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いばらき観光マイスターなら知っているであろう西塩子の回り舞台。常陸大宮市の伝統芸能です。
公演は3年ごとなので実際にご覧になった方は少ないかもしれませんね。わたしは見たことありますよ。今回初めてですけどね!
この記事では常陸大宮市の西塩子地区に伝わる”西塩子の回り舞台”をご紹介します。貴重な夜の時間帯に足を運びました。
開催は10月19日(土)の予定でしたが、台風等の影響により順延して20日(日)となりました。
西塩子の回り舞台
西塩子では江戸時代から農家の方々が手作りで舞台をつくって歌舞伎や浄瑠璃を楽しむ文化がありましたが、1945年(昭和20年)を最後に中断。やっぱり終戦の後に継続は難しかったのでしょう。
復活のきっかけは1991-1992年に行った舞台の調査です。残っている舞台は現存する最古の組み立て式回り舞台だったんです。文政3年(1820年)ですから、来年で誕生から200年!
調査後の1994年に舞台の保存会が結成。地域の方々を地道に説得したことで賛同を得て1998年に舞台が復活、そして公演されました。それから約3年ごとに公演を行い、歴史をつないでいます。
というわけで、今回は前回(第6回)から3年ぶりの公演となりました。会場は常陸大宮市の大宮公民館塩田グラウンド。入場無料。出入りは自由です。だれもが足を運びやすくなっているんですね。
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「西塩子の回り舞台」は1999年に茨城県有形民俗文化財に指定されました。
舞台について
公演に使用する舞台について公式サイトから引用します。
「西塩子の回り舞台」は、花道や回り舞台を含む床面の部材と舞台道具のみを保持し、柱や屋根に使う材木や竹などは必要に応じて伐り出して使い、終れば売り払ってしまう、という組立式の舞台です。また、その特性を活かして、他村へ舞台を貸し出すということも盛んに行われました。
・組立式という特性をもつ「西塩子の回り舞台」/西塩子の回り舞台公式
舞台は住民とボランティアを中心に約1ヶ月をかけて製作。サイズは間口20m、高さ7mにもなります。仮設なのに非常に大型ですよね。
アーチ型の屋根に使用している真竹は約300本。竹林から切り出して運び出す作業は大変です。10月にする公演の2ヶ月ほど前にしますからきっとすごく暑いはず。。
それに子どもが非常に少ない地域。現在1名しかいないというお話も。。
今回は舞台の製作に当たる住民が高齢化したこともあってクラウドファンディングにも挑戦していました。これまで3年おきでしたが、5年、7年おきになったとしても継続していきたいとのことです。
常陸大宮市の地域協力隊のブログには”回転作業”の貴重なお写真がありますよ。男性四人で息を合わせて柱を回転させます!
第7回 定期公演プログラム
当日のプログラムです。午前中は地元の子どもたちが参加していたんですね。
来賓祝辞
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当日の舞台
開催日のちょうど1週間前に台風19号が茨城を直撃。常陸大宮市を含む県北地域は大きな被害を受けました。幸い回り舞台は無事でしたが、屋根を見ると台風の足跡が残っているのがわかりますね。
しかし、とても立派な舞台でした。わたしの見た最後の公演だけ日が落ちる時間帯なので星空の見える特別な舞台を楽しませていただけたと思います。
後ろの方の席は竹に腰掛けられるようになっていて絶妙な座り心地でしたよ。
駐車場は数箇所ありましたが、会場の駐車場に停められました。台風やそれに伴う順延などで当初の予定よりも来場者が少なかったのかもしれません。
わたしが到着したときはプログラムにない抽選会を開催していました。お米60kgなんてのもありましたね。豪華ですけど果たして持って帰れたのでしょうか!?
駐車場から会場に進むと周辺に屋台が並びおまつりモード。もちろん煮いかもありました!
太功記 十段目(公演:西若座)
最終公演となる西若座の”太功記十段目”です。予定より10分ほど過ぎてはじまったと思います。
西若座は「西塩子の若衆」の意味です。舞台の調査をした際に見つかった大幕にあった文字を芝居一座の名にしました。もちろん西若座は地元の方々がたくさんいらっしゃいますよ♪
演目の太功記。この言葉を知らなくても歴史好きならピンとくるでしょう。そう、太閤となった豊臣秀吉の「太閤記」ですよね〜。
太功記は人形浄瑠璃や歌舞伎の演目で主人公は秀吉。。ではなく、敗れた明智光秀です。名前を武智光秀としているんですけどね。
公演がはじまると生声の語りや歌が聞こえてきます。お芝居をほとんど見ないわたしには新鮮!演じていないこちらまでドキドキしながら楽しみました。
ただし、言葉が現代語でないのでなかなか物語が入ってこない。わたしの勉強不足が原因ですが、伝統芸能を伝えるのには周囲の教養も必要だと感じました。当日、演目を簡単に説明するプリントかWebサイトがあるといいですね。
この日は常陸太田の集中曝涼を一緒に巡ったりん(@rin1070)さんが隣にいたので、内容を教えてもらいながら拝見。とてもありがたかったです。
公演では舞台を回すシーンがなかったので、次回はぜひそちらも拝見したいですね。
最後には来場者および関係者のお礼があって締めとなりました。途中、被災者の方々をいたわる言葉もありました。開催を悩んだとのことでしたが、参加した方にとっても非常に有意義で将来の常陸大宮のエネルギーにつながると思います。
また3年後に足を運ぶ予定です。それまでには少しお勉強をしておかなくては。。
開催概要
名称 | 西塩子の回り舞台 |
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会場 | 大宮公民館塩田分館グラウンド 茨城県常陸大宮市北塩子2163 |
時間 | 10:00-18:10 |
入場料 | 無料 |
Webサイト | 公式サイト 茨城県教育委員会 常陸大宮市観光協会 |
まとめ
この記事のまとめ
- 西塩子の回り舞台は現存する日本最古の組み立て式舞台
- 西塩子には江戸時代から農家による手作り舞台で歌舞伎や人形浄瑠璃を楽しむ文化があった
- 回り舞台は3年に1度の公演。少子化と関係者の高齢化により存続が難しくなってきている
2019年10月20日 NHK…復興願う回り舞台公演 常陸大宮(茨城県のニュース)
2019年8月22日 茨城新聞…常陸大宮・西塩子の回り舞台 3年ぶり公演へ作業始まる
スペシャルサンクス
りん(@rin1070)さん
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。