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かすみがうら市は出島村と千代田村が合併して誕生しました。そのうち出島村はかすみがうらに面する土地で不思議と奇祭と呼ばれる祭りが見られます。今回はそのうち深谷地区にある藤切り祇園祭について紹介します。
八坂神社の例祭で藤切坂と呼ばれる斜面で藤を切断するお祭りです。氏子でなくても観覧できるので、ご興味が湧きましたらぜひ足を運んでもらえたらと思います。
なお、深谷八坂神社には過去記事にまとめてありますので、ぜひあわせてご覧ください。
まずは藤切り祇園祭についておさらいします。
八坂神社を祀る深谷地内の5集落が、5年に一周する巡周りで、上当(頭)・下当(頭)をつとめます。宵祇園の日の午後、御輿の小浜下りが始まり、その帰途に御輿が藤切り坂にさしかかると、下当(頭)の若衆が土手(頭)の上で藤づるを力いっぱいまわして、これをさえぎります。上当(頭)の者は、薙刀で四苦八苦してこれを切り、次に、坂の上にある大魚をナタで切り、御輿が通ることができ藤切りの行事が終了します。
これには、幾多の困難をのりきる意味があり、疫病退散や五穀豊穣、民生安定を祈願する行事です。
深谷八坂神社の祭礼で、毎年7月第4土曜日の宵祇園の日に行なわれます。
かすみがうら市(公式)
お祭りは毎年催されますが、SNSなどで特に告知されるわけではありませんので日程を確認したい場合は事前に神社や市役所にお問い合わせ下さい。
令和5年ですと、だいたい以下のようなスケジュールでした。
観覧する際に注意していただきたいのは、観覧者用の駐車場がないことです。公民館は関係者用かと思いますので、自分で駐車場を用意しておいてください。
それと上のスケジュールは本当に参考程度にしてください。特に藤切りは藤づる次第で終了時刻が大きく変化します。今年は「一撃で切れる細さにした」という声があったのに30分ほどかかっています。
むかしはもっと頑丈だったので日が暮れるまで切っていたとのことでした。最後まで見たい方は時間に余裕を持ってご参加ください。
アクセス
名称 | (深谷)八坂神社 |
住所 | 茨城県かすみがうら市深谷1379-2 |
駐車場 | 神社は鳥居前に2台ほど駐車可。 ただし、例祭の日は停められない |
Webサイト | なし |
藤切りを行う藤切坂は神社から歩いて10分程の距離です。
出発
氏子らは出発前に拝殿にあがって祈祷をしてから神幸に参加します。地区の当番制で5年おきですから、いろいろと確認しながらやっているようですね。
長老たちがあれこれと指示を出しながら太鼓や神旗が揃えられ、猿田彦(天狗)の準備も整ったらいざ神幸。揃いの着物をまとい集団で歩く姿ってかっこいいですよね。猛烈な暑さのはずなので昔ながらというのも大変です。
神輿は紅白幕で彩られた軽トラに乗せて小浜下りへと向かいます。のんびり行くので30分ほどですね。道中は目の覚めるような鮮やかな田園風景も楽しめます。少々しんどいのですが、同行する価値ありですよ〜
小浜下り
藤切坂から見て南西にある小さな田んぼの端に小浜下りの聖域が用意されていました。当社は違いますが、牛頭天王を祀る神社の由緒では御神体が川から流れて、というものが少なくありません。
たとえば、土浦の真鍋八坂神社や小美玉市の素鵞神社などですね。わたしは五行説の立場から牛とは丑(十二支)であり、水気に属すると捉えておりますので牛頭天王と水は切っても切れない関係だと考えています。
八坂神社で見られる神輿を物理的に水辺に沈めることはされませんでした。ただし、神域から水をとり、それを神輿にかけるようなことはありました。写真はそのシーンです。木槌で神輿叩いているわけじゃないですよ。
神事が終わりましたらいよいよ藤切りです。来た道を戻りつつ藤切り坂でいざ藤切り!途中でお囃子の専用車両も加わってメインイベントを盛り上げます。
藤切り
なんだかんだで午後3時。炎天下の中、1時間ほど歩きましたから少し疲れてくる頃。参加者、特に男性はお酒が入っているようなので妙に元気みたいなんですけど。。
それはともかく藤切りです。坂の両端に藤づるを持った両者が立ち、それを回転させながら坂を下っていきます。迎える方は薙刀を下から上へ振ってつるに当てます。飛天御剣流でも使わなければ一撃では切れません。
というか、何回あてても切れる気がしない、というくらい藤は丈夫。なんどかチャレンジしてうまくいかなかったら、次々と交代して挑んでいくのです。
藤切り坂はGoogleマップにも登録されているのですが、地元でない方が同行することは稀なようです。それでも会場はスマホを抱えた方々でいっぱい。一眼レフを持つカメラマンも少なくありません。わたしもその一人ですね。
藤がなかなか切れない一方でヤジは勢いを増していく。。でも、つるの回転は見るからに弱っていくのでいよいよというのは分かります。ちょっとあっけない最後でしたが、無事に藤切り完了。帰還する姿は勇者のそれ!
しかし、これで坂の神事がすべて終わったわけではありません。続いて「大魚」と呼ばれる木材をナタを持った2人で切断します。上はそのシーンなのですが、途中で木材にささった鎌を持て、という声が飛んでいます。
これは単なるヤジではなく、そのような伝統があるからということのようです。長老たちは自分たちが体験したことを後世に伝えるためにやや激しめに激励しているのです。
この大魚は藤づる並みに手強く、やはり30分くらいかかっていました。こっちはさっきよりずっとしんどそうです。それに交互に刃物を振るからちょっと危ないシーンも。これからも怪我なくあってほしいですね。
というわけで、無事に大魚も退治できました。わたしはこれにて撤収としましたが、神輿はこのあとも神幸があったようですね。この日は宵祇園なので本祭にあたっての露払いといったところでしょうか。
今回ご紹介したお祭りはじつはその歴史はさほど古いものではありません。正確な年は不明ながら明治20年以降ではないかといわれています。奇祭としては比較的新しいという点でも珍しいと思います。
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・藤切り祇園祭はかすみがうら市の深谷八坂神社の例祭。毎年7月第4週目の土曜日に開催
・会場は藤切坂。神社から10分ほどの距離。駐車場はなし
・藤づるはなかなか切れない。1時間ほどかかる
記事は筆者の主観が多分に含まれております。
誤解や情報が古くなっている場合があることをご了承ください。
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