したからではないかと思います。

立て札には『電気事業安全、電力安定供給』のご神徳があると書かれています。

聖徳蚕養神社と淡島神社

聖徳蚕養神社

聖徳蚕養神社

電気神社の裏辺りに聖徳蚕養神社があります。ご祭神は明記されていませんでしたが、聖徳命です。学問や火防の神とされています。

興味深いのは聖徳神社に『蚕養』が追加されたことです。

神社の周辺は戦中に空襲によって多くを焼失しています。そこで1ケ所に合祀するなどして再びお祀りしているそうですが、蚕養神社もそのひとつかと思います。

淡島神社

淡島神社

こちらは電気神社のとなりにある淡島神社少彦名命をお祀りしています。

供養針を納める鉢

供養針を納める鉢

社殿の前には『供養針』と彫られた鉢。役目を終えた針を供養するのですが、裁縫に使われたのでしょう。養蚕とは切っても切れない関係ですよね。

『蚕養の神』を合祀するなら淡島神社が相応しいように思いますが。。ふしぎふしぎ。

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奉納された針はこんにゃくや豆腐などの柔らかい食べ物に差して神前に供えます。労をねぎらうといった意味でしょうか。

御朱印

別雷皇大神の御朱印は社殿の左手前の社務所でいただけます。

淡島神社(右)・電気神社(中)・聖徳蚕養神社(左)

淡島神社(右)・電気神社(中)・聖徳蚕養神社(左)

通常御朱印(右)、見開き御朱印(中・左)

通常御朱印(右)、見開き御朱印(中・左)

別雷皇大神が2種類(見開きの限定あり)、境内社が3種類(電気、淡島、聖徳蚕養)の計5種類をいただけます。

初穂料は見開きが800円、通常の御朱印は300円です。

その他、次のような限定の御朱印も。。

アクセス

名称別雷皇大神
住所茨城県水戸市元山町1-1-57
駐車場あり
行事1/1 – 元旦祭
2/節分 – 追難祭
2/8 – 針供養祭
5/3~4 – 春季大祭
6/30 – 夏越大祓
11/3~4 – 秋季大祭
11/27~28 – 献穀祭
12/31 – 年越大祓
WebサイトFacebookページ




まとめ

マルちゃん♪

マルちゃん♪

水戸市の別雷皇太神は雨乞いと五穀豊穣の神である別雷命をお祀りしています。

社殿は戦災によって焼失しましたが、いまでは境内社を含めて復興しました。

大変ユニークな歴史や習慣を持つ神社です。御朱印をいただく楽しみもありますので、お天気を気にせずお参りしてみくてください!

写真は神社の番犬(?) マルちゃんです。いつも御神木の下でのんびり。。

参考文献

茨城県神社誌/茨城県神社庁
茨城の伝説/編:茨城民俗学会