宍塚大池の大蛇伝説|土浦市

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wata

ども!いばらき観光マイスターのwata(@wata_ibamemo)です!

昔話が好きなので、古い本を引っ張り出してよく読みます。わたしの好みは、気持ちがほっこりしたりミステリアスなお話ですね。でも、昔話には怖いものが多いんです。

あまりに不気味だったり気分が悪くなる話はしませんが。。。面白いので巨大生物モノは例外。今回は土浦市にある宍塚ししつか大池大蛇オロチ伝説をご紹介します。

美しい景観とギャップのある怖い話です。

宍塚大池とは

宍塚大池1

先に宍塚大池を紹介しましょう。

宍塚大池はため池です。江戸時代に農業用水を貯めるためにつくられました。水源は雨水だけで、田植えの時期になると貯まった水で40haもの水田を潤しています。宍塚と周辺の米作りにとって重要な池です!

農業用の水源としての活躍がわかる写真をご覧ください。一枚目が夏、二枚目が冬です。

夏の宍塚大池
冬の宍塚大池

池の上にせり出た足場から水位がわかります。夏になる水が田んぼで使われているので、水位が下がっているんです。

池の周辺は林に囲まれていて、池と合わせると約100haもの広大な敷地。自然環境や里山文化など、後世に伝えたいものがたくさんあります。

注意

大池周辺は暗くなると極めて危険。道路は狭くて舗装なし。柵もありません。

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安全に行くなら車を上高津貝塚ふるさと歴史の広場に停めて、池まで10分程歩きましょう。

大蛇伝説

宍塚大池のオロチ伝説は、わたしが知っているものだけで3種類。結末はどれもほぼ同じです。今回は基本的なものとして市役所発行の『土浦市史(民俗編)』からご紹介します。

むかしむかし、宍塚の部落に安さんという召し使いの男がいました。ある日、安さんは宍塚の大池で草刈りの仕事を終えると、刈った草をまくらにウトウトしていました。

安さんはなんだか変な気分になったのでハッと起きると、目の前には大蛇。蛇の首はお餅をつく臼と同じくらいありました。

大きくて恐ろしい蛇に驚いた安さんは、へなへなと腰が抜けてしまいました。蛇はペロペロと赤い舌を出しながら安さんを見ていましたが、少しすると首をかまげてどこかに行ってしまいました。

安さんはいつも拝んでいる天王様が助けてくれたと思いましたが・・・大蛇の毒気にあてられたのか、それからまもなくして死んでしまいました。

無実の罪という気がしますが。。。この理不尽さがお話のポイントかと思います。

土浦のむかし話 第二集にもオロチのことがあります。そちらでは、ジュンサイを取りに来た出島村の村人たちの前に現れました。船の前に突然現れて、村の娘をさらっています。娘はついに見つかりませんでしたので、それからジュンサイを取りに来る人達はいなくなったとか。大池周辺の自然を守っている、ということなのでしょうか。

また、一風変わった伝説が土浦の民話にあります。こちらだとオロチは夏に大池を抜け出して小旅行をします。乙戸沼で一晩泊まって次は猪子(牛久市)の池へ。その次に牛久沼で1〜2日休んで、最後は馴柴の沼(龍ケ崎市)に到着!この本でも蛇を傷つけた者が命を奪われています。面白くもありますが、やっぱり恐ろしいお話ですね。

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共通しているのは、オロチや自然を傷つけると罰を受けること。昔の人なりの自然を保護する手段だったのかも、とも思えますね。

大池のいま

それでは、伝説の舞台のいまをご紹介します。

大池はNPO法人 宍塚の自然と歴史の会が自然環境を守りながら、歴史や文化を後世に伝える活動をしています。

そのおかげもあって2010年にユネスコ未来遺産と農水省のため池百選に選ばれています!

宍塚大池と調査用ボート

大池の調査活動に使われているボートです。水中の生き物や植物など、いつも熱心に調査しています。

先日、足を運んだら雨なのに船が出されていて驚きました。調査員もわたしに驚いたでしょうが。

宍塚大池の散策コース

最近は暖かくなったせいか、釣りをしている方をよく見かけます。道具を見たところ狙いはブラックバス。田んぼの水路ではざりがにをよく見かけますし、近年では外来種が多いのでしょう。もちろん外来種の放流は生態系が変わってしまうので厳禁です。

ドローン写真集

最後に貴重なお写真を。昨年の冬にお友達がドローンで撮影した宍塚大池です。豊かな自然環境と神秘的なことが起きそうな予感が伝わってきます。

宍塚大池(ドローン空撮1)

宍塚大池(ドローン空撮4)

宍塚大池(ドローン空撮3)

アクセス

名称 宍塚大池
住所 茨城県土浦市宍塚729
駐車場 整備された駐車場はなし。駐車は可。

まとめ

土浦市の宍塚大池には大蛇伝説があります。伝説は複数あり、蛇の性格や行動などが違っていて興味深いです。

大蛇は寝ていただけ男の命を奪った危険な存在ですが、それには子どもたちを事故の起きる可能性から遠ざける大人たちの考えがあったのかもしれません。

参考文献

土浦市史(民俗編)/著:土浦市
土浦のむかし話 第二集/編:土浦市文化財愛護の会
土浦の民話(上)/著:岡部智子